最終章邪馬国編シーン49
俺が上空から見た光景。
サキノはじめテンテン…そしてカルマに誕兎に孤氷次さん…必死に皆が俺に協力してくれて、この地を守ってくれていたんだろう。
皆の思いに俺は今。
さーーーーーーーーっと滑空していく俺はスっと、あのたぬきの獣人『鉞狸』の目の前に降り立つ。
「皆……遅れてごめんな……でも…もう大丈夫だから。」
「クロノ………………」
「クロノさん……!」
サキノもテンテンも涙ながらに俺に声をかけてくれる。
そしてカルマも。
「クロノ……おかえり。」
「ああ…皆……後は。」
『な!?なんだあああーーーーーー!?お前はあの時の女じゃねえか!?よくも俺様に地獄を見せてくれたな!?俺様はあの時の恨み忘れてはおらんぞ!!???』
大声でそう叫ぶ鉞狸。
俺は鉞狸に目を向けるとヤツは確かに以前と風貌そしてその力も圧倒的な強さを得たように見える。
「まずは皆を解放しないとな……」
『はああ!?何言ってんだこの女!?俺様の話が聞こえてるのか!?それに今あの湧き上がる魔物にさすがのお前にもどうにもする事はできまい。』
下卑た声を上げそう告げてくる鉞狸。
俺は宙に舞う。
そして。
『はあああーーーーーーーーーーーーーっ。』
闘気を纏っていく俺。
それはやがてドラゴンを形とる。
『馬鹿め……貴様……何をするつもり……』
『竜人転移……………。』
俺の背後に巨大なドラゴンが出現する。
その時……声を上げたのは俺の魔神である雷武。
『クククッ……おもしれえなお前は…まさか俺様の弟になろうとしてた奴の転身が…あの『時竜』だったとはなあ。』
雷武の声に驚きの声を上げる鉞狸。
『『時竜』だと!?聞いた事がある…伝説だが…竜人族には三体の巨竜がいたと…一つはそこの魔神雷武……そしてもう二人は、かつて魔王様が隙をつき存在を絶ったとは聞いていたが……まさか…お前がその一人だったとは。』
『ほお?お前はただのタヌキかと思えばそんな知識ももっていたとはな。』
『くっ!?うるせえ…例え、ここにそのドラゴンがいようがこっちにはボロボロの人質がいるんだぞ!?大人しくしてやがれ!!???』
叫ぶ鉞狸。
『それはどうかな?』
俺は構える。
ドンッと俺の視界がドラゴンの目線になる。
『何を!?大人しく……!!??』
『竜旋矢』
パーーーーーーーーーーーッとドラゴンと化した俺の口から天空に放たれる光。
光はやがて無数の輝く矢に変化する。
そして俺の身体は人型に戻り構える。
俺は手を上空にかざしていく。
『ふぅ……まずは……『五月雨』』
その瞬間。
無数の矢が天空から降り注いでいく。
矢は数百匹を超える魔物達を刺し倒していく。
『『ぐがあああーーーーーーーーーっ!?』』
「「うぎゃあああーーーーーーっ」」
モンスター達の存在を光の矢と化した雨が貫き倒していく。
「これは!?」
「凄い!!凄いよクロノ!?」
「ひゃっ!?助かった。」
やがて仲間達を捉えていた魔物達も倒れその存在を消していく。
『なっ!?なんなんだその力は!!!???』
「お前は俺の大切な人達を傷つけた……それがお前の敗因だ。」
『う……うるせえ!!!???』
ジャラリと鉞狸は新たにもらったという魔神具を構え振り回しはじめる。
ギュンギュンとその回転は加速し奴の周りに恐ろしい程の風が巻き起こっていく。
『先の戦いでは遅れをとったが…二度は負ける事はない!!俺様の新たな魔神具……そして秘技の前に散るがいいーーー!!はあああーーーーーーーーーーーーーーっ!!』
巨大な竜巻をもおこしその強力な力は周辺の全てを切り裂き始める。
『はああああっはっは!!!ただの女でいれば服だけ切り裂いて辱めてから殺そうかと思ったが貴様は俺様をここまで怒らせた……このまま俺様の技で死ぬがいいーーーーーーっ!!??』
『文々《ぶんぶん》……『茶釜』あああーーーーーーーーーーっ!!』
奴の最大の技が放たれた。
その力は俺の存在を消すまでの超強力な技なのであろう。
だが……俺は。
刀を握り構え奴を見据える。
俺の魔神具にスーッと雷武が入っていく。
『いくぜ!?雷武。』
『ああ……あのたぬきは二度と復活もできねえようにしねえとなあ。』
『そうだな。』
刀を構えスタタっと駆け出す俺。
『ふん!!お前が辿り着く前にぶっ壊してやる!!??』
ドオオオオオーーーーーーーーーンッと俺の前に奴の攻撃が近づく。
「クロノちゃん!!任せろ!!新玄武盾!!」
ズババババっと俺への攻撃を受け止める亀山。
それは以前よりも強力な防壁になってくれる。
「亀山サンキュ!!」
「いけ……クロノちゃん!!決めるのは君だ。」
「ああ…。」
俺は構え直すと奴めがけて飛び上がる。
『ふん!!そんな攻撃…叩き潰す!!』
『遅いぜ…鉞狸。』
『なっ!?』
俺の身体は奴をすり抜けていた。
飛び上がる俺は抜刀する…タンっと地面を蹴り上 げ斬りつける!!
奴の身体の一部を斬り裂くと更に地を、そして宙を蹴り斬りつける。
やがてそれは光速の速さへと加速する。
『ぐおおおおーーーーっ!?なんだこの…凄まじい攻撃はああっ!!!???』
途方もない数の攻撃は奴の身体を数ミリも残さない程に粉々に斬り裂く。
そして。
かちゃりと帯刀する俺。
『武神流……竜開眼…『竜刃……』』
『うぎゃあああーーーーーーーーーーーーーっ』という叫び声を上げ鉞狸……そしてあの白虎は魔神具とともに細分化し…消滅していったんだ。
◇
◇
◇
「ふぅ……終わったな………」
俺が辺りを見回すと敵の全ての存在は消えていた。
「クロノ…さん……おかえりなさい。」
「クロノ…………おかえり!」
涙ながらに抱きついてくるテンテンとサキノ。
頑張ってくれていた二人。
するとそこに来たのは孤氷次さんとカルマだった。
「勇者よ…ありがとう…。」
「ははっ……気にすんなよ!孤氷次さん。」
そこへ俺の言葉にいつもは突っ込んできそうなカルマは俺の前には二人がいる為…俺の背中に回る。
「ん?カルマ?」
後ろから俺の背中に頭をつけ寄り添うカルマがいる。
「クロノ……こうさせてて……」
「あ…ああ。」
「おかえり……クロノ。」
「ただいま…カルマ。」
お読みくださりありがとうございました。




