最終章邪馬国編シーン40
リオ視点
ここは邪馬国…私達三人。
私達は『雀の宿のある竹里の村』へと向かっていた。
私達の旅先で偶然出会った女性。
そして彼女は雀の獣人、名は『鈴雀』さん。
彼女の気がかりな娘さんを救う為に私達は彼女の村へと向かっていたの。
すると見えてきたのは鬱蒼とした竹林。
彼女は竹林の中の僅かな獣道を進んでいく。
続くように足を踏み入れていく私達。
「さあ…皆さん……着きました。」
声をかけられ目にした景色は竹林の開けた場所にあった村の中だったの。
鈴雀さんはゆっくりと村の中へと入っていく。
私達の目には竹林そして竹で作られた家々が何者かによってバキバキと破壊された跡。
明らかに村の中は荒らされ誰もいない様に感じたの。
すると鈴雀さんは立ち尽くす。
そして大声を上げたの。
「雀奈!?雀奈ーーーーーーーーーーっ!?」
娘さんであろうお子さんの名を叫ぶ鈴雀さん。
その痛ましい光景に私も名を呼ぶ行為を一緒にする。
「雀奈ちゃん!?雀奈ちゃーーーーんっ!?」
そして私達に加わり声を上げる『鉄鬼丸』君。
「雀奈ちゃーーーーーーーーーんっ!?雀奈ちゃーーーーーーーーーーーんっ!?」
すると鉄鬼丸君に目を向ける鈴雀さん。
「どうしました?」
私が問いかけると難しい顔をして彼を見つめ続ける。
「彼は……もしかして………おに………ですか?」
「ええ……そうですね。」
ゆっくり彼を見ている鈴雀さん。
彼女は言葉を続ける。
「私達は鬼達とも交流がありました…でも……魔王が復活した時……それまで友好的だった鬼達は私達を迫害し始めました…娘はそれまで友達だった鬼の子が突然変わってしまってその事にショックを受けていて……。」
私は鉄鬼丸君を見つめる。
「鉄鬼丸君を見てください……彼はあの街で、ずっと一人で……鬼でも色々な鬼がいるはずです。」
私がそう告げると鈴雀さんも静かに彼を見ていた。
「はい……そうですね……彼が私の為にあんなに必死に……なんだか私も元気が出ました。」
「雀奈ーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
鈴雀さんはそう叫ぶと鉄鬼丸君に微笑む。
それに返すように頷きまた大声を上げる鉄鬼丸君。
「雀奈ちゃーーーーーーーーーーーんっ!?」
「雀奈ちゃん出てきてーーーーーーーーーっ!?」
私達はまた彼女の名前を呼ぶ。
すると。
ガタガタっと何かの音が聞こえる。
それは倒壊した建物の辺りから聞こえたの。
「雀奈!?」
鈴雀さんはその場所に駆け寄っていく。
私達もその後を追ったの。
そこには。
倒壊してしまった家の隙間に誰かの小さな手が出ていたの。
「雀奈!!???」
「マ……ママあ…………」
私達の目の前で倒壊した建物の下敷きになっている雀奈ちゃん。
「うーーーーーーーーーーーーーーんっ!!」
木々を退けようと必死になっている鉄鬼丸君。
「私もやるわ!?」
鈴雀さん、そして私も加わるが簡単には動かない木々の山。
「これは……ス、スク……」
私がスクエルを呼ぼうとしたその時。
私の肩に触れたのは鉄星様。
「鉄星様!?」
「ああ……俺がどかそう。」
鉄星様がそういったその時。
どごおおおーーーーーーーーーっと木々をバラバラに撒き散らし、雀奈ちゃんの身体を捕らえ空に舞った化け物。
それは翼を生やした猿だった。
「くききっ!?かかったな…鈴雀ぁ……お前があまりにもいい女だったから僕の物にしようと企んだ策にまんまとハマったよなあ……。」
「あなたのその声は!?あの時、宿に泊まった嫌なお客さん!?」
「へへ……覚えてるじゃねえか……そうさ、お前が大人しく僕の物になっていれば…ワザと…娘を桃鬼丸様に当たらせあんな事にはならなかったって事だ。」
「どういう事ですか!?」
「僕は元々桃鬼丸様の兵だ……だが…僕は桃鬼丸様の元一緒に、この村に来てみればお前がいたって事さ…僕はお前が欲しくて欲しくて考えた…そしてあんな罠を思い浮かべ実行したという事だ。」
「そんな……この村だって村の人達だって何もしてないじゃない!?あなたが狙うなら私一人だけを狙えばいいでしょ!!!???」
鈴雀さんは涙ながら叫ぶ。
「くきき……さあ……娘はそこの奴らに渡してやる……お前は僕の元へこい。」
酷い……ここまでの事がこの非道な男の欲望の為の悪行だったなんて。
私は許せなかった。
その時。
「お前ーーーーーーーーーーーーーーっ!?僕は怒ったぞ!?」
そう叫んだのは鉄鬼丸君だった。
「ガキが……………ガキの分際で………まあいい……僕に逆らったらどうなるのか……このガキでお前らに教えてやる。」
男はゴゴゴと獣人化していく。
それは猿の獣人。
そして。
男は更に高く飛び上がる。
次の瞬間、ゴーグルをかけ両手を広げ魔力を集中していく。
「邪魔な奴らはきえろ!?」
『眼眼!!』
奴のゴーグルから放たれるエネルギー!!
