最終章邪馬国編シーン42
カルマ視点
クロノは竜の富士へと何かに誘われるようにスーッと消えていった。
ここはクロノが帰るまで頑張らないと。
私は改めて魔族の敵軍を見据える。
禍々しい魔力を漂わせる魔物の群れ。
しかも有に百は超えてるかと思える程の大群。
すると何者かの声が聞こえてくる。
『ククク……………あーーーーっはっはっは!!久しいのお…………孤氷次!?』
「なに?貴様は……そうか……鉞狸………どうやって復活したのだ?」
そう…この魔物の群れを率いてきたのは…なんとクロノ達に倒されたハズのあのたぬきの王『鉞狸』だったの。
「あっ!?あの時のタヌキ!?」
「また私達の邪魔をしにきたのね!?」
サキノちゃんもテンテンちゃんもあのタヌキ…そう四聖獣の一人『白虎』を魔神としたあのタヌキの王がこともあろうにこの魔族の軍勢を引き連れてここまでやってきたようだ。
すると奴は口を開く。
「クククッ…確かに俺様はあの時、小僧共の攻撃によって斬られた……………」
◇
◇
◇
俺様は死の淵を彷徨っていたのだ。
魔神である四聖獣白虎と共に異空間を漂う俺……その時。
微かに脳内に聞こえてきた声があった。
『鉞狸よ……聞こえるか?』
その声はどこからともなく俺様の脳内に届けられたのだ。
『鉞狸よ。』
『だ……誰だ!?』
俺様は脳内で、そう問いかけた……すると。
『我が名は魔王ゼルドリス…この世界の真の支配者である。』
次の瞬間。
俺は全身が何故か復活し肉体も戻り…とある部屋内にいた。
目の前の暗闇には存在も見えぬ魔王の声。
俺様は驚愕した。
目に見えぬ存在というのがこんなにも恐るべきものだと、この時初めて知ったのだ……。
俺はそれから怯えるように魔王様の命令に従い続ける。
そして……やっとここへ貴様らへの復讐という目的を魔王様より得てここへ来たのだ。
◇
◇
◇
どおおおーーーーーーーっと力を解放させる鉞狸。
背後にはあの『白虎』が復活したかのように存在していたの。
『クククッ……俺様は魔王様のお力により復活し…そして以前とは比べ物にならぬ程の力を得た。』
そう言った鉞狸。
確かに以前よりその力も強力になったのかもしれない。
すると。
魔力をあげていく鉞狸。
その異様な空気に私達も身構える。
そして孤氷次さんは口を開く。
「何を……するつもり……だ?」
『クククッ…まあ見てやがれ……があああーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!』
『泥船ーーーーーーーーーーーーっ!!』
鉞狸は叫ぶ。
すると……シンっと辺りにも何事も起こらない状況。
「なんだ……何事も起こらないではないか……とんだハッタリか?」
兵士の一人がそう返し歩み寄ろうと足を踏み出す。
すると。
ズプズプと足元の大地が泥沼へと変わってしまい足を取られる。
「うわっ!?これは!?」
どんどん足元にできた泥沼に引きずり込まれる兵士の一人。
すると次々と泥沼にハマっていく。
「くっ!?なんだと!?しかも魔物の勢いも!?うぎゃああああーーーーーーーっ!?」
足元をとられバランスを崩した兵士たち。
「こんなもの飛べば問題あるまい!?はあああっ!?なにっ!?」
飛び上がった兵士の足を掴む何者か!?
それは泥沼から這い出してきて泥沼に引きずり込もうとしている魔物『泥人形』だった。
このままでは!?
『クククッ…我が進化した能力……だが俺様はそれだけでは…………ないっ!!』
鉞狸はカルマに斬りかかろうとしたその時。
ガキイイイーーーーーーーーーーーーンとやつの魔神具を弾いたのは孤氷次さんだった。
「くっ!?貴様は孤氷次……貴様ここまで我々の邪魔をするとは……タダでは済まさんぞ?」
「フン……やれるものならやってみるがいい。」
ガチャりと音を立て取り出したのは以前の奴の魔神具とは違ったものだった。
「それは。」
『クククッ…これが俺様の新たな魔神具である……』
すーーーーっと見せてきたその魔神具。
ゴゴゴと共に姿を見せていく魔神『白虎』
『ふしゅうううぅぅぅ…………………我、復活した……真の我が力見せてくれるぞ。』
そう言い放つ魔神白虎。
それは奴のパワーアップを更に明らかにしていた。
『ここに立つ者共よ………くらうがよい。』
『底なし泥沼。』
この地に響き渡る四聖獣である魔神白虎の恐るべき力。
「なにっ!?この力は!!??まさか!?」
『グヘヘヘヘ……くらうがいい……我を死地へと誘った奴ら……そしてトドメをさした本人である勇者よ……貴様のあの我を絶望に落とした事を仲間達の死により悔やむがいい!!!』
ドゴオオオオオオーーーーーーーーンっと激しい力がこの地の全てを飲み込んでいく!!
「「これは!?貴様ッ!?」」
「「なにこれ!?いや!!いやあああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」」
絶望の声がこの地に響き渡る。
そして残ったのは高々に笑う白虎と鉞狸の笑い声だけだったんだ。
『あーーーーーーーーーっはっはっは…………………………………。』
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◇
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お読みくださりありがとうございました。




