最終章邪馬国編シーン61
俺達は桃鬼丸を倒した…そして消えていく桃鬼丸。
それと同時に、辺りに燃え盛っていた炎の勢いも徐々に収まり消えていく。
「やった………やっぱり…凄いです…クロノさん……。」
「やったね………クロノ………本当に凄いよ。」
「「クロノーーーーーーーーーーーっ!?」」
そう叫びながら、駆け寄ってくるサキノとテンテン。
「はは……二人とも……さんきゅー。」
すると…カルマが俺に癒しの光を当てながら微笑む。
「クロノ………信じてたよ…お疲れ様。」
「カルマ…………ああ……。」
俺はホッと胸を撫で下ろす。
すると…目の前にはリオと鉄星……そして鉄鬼丸の三人が立っていたんだ。
「クロノ様……本当に凄かったです……あれからまたすっごく強くなったんですね。」
「ああ……でも……俺も死にかけたり色々あったけど…なんとかな」
俺は笑いながらそう答える。
そこに、あの鉄星が声をかけてくる。
「クロノ……お前はどうやら自分の弱さを認める事でここまで強くなる為…必死に努力してきたのだな…。」
「ん………鉄星!?」
これまでの鉄星からは想像しえないその言葉に俺は驚きの表情を隠せなかったんだ。
微かに微笑む鉄星。
そこへ声をかけてきたのは鉄鬼丸だった。
『あのさ…僕達鬼族にも酷い事をしてきた桃鬼丸を倒してくれて……父さん、そして母さんにも本当に感謝してる……そして…クロノさん……君にも………本当にありがとう。』
そう涙ながらに言った鉄鬼丸…よほど辛い思いをしてきたのだろう。
「鉄鬼丸君……良かった。」
嬉し涙のリオ…俺は鉄鬼丸の前に屈み頭を撫でる。
「ああ…もうこれからは桃鬼丸の脅威はない…今までのように怯えて暮らさなくていいんだ……鬼も人間も仲良しなんだろ?」
微笑み…そう言葉にすると。
「うぅぅ……うあああーーーーーーーん。」
感極まったのであろう泣き出す鉄鬼丸。
すると鉄星もリオも鉄鬼丸を抱きしめていたんだ。
皆が彼の涙に笑みを浮かべていると。
突然……鬼ヶ島の居城が崩れていく。
「おお……鬼ヶ島の城が………………」
「崩れていくんだな。」
俺達はじっとそれを見ていると。
倒壊していく城……それにより舞い上がる粉塵。
それはまるで桃鬼丸達が完全敗北した事を物語っているようだった………。
すると…なんと崩れた瓦礫の山が光り輝きだしたんだ。
パーーーーーーーーッと空に広がっていく光。
すると、そこから一人の天女!?
かの様な美しい女性が舞い降りてきたんだ。
俺達は女性に目を奪われてしまっていた。
そして女性はいつしか俺の前に立っていたんだ。
スーッと目を開いていく女性。
すると…彼女はゆっくりと口を開いていく。
『私の名は『かぐや』あの天に見える『月』から意識だけをこの地に舞い降ろした存在です。』
俺達の目の前に現れたその美しい女性。
彼女は自身を『かぐや』と名乗る。
「かぐや……月から声をかけてるというのは本当……なのか?」
俺の問いに彼女は答える。
『ええ……本当です……私自身はあの空高く見える『月』にいます……そしてなぜ……こうして地上へと現れたか…ですが……私の棲む『月』には……あの魔王ゼルドリスがいるのです。』
「魔王………」
「「ゼルドリス………が月に!?」」
俺達は衝撃の事実を知る。
俺は、かぐやに問いかける。
「ゼルドリスが月にいるっていうのは本当なのか?本当なら、なんの為に月なんかに?」
「ええ……魔王ゼルドリスは何故…月などにいるか…それは…この世界の全てを滅ぼす為です。」
「なんだって!!!???」
「ゼルドリスは自分が二度も消える事はない…あの時…自分の娘を奪おうとした時…新たな勇者の力に手傷を負わされたとも話しているのを聞きました。」
「ん!?それってどういう事なんだ!?」
迷いながらもカルマに目を向けるかぐや。
そして彼女は意を決した表情に変わり……続けたんだ。
『ええ……気づいているかも知れませんが……勇者とは……クロノ君……貴方の事ですね……そして……魔王がいう娘というのは……カルマさん……貴女の事です……。』
「なっ!?」
「何言ってるんだ!?言っていい嘘と悪い嘘があるだろ!?」
俺はかぐやの言葉に激しい批判の声を上げる。
カルマは泣きそうな…なんとも言えない表情を浮かべている。
「カルマ………………」
俺の言葉にカルマは震えながら口を開く。
「クロノ……そして皆…本当にごめんなさい…私もあの魔王に捕まった時………実は何か不思議な思いをあの魔王ゼルドリスに感じてしまっていたの……でも言えなかった……この世界を滅ぼそうとしているのが……大好きだった私のパパだったなんて……………………………。」
カルマの目から涙が溢れる。
「皆!!!本当にごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさーーーーーいっ!?」
大声を上げて泣きだすカルマ。
カルマを見て何も出来ない皆。
俺は……涙が止まらい…カルマを抱きしめたんだ。
ずっと……ずっと………カルマの涙が枯れるまで。
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