それは確実に私達を狙っていたの。
その時。
「リオ!!スクエルのバリアで彼女達を防御してくれ!!鉄鬼丸は俺とこい!!」
「「はい!!」」
『スクエル!!ハートガード……あれっ!?』
まずはスクエルのバリアで防御しようとした……その時……今までのスクエルの反応が違ったの。
「ケケケ……もおーーー遅せえええーーー!!」
「スクエル!?お願い!?このままじゃ間に合わないっ!?」
私がそう言葉にしたその時。
スクエルが私の身体をするすると駆け上ってくる。
「えっ!?」
そして…私の頭上で光り出すスクエル。
すると…脳内に聞こえてくるスクエルの声。
『リオ…彼女達を心から救いたいと思った貴女はもっと強くなれる…そろそろ私達は一つになれる…いいかしら?』
『スクエル?……うん……分かった。』
私は目を閉じるとスクエルの力を身体中に感じる。
『魔神融合……リオinスクエル』
私とスクエルはこの時……融合したみたいなの。
「それは……リオ!?」
「鉄星様!大丈夫です!」
「そうか…どうやら…リオにも俺と同じ力が眠っていたのか………。」
「行きます!!たあああーーーっ!!」
スクエルと融合した私はするすると走る。
そして二人の親子の前に立つ。
「リオさん!?」
「お姉ちゃん!?」
「二人とも、もう大丈夫!!」
私は構えるとカードを放つ。
『スクエルカード……ハートガード!!』
パーッと放った光は私達を包み込む。
「くええええーーーーーーーーーーっ!?」
奇声を上げ攻撃してきた男。
その瞬間。
目の前でバキッと男の攻撃を完全に遮断する私の強力なバリア。
スクエル単体の能力の上をいってるのを実感したの。
男は悔しげに叫ぶ。
「なにっ!?こんなバカな!?」
「これは凄い……鉄星様!!こっちは大丈夫です!」
私の声に鉄鬼丸君が叫ぶ。
「お父さん!!」
「ああ……『魔象烈虚』。」
鉄星様のエレファモス。
そしてなんと、エレファモスに乗る鉄鬼丸君。
二人は叫ぶ。
「「うおおおおーーーーーーーーーーっ!?」」
「な!?なんだお前らは!!!???」
『『魔象……鬼丸』』
マンモスと鬼の融合したその姿。
それは私も体感した魔神とマジェストの『融合』という姿。
これは鉄星様の特殊な能力と鉄鬼丸君の鬼としての能力の融合。
私だけじゃなく二人も能力をいつしか開花させていた。
そして…ドガガガーーーーーーーーーンッと凄まじい攻撃が男の身体をとらえる。
『こんな……ぐあああああーーーーーーーーっ』
男は激しい攻撃を受け……ボロボロになり消えていったの。
そして私達は。
◇
◇
◇
「本当に……ありがとうございました!!」
そう嬉し涙の鈴雀さんが声を震わせ言葉にする。
左手に繋いだ小さな手はにっこり微笑む雀奈ちゃん。
きっとこれから二人はずっと一緒だと思う。
「じゃあね、雀奈ちゃん、お母さんを大切にね?」
「うん!お姉ちゃんもありがとう。」
「うん!またね!」
私達は雀の宿から旅立つ。
「リオ…これから行くのは……あの桃鬼丸だ…大丈夫か?」
「もちろんです!鉄鬼丸君も大丈夫!?」
「うん!!僕はお父さんとお母さんと一緒だよ!」
にっこり笑って、そう言ってくれる鉄鬼丸君。
私達は少しの幸せを感じながら。
行く先は………………あの……桃鬼丸の元へ…。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました。




