最終章邪馬国編シーン43
俺が気がつくと、モヤのかかる山道に立っていた。
ここが竜の富士と呼ばれる山。
不思議なモヤが、かかってはいるが俺を先へと誘っているかのように感じてしまう。
「ここが……竜の富士。」
「凄い霧だ………クロノちゃん……足元に気をつけて………」
隣りを歩く亀山の声。
俺達は、ただ前へと歩を進めていく。
すると…俺の腰にさしている刀から何らかの力が溢れだしている事に気がつく。
次の瞬間。
『うがあああーーーーーーーーーーーっ!?』
叫び飛び出したのは俺の魔神雷武だった。
『雷武!!!???』
俺達の元からドラゴンの姿の雷武は飛び上がり遙か空へと舞い上がっていく雷武。
「なにっ!?」
「「雷武ーーーーーーーーーっ!?」」
俺達は突然の出来事にただ立ち尽くしていたんだ。
俺と亀山はボーゼンと空を見上げていた。
すると、気がつけば目の前のモヤが避けていき一筋の道へと変わっていたんだ。
「前へ進めって事か…………」
「クロノちゃん……そうみたいだね…いこう。」
「ああ」
俺は頷き…また先へと進んだんだ。
◇
◇
◇
そして俺達二人は、どんどん山を登っていく。
道は一筋の道だけ…辺りはモヤで周囲は全く見えなかった。
足元は火山灰が積もった道で油断すると滑ったりもする。
飛んで行けるかとも思うのだが…どうやらこの山の影響だろうか今の俺は飛行能力も失っているようだ。
雷武の戻らない俺の刀…俺は無事……そして共に進むのは亀山だけだ。
亀山は果たして何を思い俺と共にこの道を進んでいるのだろう。
そんな事を考えながら登っていく。
俺も確かに気になってはいたが雷武は俺の唯一無二の魔神なのである。
これまで自分自身のパワーアップ…それに伴い魔神雷武もまたパワーアップしてくれたんだ……それに加え……魔神具としてドワーフ王が俺にその力を貸してくれている。
ここまで俺達は確実に強くなってきたんだ。
そしてラブラと一つになった事で勇者としての能力まで得た俺。
だけど……亀山との出会いで更に俺は亀山に何かを感じていたんだ。
そんな俺は不思議なのだがこの山に懐かしさの感じている…そして誘われるようにどこかに向かっているんだ。
ここにはきっと俺という存在の何かがあるのかもしれない。
この場所で俺はきっと。
◇
◇
◇
俺は我に返る。
「ん!?ここは……………………………………。」
俺は、いつしか、とある場所に辿り着く。
ここは山頂に近い場所なのだろうか………。
辺りはゴオオオーーーーーーーッと暴風が吹きすさぶ。
俺達はいつしか砂嵐に巻き込まれているのに気が付き目を開けているのも辛かった。
「うっ!?これは!?」
すると、いつしか隣りにいたはずの亀山の姿もなかったんだ。
「亀山!?」
辺りを見回すも…今はここには誰の姿もなかったんだ。
俺はここに今一人、前に進んでいたんだ。
すると…どこからともなく誰かの声が聞こえてくる。
『……我々は竜人族と呼ばれし者……』
「ん!?………誰……なんだ?」
こんな声が聞こえてはいるが辺りは相変わらず暴風の中だ…まともに前に進む事すら厳しい状況。
俺は問いかける。
「ここはかつて竜人族の住んでいた場所なんだろ!?」
ごーーーーーーーっと吹き荒れる風。
俺の言葉はあの声の主の元へ届いてるのだろうか?
すると例の声の返答が、かえってくる。
『そうだ…だが少しだけその状況は違うのだ。』
「どういう事だ!?」
『フン……そうだなあ……ああ……ならばお前に我々の歴史を知ってもらおうではないか。』
「歴史?なあ?多少は聞いてはいたけど……俺は一体どんな存在なんだ?」
すると。
いつしか俺の目の前には一頭のドラゴンが座りこちらを見ていたんだ。
「なっ!?アンタは…………………………………」
俺は目の前の巨大なドラゴンに声をかけていたんだ。
ドラゴンの圧倒的な巨大な容姿。
雷武とも違うこのドラゴン。
するとスーッと首そして顔をこちら向けてくるドラゴン。
黒光りする強力そうなその姿。
見れば誰しもが固まってしまいそうなドラゴンの存在はいつしか現実化する。
『我は、この地に眠る過去の竜人族の末裔。』
「竜人族の末裔……って事は未だに存在している竜人族だという事なのか!?」
『ふむ……貴様は聞くよりも実際に体感した方が全てを納得するタイプの存在なのだろうな。』
「えっ!?どういう事だ!?」
するとドラゴンはこちらに近づけていた顔を持ちあげていったんだ。
『これから貴様に我々竜人族の歴史を体感してもらう。』
『歴史を体感だって!?』
『ああ……自分を知るには我々との繋がりを知らねばならん…そしてもちろん歴史もそうだ……その全てを知る覚悟は。』
グググと奴の顔が俺に近づいてくる。
『貴様にはあるのか?』
黒きドラゴンに問われた俺は。
心の中で呟く。
『俺の全てを知る為に俺は…逃げない。』
すると目の前の光が輝いていく。
あまりの眩しさに俺は視界を失ったんだ。
◇
◇
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