最終章邪馬国編シーン55
俺達が地上に出るとそこにはあの桃鬼丸が居座っていたんだ。
すると…鉄鬼丸が桃鬼丸の配下であろうか…一人の男の手に囚われていたんだ。
「鉄鬼丸君!?」
リオの叫びに鉄鬼丸は悔しげな表情を浮かべる。
「お……かあ…さん……僕……捕まっちゃって…ごめん……なさい。」
「鉄鬼丸君!?」
ニヤリと笑う桃鬼丸。
「おおっと動くんじゃない……いいか?俺の島に来たって事はお前ら『邪鮫』を倒してきたって事だろう?」
「くっ……それがどうしたって言うんだ?」
「面白い……おい。」
俺の言葉にそう返す桃鬼丸。
すると…桃鬼丸は合図を送る。
目の前の魔物達はサーっと円状に散るとモコモコとその形状を変えここは簡易的な闘技場へと変化する。
「さあ……ここから俺様と戦う為の権利を得る為の武闘試合を開いてやる……おい。」
桃鬼丸の声に一人の男…先程攻撃をし鉄鬼丸を捉えた男が彼を仲間に預け声を上げる。
その男……どこかで見た事のある耳が頭に生え口は耳まで裂けた狂気の笑みを浮かべている。
「クククッ……俺は…桃鬼丸様の一の腕『犬神』…貴様らの臓器を引きずり出し……喰う者だ。」
狂気を感じる犬神という男。
その時リオが口を開く。
「その子を返して…………」
『んん?なんだ?お嬢ちゃんよ〜〜〜可愛い顔して俺に言ってるのかあ!?』
「そうよ……その子は私をお母さんと呼んでくれる大切な子なの…だから返してもらうわ……。」
怒りに魔神具を構えるリオ。
『クククッ……ならばやってみるがいい……あのなあ…女っていうのは男の子供を産むのが仕事だ……俺様のような強者の子供を産み男を敬い従い生きる事がいい女ってもんだ……それをこの俺様が教えてくれる……魔神具『犬掘鍬』……。』
『犬神』がそう叫び構える。
するとリオに並び立っていたのはサキノ…そしてテンテンの姿だったんだ。
「この犬神って人は女の敵!!許せないわ。」
「うん…!!私もこんな男の人がこの世にいるなんて……許せない。」
どうやら二人もこの犬神という男には怒りを隠せないようだった。
「皆………………………えっ!?」
その時…俺を退かし前に立ったのは何と…カルマだったんだ。
カルマもまた自身の魔神具を構える。
「カルマ!?」
「クロノ……女の子を侮辱するようなこんな男は私達が倒すわ……あなた達は見てて。」
「お………おう。」
カルマのいつになく真剣なその表情に俺は固まってしまったんだ。
俺達の中の女子メンバーはあの敵『犬神』に怒りを顕にする。
「ケケケ……いい女共が揃ってるじゃねえか…じゅる……よしよし……お前らが負けたら二度と俺様に逆らうんじゃねえぞ…そして俺様の犬として飼ってやる……いいよなあ!?……桃鬼丸様?」
桃鬼丸にそう問いかけ笑う犬神。
「くくっ……勝手にしろ。」
『ああ……………さあ……いくぞ!?』
ザザッと何かを取り出す犬神。
それは巨大な鍬の様な何か………。
『いくぞ………犬神法………『此処掘零腕々《ここほれわんわん》』!!!』
奴が自分の目の前の地面に巨大な鍬を突き立てる。
次の瞬間……あちこちの地面がモコモコ生き物のように蠢き盛り上がりだす。
「きゃああーーーっ!?」
「なにこれ!?地面が……立っていられな……いやああっ!?」
テンテンとサキノが取りみだす。
「皆……私が抑える……スクエル……フォーチューンドカード……『運命の輪』…『巻き戻り』」
そう叫んだリオちゃんの背後に見えたのはパワーアップしたのだろう人化し美しい女子へと変化したスクエルの姿。
「リオ……」
スクエルがカードからその力を発生させる。
すると…スーッと地面の揺れがピタリと静まる。
『な!?貴様………何をした!?』
リオの魔神に焦りをみせる『犬神』
「リオちゃん!?」
「凄いよ!!じゃあ今度は私達だね!?テンテンちゃん…いくよ。」
「オーケー!サキノ………」
そして二人のコンビがお互いのペンダントに祈る。
「あれは……サキノちゃん……テンテンちゃん……。」
「「私達…乙女が怒るとこわいんだから……」」
サキノとテンテンのペンダントが光る……そして二人が一つの弓矢を構えている。
「「恋の妖精ラバーツ……」」
二人の矢に光が集まっていく……そして二人の魔神が重なり一つになっていく。
「おお……あれは。」
『『ラバーツ………ショット!!!!』』
ドウっと放たれていく矢は無数の光の矢になり飛んでいく。
犬神の身体に次々と突き刺さっていく光の矢。
『あがっ!?これは!?ぐっ……桃鬼丸様あああーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
桃鬼丸はじっとその様子を見つめると……深いため息をつく。
すると…いつの間にか犬神の前にはカルマがレイピアを構え立ち尽くしていた。
「貴方の敗因は……そう……私達女子を敵に回した事よ………………。」
カルマは高くレイピアを振り上げる。
「カルマちゃん……任せたわ。」
「私達のトドメは任せました。」
「カルマお姉ちゃん……いっけえええーーー!」
カルマは皆に微笑み俺の目を見つめ頷く。
(……カルマ……俺は信じてるぜ……。)
カルマは目を閉じ…そして見開く。
『フェリス……in The レイピア……………………』
カルマは構えると……高速で飛びかかる。
すると…彼女の背後には猫の剣士の姿が見える。
『ミューズ《女神》…サーブル《剣技》!!!』
『うぎゃあああああーーーーーーーーっ!?』
そして、そこには。
女子メンバーの怒りの総攻撃に叫び倒れゆく犬神の姿があったんだ。
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