最終章邪馬国編シーン44
俺は気がつきハッと目覚める。
ここは?
するとボーッとしている俺に声をかけてきた者がいた。
『ねえ、起きてよ?』
『ん?』
俺が身体を起こすと目の前に一人の女性が座っていたんだ。
「あ…やっと起きた!おはよう!」
目の前には一人の女性が笑顔で挨拶をしてくる。
俺はその表情に不思議な懐かしさを感じる。
「君は?」
俺の問いに不思議な表情を浮かべる彼女。
すると………。
「やだあああーーーーーーーーーっ!?アンタ中々起きないと思ったら急に何言い出すの!?」
「うおっ!?」
俺の背中を叩きながらそういう彼女。
すると腰に手を添えこちらを指さし彼女が告げる。
「私は貴方の可愛い許嫁『ルキ』でしょうよ!本当に突然何を言い出すのよ〜〜~!」
「えっ!?何!?許嫁って一体どういう事だよ!?」
俺は慌て問いかけるが彼女は笑顔で返す。
「まったく…寝惚けてないで……さ!服を着替えて長老の元にいくよ?私ずっと待ってたんだからね?」
「えっ?な?なにが!?一体どういう事だよ?」
「この竜村に生まれた私達はこの日を迎える事を皆がずっと待っていたのよ…さあ…服がここに置いておくから着替えたら出てくるのよ?」
彼女はそう告げると、いそいそとこの部屋を出ていったんだ。
俺はこの状況を打破する為にも着替えると部屋を出る。
すると扉を開くとそこは眼下に雲の雲海……まさにここは天空の村と呼べる光景が広がっていた。
俺はその光景に見とれていると。
「あ?きたきた!さあいこうよ?」
「あ…ああ。」
俺の腕を組み共に歩き出す彼女。
彼女はとても嬉しそうに微笑んでいる。
だけどこの時の俺も動揺しつつも懐かしさで心はいっぱいだった。
ふと思い出す。
俺の事を竜人族と呼んでいた雷武。
確かに俺はその竜人族という力がありこれまでの戦いでも自身の血の事は知っておかなければならないとは思っていた。
そして……そうか……俺はここで本当の自分を知る為にこの状況に立たされているのかもしれない。
徐々に冷静に考えれてきた俺。
この隣の女性とは許嫁とはきいたがどんな関係なのだろう。
そしてこの俺は竜人族のここで過去を知りにきたんだ。
そう考えながら歩いてきた俺達の前には教会なのであろうか?
高くそびえる目の前に俺達は立ち止まっていたんだ。
「さあついたわ……中に入るけど心の準備はいいかな?」
「ああ。」
俺達は二人、扉を開け中へと歩を進めたんだ。
◇
◇
◇
中に足を踏み入れる俺達。
目の前は礼拝堂になっていて…ここは確かに教会の中なのだろう雰囲気を俺は感じたんだ。
そして奥には神父なのであろうか…一人の男が神へと祈りを捧げていたんだ。
俺は『ルキ』に誘われるように神父の元へと歩いていったんだ。
すると俺達に気づいたのであろう神父は祈りを止め声をかけてきたんだ。
「おお……きたか……『ルキ』よ……そして『竜天』」
どうやらこの時の俺の名前は『竜天』なのだろう。
そして俺は彼女の声にも懐かしさを覚えたのだけど…この神父の声にも同様に心の中に懐かしさを覚える。
俺はこの二人を知っているのだろう
そう考えつつも…この状況は俺の思いを取り残し進んでいく。
すると『ルキ』が口を開く。
「長老……お待たせしました……そして……やっとこの日が訪れた事…私達はずっと待っておりました。」
俺は言葉言葉に疑問を感じていた。
だけど状況はどうやらこのまま進んでいくようだ。
「ふむ……二人はいよいよ『婚儀』をおこなえるの……そういえば『ルキ』よ……お前の兄である『雷武』はどこにいったのだ?さては妹の婚約がよほど気に入らないのか?」
笑いながらそう告げた長老と呼ばれる男。
『お兄ちゃんは私が今日の婚約の話をしたら怒って飛び出していったのです…本当に困った兄です。』
そうぷくっと頬を膨らまし軽く怒ってる様子の彼女。
なんだなんだ?
この状況って?
雷武ってあの雷武なのか?
そして俺が雷武の妹と結婚するだって?
これは一体どういう事なんだ?
俺はもう何がなんだか分からなくなっていた。
だけどこれが本当にあった出来事だとしたら。
これは俺に竜人族の何かが見せている俺の過去だとしたら。
俺はこの歴史とも呼べる出来事をやはりあの時言われたように…俺は知らなければならないのだろう。
俺はそのまま彼女の隣に立ち止まっていた。
彼女は俺の手をとり神父前に立つ。
このまま俺は彼女と結婚するのだろうな。
これが俺?そして竜人族にあった歴史の一部なのだろうか。
俺はそう考えつつも前を向く。
すると。
バーーーーーーーーーーーンッと突然、教会の扉が吹き飛んだんだ。
するとそこには息をきらしながら立っていた一人の男。
『はあ……はあ……』
『えっ!?兄さん!?』
『おお……やっときたのか?お前もそろそろ…妹離れをせんか…なあ。』
『雷武よ。』
◇
◇
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お読みくださりありがとうございました。




