最終章邪馬国編シーン41
俺達は金龍を倒した。
そして突然現れた四聖獣の一人『朱雀』
炎の怪物を倒した俺達は。
「ふぅ……ひとまずあいつがばら蒔いた怪物達は一掃できたな」
「ああ……君達本当にありがとう。」
孤氷次達と共に炎の怪物を退治した俺達。
ここは足柄国……俺達は孤氷次の後を着いていく。
そこは……まるであの雪原が嘘のような大草原へと変わっていたんだ。
「うわあああーーーーーーーーーーーっ!?」
「すっごおおおーーーーーーーーーーい」
そう叫んだのはサキノとテンテンだった。
すると孤氷次さんが大いに笑う。
「そうだろう…そうだろう…ここは邪馬国でも名だたる大自然…そしてその大自然の恵で有名な地……そしてあれを見ろ!?」
孤氷次さんが指差した先には巨大な山がそびえ立っていたんだ。
「あれが………」
「ああ……あの山こそがこの邪馬国一の山…『竜の富士』と呼ばれる山である。」
俺達の数キロ先に見えたその山は、俺が飛んだ時に見え、そして気になった山だったんだ。
「遙か昔……この俺が登った時もそうだが……この竜の富士は霊峰とも呼ばれ…様々な生物…そして『神の聖域』と呼ばれる守り神が棲むとも言われる場所なのだ。」
「そんな山だったんだな」
俺は改めて山を見やる。
「どうだ?君には…やはりあの山に行かなければという呼ばれてる様な感覚はあるか?」
俺にそう問いかけてくる孤氷次さん。
空中から見たあの山…確かにどこか懐かしさも感じたのかもしれない。
俺が眺めていると……。
突然後方から何かの気配を感じる。
「なんだ!!???」
次の瞬間ドドドという多数の足音が聞こえてくる。
「あれは…!!!??」
孤氷次さんが身構える。
「狐火………………………………」
ボボボッと発する火の玉。
ゆらりゆらりと漂う火の玉は次の瞬間。
ドドドっと何者かに飛んでいく。
どごーーーーーーーーーんっと敵を吹き飛ばす。
「どうやら魔族共が何かに勘づき君の邪魔に来たようだな……クロノ……ここは我々に任せてゆくがよい!!」
「それなら僕がついていくよ!!」
俺の行く先を進めてくれる孤氷次さん。
そして亀山もまた着いてきてくれるという。
「それなら私達の誰かも…………」
カルマの声に孤氷次さんは制止する。
「いや……彼には共に行かなければならない何かを拙者は感じるのだ。」
「孤氷次さん!?」
「さあ、勇者クロノよ!!ゆくがよい……そして残った者は拙者に力を貸してほしい……クロノ殿の行く末をここで待とうぞ。」
するとカルマが俺に微笑む……。
「クロノ……今まで本当に皆……そして私の為に一生懸命になってくれてありがとう……きっとここでクロノが本当の自分を知れるかもしれない……クロノがどんなクロノだって……皆クロノが大好きだよ……だから自分を知ってきて……ここは私達が守るんだから!!!」
するとサキノとテンテンも続ける。
「クロノ!私だってクロノの為ならなんだってできるの!!もう守られるだけじゃないよ!?私!!クロノが大好きだもん!!」
「もおーーーっ!?二人ともズルいって!私だってまだクロノさんに出会って浅いけど…好きな事だったら負けないもん!!」
三人は俺にそう言ってくれる。
そしてカルマは。
「クロノ…あなたに今まで出会ってきた皆だってそうよ…あなたの為なら…皆立ち上がってくれるわ 。」
俺は……。
そして後方から迫り来る魔王軍の魔物の群れ。
俺がこの状況……大切な仲間達を放っておける訳ねえじゃねえか。
俺が振り返ろうとしたその時。
突然目の前の竜の富士は煌めいていく。
「な!?なんだ!?」
すると脳内に聞こえてくる声。
『クスクス……あなた……とうとうここまで辿り着いたのね。』
「えっ!?アンタは……一体!?」
『もう……私達の血をひく者はこの世界にあなたしかいないの…でもあなたに私達の血……『竜の意志』を受け継ぐ覚悟はあるのかな!?』
俺はいつしか不思議な空間の中に立っていた。
暗闇の空間。
パーッと光が差し込むと。
目の前に巨大な扉が俺の眼前に立ち塞がっていた。
『これは?この先に何かあるのか!?』
俺は扉に手をかけてみる。
簡単には動かない巨大な扉。
すると。
突然隣に現れたのは亀山だった。
『クロノちゃん……この扉の先に行くんだろ?』
「亀山………」
するとまた隣には雷武が現れる。
『クロノ……この先にはきっと俺達竜族の何かがあるのだろう……俺にとっては久しぶりの何かだが……先に……いくのだろう!?』
「雷武…………」
俺は二人を見る。
俺と何かの繋がりがあるのかもしれない雷武。
そしてここまでこれた亀山もまた俺との繋がりがあるのだろうか。
俺は本当の自分を知る為に。
ゆっくりと扉を開いていったんだ。
ギギギと開いていく巨大な扉。
俺の両側には二人がいてくれる。
さあ……見に行こう。
俺という存在の真実を知る為に。
俺達の目の前には。
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