最終章邪馬国編シーン54
孤氷次さんはこの転移装置のある小屋の門番だった『邪鮫』を倒した。
「孤氷次!?」
「大丈夫ですか!?」
「ああ…クロノ殿…カルマ殿…大丈夫だ…さあ…小屋へいきましょう。」
俺達は孤氷次と共に小屋へと入っていく。
すると小屋内で誕兎が装置の確認をしていたんだ。
「ここをこうして……こうでこうで………こうっ!!」
ブツブツ呟き何かをしていた誕兎は何かを終えたであろう声を上げる。
その瞬間。
パアーーーーーーーーッと光り輝きだすその装置。
音もなく建物の天井に魔法陣の様なものが現れやがて魔法陣から真下床に向かい光のカーテンが現れる。
「もしかしてこれが転送装置!?」
俺の問いに誕兎が頷く。
「うん!そうだよお兄ちゃん!これは僕達兎の獣人に代々伝わる転送装置なんだ…その名も『うさぎジャンプ』」
「うさぎジャンプ………これがあればまさかどこへでも行けるのか!?」
「そう……とは言いたいところだけどこの装置自体にきっと桃鬼丸が何かをしたのだと思うのだけれど……目的地が鬼ヶ島とここの行き来しかできないように固定されてるみたいでそこは何度挑戦しても修正出来なかったんだ……ごめんね。」
「ああ……あの鬼ヶ島に行けるなら十分だ。」
すると誕兎は説明を始める。
「ありがとう…じゃあ、皆に話しておくね!この装置を使用するにはエネルギーが必要になります……そして皆が事を終えて戻る為にも更にエネルギーが必要で…その為に僕はここに残ります…それに、ここの全員を転送するとなるとエネルギーの残量的に厳しいかもしれないんだ。」
「そうか………なら……孤氷次……アンタはここで誕兎を守りながら待っててくれないか?…」
「ん!?クロノ殿!?いや…しかし……………。」
「アンタの友の仇討ちは果たせたんだろう?ここからは俺達があの桃鬼丸を倒してくるからさ……ここで待っててくれないか!?」
俺達は孤氷次に笑顔を向ける。
孤氷次はふぅーーーっと深いため息を吐き出す。
「分かった……でも無理はしないでくれ………君たちはこの国の恩人……そして世界の希望の光なのだ……君たちに何かあれば拙者はこの鰐鮫の巣である海を越えてでも救いにいく覚悟だ。」
「ああ…サンキュー!孤氷次!!」
俺達は笑い合う。
さあ…ここからあの桃鬼丸を倒す為に。
すると誕兎の声が上がる。
「さあ……皆!?準備はいいかい!?」
「「おおおおおーーーーーーーーーっ!?」」
ぐわあああーーーーーーーーーーんと俺達を囲んでいく光。
眩い光が俺達を包み込んでいく。
「さあ………行ってらっしゃい………………皆……無事に帰ってきてね………。」
『うさぎ………………ジャアーーーンプーーーーー!!!』
誕兎の大声が聞こえる。
俺達の身も心も眩い光に包まれ同化していく。
次の瞬間。
シュンっと意識が一瞬飛んでしまう。
◇
◇
◇
そして。
「お…………おお!?」
俺は目を開けていくと。
どこかの洞窟の中だった。
「ここは!?」
「クロノ!?」
「ああ……どうやら辿りついたみたいだな……」
「鬼ヶ島に。」
俺の身体にもバチバチという感じるとてつもない魔力。
すると…突然ゴゴゴと聞こえ感じる地鳴り。
俺が見回すと全員いるようだ。
「よし!!皆無事なようだな……だけどこの地鳴りは嫌な感じだ……ひとまずここから地上を目指すぞ!?」
全員が俺の言葉に頷く。
「こっちだ!!」
そして俺達は力の感じる方に走りはじめる。
地鳴りといつ崩れるかも分からないこの洞窟をまずは抜けなければ…俺はそう考え地上を目指す。
薄暗い洞窟内……しかし僅かな光とどこからともなく感じる禍々しい魔力。
俺達は出口を目指していく。
するとその時。
『ぐへへへへ………臭う………臭うなあ……………』
突然聞こえてきた何者かの声が洞窟内に響き渡る。
「えっ!?誰!?」
「う……上から聞こえます!!」
カルマとリオの声。
次の瞬間。
ドゴオオオオオオオーーーーーーーーーンっと洞窟が目の前で崩れ落ちてくる。
「躱せえええええーーーーーーーーーっ!?」
俺は叫ぶと皆々が上から振り下ろされた腕を避ける。
すると。
「うわあああああーーーーーーーーーっ!?」
その時…躱し遅れたのは……なんとあの鬼の子鉄鬼丸だったんだ。
地上から聞こえる鉄鬼丸の声。
「鉄鬼丸君!?」
「鉄鬼丸!!??」
リオと鉄星が声を上げ地上へ飛ぶ。
「行くぞ皆!!???」
「「うんっ!!???」」
俺達は二人を追い地上へと飛び出る。
するとそこには……………………。
三人禍々しい魔族。
そして真ん中の玉座に座りこちらをニヤニヤと見ている男。
一人の男の腕にはなんと鉄鬼丸が囚われていたんだ。
『お前らかあ……この我が『鬼ヶ島』に勝手に入ってきたヤツらは……………?』
「お前は……………………」
『我が名は『桃鬼丸』……魔王軍アールハイの一人であり……そして、この地の覇者だよ。』
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