最終章邪馬国編シーン51
俺達はリオ、鉄星…そして鉄鬼丸の三人の仲間を加え…次なる敵である桃鬼丸という敵の元を目指す。
「そういえば桃鬼丸というのは鬼ヶ島という島を拠点にしてるという話だったよな?」
俺は孤氷次に尋ねる。
ここは孤氷次軍の軍本部である。
孤氷次は俺の問いかけにお茶を啜り…答える。
「ああ…そうだ……この邪馬国を魔王自ら出てくる事なく仕切っているのが桃鬼丸なのだ……そして、その配下として先の金龍そして浦賀島…その上に立ち…あの魔王の直属の部下と呼ばれる男がその桃鬼丸なのだ……そしてその桃鬼丸が棲むと言われるのが鬼ヶ島と呼ばれる昔の鬼達の暮らしていた島だったのだ。」
「なるほど……で、その鬼ヶ島へ行く為にはどうやって行くんだ!?」
すると孤氷次は難しい表情を浮かべる。
「実は我が軍の裏部隊『闇忍』というものがあった。『闇忍』は一度…天下人『天草』様の命であの桃鬼丸の偵察にと鬼ヶ島へ渡ろうとした事があったのだ…しかし相手は更に上手だった……裏部隊は特殊部隊とも呼ばれこの地でもその実力は有能すぎる部隊でもあったのだ……ところが奴らの強さはそれをも上回っていたのだ。」
そう語った孤氷次。
「孤氷次さん…奴らとは戦った事はあるのか?」
「いや…俺は直接は戦った事は無いのだが、裏部隊の当時の隊長は俺の友だったのだが…奴はマジェストの力をも持っていたのだ………。」
◇
友の名は…『猪狩』。
猪狩は問うてくる。
「孤氷次……お前はこの国をどう考える?」
俺は猪狩の話に問いかける。
「なんだ急に……何かあったのか!?」
『ああ……噂に聞いてるとは思うが『桃鬼丸』の話は聞いているか?』
俺はその名前に動揺してしまう。
その名は世界にあの魔王の復活が響いた頃……聞こえてきた。
三人の手下を従え……突如としてこの世界に名を轟かせた桃鬼丸。
当時…過去に暴れていた『鬼』と呼ばれた存在は魔王が倒されてから…邪心が消え去り精霊のような存在となっていた。
いつしか鬼の存在は人間と交わり…友の様な存在として成立していた世界……だがそんな平和は長くは続かなかった。
桃鬼丸は『鬼狩り』という名を掲げこの地に平和に暮らす鬼達を迫害しはじめたのだ。
鬼とも友好的な関係を築いていた我が君主『天草』様は心を痛め……その脅威の存在『桃鬼丸』に討伐隊を結成したのだ。
その隊長が我が友『猪狩』だったのだ。
◇
俺は考える。
確かにこの男『猪狩』は強かった…当時の俺よりも一段と強く…俺との模擬試合でも奴の白星の方が多かったのだ。
誰もがこの邪馬国にて奴の右に出る者はいないのではないか…そう言われていた。
俺もその一人であったのだ。
「『孤氷次』よ……この地は今平和の一途を辿っているのだ…そして俺や、お前達がいるのだ…たとえどの様な敵が現れようともこの地の平和と秩序は守られるであろうよ。」
そう…俺に告げたのがアイツの俺の聞いた最後の言葉だったのだ。
◇
◇
◇
「結果的には…桃鬼丸の元に向かった『猪狩』は結局二度と俺の前に現れる事はなかったのだ。」
そう言葉を終えた孤氷次。
寂しげなその表情はかつての友を失った悲しさを物語っていたんだ。
「孤氷次さん…貴方はもしかして…彼の弔いを考えていたのですね?」
そう声をかけたのはカルマだった。
すると僅かに微笑む孤氷次さん。
彼は遠い目で天を見つめ目を綴じる。
「確かに…そうかも知れないな……俺はこの部隊を任され……天草様の声にずっと従い戦ってきた……きっとそれはいつしかアイツの弔いと思い俺は戦い続けてきたのだろう……そんな今……。」
孤氷次さんは立ち上がる。
「勇者クロノ……そしてカルマさん初め皆さん……この場を借り俺はお願いをしたい。」
そう言うと孤氷次さんは俺達の前で頭を下げる。
「孤氷次さん!?」
「孤氷次………………」
驚く俺達の前で口を開く。
「俺は先の戦いで、君達の戦いを見て世の中にはかなり広いもの……だと思った……俺はまだまだ……だが……もしかしたら君達の力を借りる事できたら……あの桃鬼丸に一矢報いる事ができるかもしれない……改めて…君達の力を借りる事ができないだろうか?」
俺は孤氷次へ答える。
「ああ……もちろんだ……俺達はその為にここにいるんだ……。」
「ありがとう。」
孤氷次は安堵した表情を浮かべるが言葉をきりだす。
「一つ問題はあるのだが…あの鬼ヶ島へいく方法なのだが…………。」
するとそこへ声をかけてきたのはあの兎の獣人『誕兎』だった。
「あの……………………………その話なんだけど。」
「ん!?誕兎!?」
「ここからは僕達が恩返しをします…鬼ヶ島にいく方法を僕達がやってのけて見せます!!!」
「「なん……………」」
「「だってえええーーーーーーーーー!?」」
◇
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お読みくださりありがとうございました。




