最終章邪馬国編シーン39
『ぐああああああーーーーーーーーーっ!?』
激しい爆炎……そして刃により斬られた金龍は激しく叫ぶ。
そして奴は地に倒れていったんだ。
ズドオオオーーーーーーーーーーーーーンっと轟音を立て沈み……そして。
◇
◇
◇
「やっ………………た。」
「「やったーーーーーーーーーーーっ!?」」
「「あの……金龍が倒れたーーーーー!!!」」
金龍の身体は斬り裂かれていく。
『ぐっ……こん…な…バカ……な………ぐはっ!?』
倒れゆく金龍。
それを目に口を開く孤氷次とカルマ。
「やった………のか…………。」
「そ、そう……みたい……です。」
俺たちの前でズシーーーーーーーーーーンと地に沈む金龍。
「「うおおおおおーーーーーーーーーーーっ!?」」
兵士たちの声を皮切りに皆がこの状況に大歓声を上げる。
「「金龍が倒れたぞーーーーーーーっ!?」」
これまで無敗との呼び声が高かった金龍が倒されたのである。
これはこの大地に衝撃を走らせるものだった。
俺たちもやっと安堵したんだ。
「ふうぅぅ……やったな。」
『俺様がいるんだ……当たり前だろう?』
「僕も……クロノちゃんを守れて良かった。」
俺に声をかけてくれる雷武と亀山。
これは三人の超攻撃の賜物なんだ。
「ああ……やったな、二人とも……サンキュ。」
二人は満更でもなさそうだ。
すると……声が聞こえてきたのは倒れ動けなくなっていた…金龍の消え去りそうな声だった。
『ぐっ……はあ…はあ……貴様は…あの竜人なんだな……』
そうつぶやくように俺に問う金龍。
俺は身構える事無く金龍の最後が分かっていた。
「ああ…そうらしいな。」
『そうか……やはり………』
そういうと金龍は続ける。
◇
俺は今まで無敗の強さを誇ってきた。
だが…魔王により滅ぼされ今は存在すらしなくなった竜人の話は聞いていた……全ての存在の頂点にいた竜人……そんな竜人といつか戦ってみたかった…だがそれはどうやら……叶ったらしい……そして……俺の負けだ。
そう言った金龍。
金龍の目は虚ろになる。
『俺はもう……悔いはない…そして…竜村と呼ばれる場所には……今も何かがあるかも知れん…行ってみるがいい……最後に願いを叶った事に…礼を………』
金龍がそう言葉を終えようとしたその時。
突然の爆炎が俺たちの前に立ち上る。
燃やされ一瞬で灰と化す金龍。
「なっ!?誰だ!?」
すると燃え上がる炎が徐々に姿を変えていく。
それは炎の怪鳥。
「あれは!?」
「きっとあれは……僕達との同種……四聖獣の最後の一人……『朱雀』」
俺の声に返す亀山。
俺たちは朱雀の姿に目を向けていた。
「どうしてここまで……燃やすことまではなかっただろう!?」
俺はそう朱雀に叫ぶ。
朱雀はこの大地を火の粉を撒き散らしていく。
すると周囲の氷は徐々に溶けて消えていく。
その力はとてつもないものだった。
数度飛び回るとこの足柄山周辺の氷と雪が消えてなくなっていく。
「これが………四聖獣最後の一人……朱雀の力なのか!?」
「やばいよ……クロノちゃん……あれだけの雪と氷の世界だったのに……全て溶かされてしまっている。」
俺たちはその力に驚きを隠せなかった。
すると飛び回る朱雀から声が聞こえてくる。
「ふふ………よくぞあの金龍まで倒したねえ……僕は四聖獣『朱雀』『桃鬼丸様』の魔神さ。」
「あれが……魔王の残る配下……鬼の力を持つと言われる……最悪の鬼神……桃鬼丸の魔神なのか。」
「それって……孤氷次さん!?」
カルマは孤氷次さんに問いかける。
「ああ……そいつがこの邪馬国の人々を魔王に代わり根絶やしにしようと企む男……鬼の力を持ち魔王ですら一歩下がると言われるいわば……この地上最強とも言われる男……『桃鬼丸』だ。」
俺たちの前に現れ…あの金龍を燃やし尽くしてしまった四聖獣の一人朱雀。
すると朱雀は口を開く。
『うふふ……金龍を倒したという事はぁ……………次は我が王『桃鬼丸』様を狙ってるという事だよねえ?』
すると孤氷次は告げる。
「そういう事になるが……なにか問題でもあるのか?」
『うふふ……そうじゃないわ……我が王桃鬼丸様はとても寛大なお方なのでね……あなた達がくるのをとても楽しみに待ってるって言っていたわ…それでお優しい桃鬼丸様は『鬼』達を沢山従えているの…だからさあ。』
ゴオオオオオーーーーーーーーッと炎を身に纏い上空へ飛び上がっていく朱雀。
やつの炎である翼からは火の粉がぽたぽたと落ちている。
すると次の瞬間。
落ちた火の粉は突然その姿をボッと変化させる。
次の瞬間鬼と化す炎。
そして朱雀は笑い出す。
『あーーーーーーーっはっはっはっは!!私はこのままこの邪馬国全地帯へ向けて飛び炎の魔物を拡散させていくの!!あなた達は決して桃鬼丸様には勝てないわ!!』
ゴオオオーーーーーーッと炎を上げ天高く飛んでいく朱雀。
新たな敵の名を告げて飛び去っていく四聖獣の一人『朱雀』
それはこの地を中心に世界へ向けての攻撃を開始した魔王軍の宣戦布告だったのかもしれない。
その時あの地でも。
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