最終章邪馬国編シーン66
俺は身構える。
敵は目の前の魔王ゼルドリス……はっきり言ってこれまでの誰よりも激しい力を秘めた相手だ。
俺は肌でそれを実感する。
するとゼルドリスは口を開く。
『クックック……大人しくしておけば死ぬ事だけは避けれたかも知れんのになあ………』
「うるせえよ……………いくぞ!?」
『魔神…………雷武!?』
俺はスーッと刀である魔神具を腰の鞘から引き抜いていく。
するとゴウっと炎が立ち上りその姿はドラゴンと化していく。
『クククッ……………やっと………会えたなあ…会いたかったぜえ…………魔王ゼルドリス!?』
雷武は身体を燃え上がらせながらそう言い放つ。
『ほう……貴様は確か以前、この私が消滅させてやったと思っていたのだがなあ……こうして生き残り再び私の前に現れるとは……なんてしつこいものだ……』
『うるせえ……さあ…その身体から出てくるがいい………今……ぶっ倒してやる。』
雷武がそう言い終えると…俺は魔王ゼルドリスに斬りかかっていく。
刀を構え超高速でゼルドリスの眼前に飛びかかっていく!!
「うおおおおおーーーーーーーーーーっ!?」
ニヤつくゼルドリスはすーーーっと片手を上げていく。
そして俺の刃に雷武は吸い込まれていく…燃え上がる刃がゼルドリスを捉える!!
ガキイィィィーーーーーーーンっと激しい衝突音が響き渡る…………それはゼルドリスの母体となっているカルマの父親の背中から飛び出してきた巨大な腕と拳だった。
「くっ!?やっぱ……簡単には行かねえか……はああああーーーーーーーーーーっ!?」
俺は更に超高速の斬撃を繰り出すも奴の巨大な腕は簡単に攻撃をいなしていく。
『クククッ…何をしてるんだ?もう終わりか?』
「うるせえ!!はあああーーーーっ!?」
俺が刀を振り上げ次の斬撃を繰り出そうとしたその時。
『うっとおおおしい………ふんっ!!!』
次の瞬間!!
ドゴオオオーーーーーーーーーンっという轟音。
突然俺の身体に激しい衝撃を感じたかに見えた……その時。
「これは……………やばい…………………」
俺が覚悟をした時。
突然現れたのは盾と化した亀山だった。
「亀山!!??」
『クロノちゃん!!』
ガキイイイーーーーーーーーーンっと俺の前に現れ守ってくれたのはなんとずっとその存在を隠していた亀山だったんだ。
俺は弾かれながらもなんとか着地し構える。
『ほお?情報では分かってはいたがな……それが魔神具の四聖獣『玄武』か……魔神『雷武』と…本来は魔神具を操る者にとって魔神一体所有がセオリーなのが貴様は二つの魔神具を所有できるなんてなあ…さすが勇者と呼ばれる者と褒め称えるべきか……………だが。』
「そこまでも分かってるんだろ!?俺はお前と戦う力は持ってるんだぜ!?」
『フン………魔神具二つ所有……この私と戦う資格があるというのならば……見せてやろう……我が魔神具……そして魔神を。』
魔王ゼルドリスはそういうと一つの魔神具をその手に発現させる。
それは漆黒に染まり長い刃がキラリと光る巨大な大鎌だった。
『クククッ……皮肉な事だがこの魔神具は、はるか昔……この私を封じた勇者が用意した武具……『冥王の鎌』……だが今の私にとっては最高の魔神具となったのだ……さあ……切れ味を試してみるか?』
そういうとゼルドリスは大鎌を振り上げていく。
「くっ!?ヤバいぜ……見てるだけであの魔神具から凶悪な力を感じる……」
『クックック……よくわかったなあ……さすが勇者………と言いたいところだが………さあ。』
ゼルドリスがブンっと大鎌を振るう!!
すると。
明らかに届かないほど離れているハズなのに突然大鎌による衝撃波を感じる。
その瞬間カルマの叫び声が聞こえる!!
「きゃあああああーーーーーーーーーっ!?」
「カルマっ!?」
なにもない場所から発してくる衝撃波。
目に見えない攻撃はカルマの身体を吹き飛ばす。
「くそっ!!転地!!???」
俺はカルマを抱きとめるがそのままの勢いで共に吹き飛ばされる。
背後には凶悪なボコボコの岩々が待ち構える。
「これはヤバい!!転地。」
俺達は何も無い場所に姿を現し、ドサッと地におちる。
「はあはあはあ……奴のあの攻撃は……なんだ……くそっ……全く見えない。」
「クロノ…………ありがとう。」
俺に声をかけるカルマ。
「ああ……大丈夫だ……」
俺がそういった瞬間……目の前がクラっと歪む。
「クロノ!!!???」
「あ……れ…………………?」
俺はフラフラになる…そして視界は歪んでいたんだ。
すると魔王ゼルドリスは笑い出す。
『クククッ……あーーっっはっはっは!!やはりな……お前達はここまで来るまでの連闘でボロボロのまま……まあ…お前達が万全だったとしてもこの私の足元にも及ばないがな……このままこの魔王の手で葬ってやる事にしようぞ?』
ゼルドリスはそう言い放つと俺達に一歩また一歩……近づいてきたんだ。
俺は…………。
俺は…………………。
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お読みくださりありがとうございました。
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