最終章邪馬国編シーン64
カルマと魔王ゼルドリス。
そう…魔王ゼルドリスのマジェストになっているのはなんと…カルマの父親だったという。
だが……俺達は止まる訳には行かない。
そしていつしか辺りは宇宙空間の様な場所に出ていたんだ。
「ここは。」
「やっぱりここは月……なのかな?」
ここは確かに何かで見た事があった…クレーターが所々に見え、そこはまるで月面に見える。
そして俺達のはるか向こうには、恐ろしくも巨大な城がそびえ立つ。
「あれが……魔王ゼルドリスのいる……城なのか……」
「そうみたいね………」
目の前には巨大な魔王の城…俺達は身構える。
すると……俺達の周囲に物音が聞こえる。
俺が気配を探る。
もこもこと、どこからともなく現れるなにか。
それは地上では見たことの無い生物だった。
『ぐしゃああああーーーーーっ!?』
『グギギっ…………………』
俺の脳内記憶にあったのはそう……宇宙生物と言っても過言でもない異形のモンスターが現れたんだ。
「クロノ!?見た事ない生物みたい。」
「ああ…カルマ………しかも一体一体から奇妙な力を感じるようだ……気をつけろ。」
「うっ!?でもこれ!?かなりの数になってるみたい。」
「くそっ!?こんな所で足止めかよ!?」
俺達に焦りが見えてくる。
「いくしかねえか!?カルマ……俺が足止めしてやる!!」
「でも……クロノ!?」
俺達がそんな会話をしていたその時。
「クロノ!?」
「クロノさんっ!!」
俺達の耳には聞き覚えのある仲間達の声が聞こえたんだ。
振り返る俺達。
その視線の先には……サキノ…テンテン…リオと鉄星と鉄鬼丸……そしてなんと…エンポリオとイシメールまでもがいたんだ。
「皆…………………………」
「皆ぁ…………エンポリオ…………君…」
俺の隣りで涙目のカルマはそう呟く。
「カルマさんっ!!クロノ君!!君達はここから、あの魔王ゼルドリスの元へ行かなくちゃね……だから僕達がコイツらを相手にする!!」
「クロノさんっ!!私だってクロノさんの力になるから!!」
エンポリオに続きそう叫ぶテンテン。
そしてイシメール、後ろにはあのフェリシモもいる。
「僕達に後は任せていくんだ!!クロノ君!」
「そうそう!エルフィーナ様も応援してるみたいです!!さあ行ってください!!」
そして……。
サキノが俺を見ている。
俺の元に歩き近づいてくるサキノ。
「サキノ…………………………………………」
彼女は俺の顔をうるうると見つめている。
「クロノ……………………目……閉じて……………。」
「お……おお。」
俺達は。
◇
「おまじない………クロノ………行ってらっしゃい……待ってるから。」
サキノは俺に温かい何かをくれた。
すると。
ヘッドホンからリスナー……そして離れ戦う仲間達の声。
『『クロノーーーーーーーーーーーーーっ!?ラストバトル!!』』
『ファイトーーーーーーーーーーーーっ!?』
全世界の人々の声。
俺達は再び立ち上がる。
俺達にはこんなにも沢山の仲間達がいるんだ。
絶対に負けない………。
そしてカルマの両親も絶対に助けてやるんだ。
すると前に出たのはエンポリオ。
彼は自慢のバトルメイスを手に構える。
「いくぞ…………皆あああーーーっ!?」
「おおーーーーーーーーーーーーっ!?」
イシメールの魔神ゴルンガも暴れ回る。
『さあ!!踊るぞイシメール!!ウホッ!!』
「おう!!いくぜ!!はあああーーーっ!?」
「私だって!!魔神フェリーヌ!!」
イシメールに伴いフェリシモまでもが加勢してくれる。
俺とカルマの為にその道をどんどん開けていく。
それはまるで十戒のように俺達の前に立ち戦い、そしてその道を示してくれる仲間達。
「さあ!!行ってください!!方天画戟!!」
テンテンの魔神具が月の魔物を消し去っていく。
最後の壁となる月の魔物……それは一際巨大な壁となる。
「いけるか?カルマ!?」
「うん……なんとか……でもさっきまで出てきた敵を数倍大きくなった敵みたいね。」
走りながら俺達は会話する。
「クロノーーー!カルマお姉ちゃん!?ここは任せなさーーーい!!」
「「サキノ!?」」
俺達の声に微笑むサキノは何かを持っていた。
「ほら!?おじいちゃんもいるからここは任せて………」
サキノは、なんとあのヤシュアの酒瓶を持っていたんだ。
「サキノちゃん……うん……お願いね。」
うるっと涙に声を震わせるカルマ。
「サキノ……俺達皆でここまで来たんだもんな……」
「クロノ……うん………大好きだから……待ってる。」
「ああ……………。」
走る俺はカルマの手を取る。
「えっ!?クロノ!?」
「いくぞ!?カルマ!!!」
カルマは俺にしがみつく。
「転地」
◇
◇
◇
次の瞬間…俺達は……漆黒の闇の中にいた……。
すると……ぽーっと目の前に灯りが灯る。
◇
目の前には玉座に座った一人の男がいたんだ。
◇
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