最終章邪馬国編シーン35
『ふうぅぅぅ……今日も冷えるじゃねえか。』
そう言いながら俺たちの前に堂々と姿を現したのは……なんと目指す敵の大将『金龍』だったんだ。
巨大な身体……そして圧倒的威圧感。
これがあの噂に聞く金龍。
すると俺たちの前に辿りついた金龍は口を開く。
『貴様らは………何者だ?』
◇
俺たちの前に堂々と立つこの男。
その存在感に動けずにいる俺たち。
すると口を開いたのはこの部隊のリーダーである狐氷次さんだった。
「我々はこの邪馬国の平定を願う義勇軍であり……貴様らの蛮行を食い止めにきた者だ……大人しく……観念するがいい……金龍よ!!?」
そう、俺たちの先頭に立つのはこの男……狐氷次なのである。
金龍にも負けない程の闘気を放ちそう告げる狐氷次さん。
それに対し静かに微笑む金龍。
『クククッ……いいねえいいねえ……これだけの事をしてやったら、こんな大物共が釣れてきたじゃねえか…。』
「なにっ!?金龍……貴様……」
ジリジリとその身を震わせる狐氷次さん。
「俺はな…生まれながらにして強くてな……これまで我こそは強者と公言した者共と戦ってきた……だが……それは本当に口だけだった……確かに俺様にはこの最強の青龍がいる……だが魔神青龍を使う事までなくこれまで負けしらず……全戦全勝だ……故に……この世は退屈すぎたのだ……そんな俺に声をかけてくれたのが魔王ゼルドリスだ……奴ともいずれ力試しはしてやるが……」
ドーーーーーーーーーーーーーッと魔力を解放される金龍。
「まずは貴様らで楽しませてもらおうか。」
そう言い放った金龍。
凍える闘気を解き放った金龍は先程まで真っ白な銀世界だった地表を更に凍らせ氷河の世界へと変えていく。
その力により……我が軍の兵士達へも影響が現れ始める。
「うあああーーーーーーーーッッッ!!!」
「あがっ!!あああーーーーーーーーっ!?」
絶叫と共に対冷性の少ない兵士達はたちどころに凍りついていく。
「くっ!?お前ら…………くっ………魔神…九尾の狐」
狐氷次の背後に現れし魔神。
炎をメラメラと立てるその姿は流石といえよう。
「お前の好きにはさせんぞ…金龍。」
魔神具である小太刀『朧月夜』を構える狐氷次。
「狐火灯篭」
ボボボッと狐氷次さんの周囲の宙には数個の火の玉が出現し、ふわふわと浮いている。
「くるがいい。」
◇
◇
◇
こうして俺たちの前に現れた金龍。
そして対抗する俺たちと狐氷次さんVS金龍の戦いの幕はあけたんだ。
◇
◇
◇
ガキイイイーーーーーーーーーーーーーンと交差する金龍と狐氷次さんの魔神具。
それは流石狐氷次さんといえるものだった。
すると金龍はニヤリと微笑む。
「クククッ…面白いじゃねえか……この戦いは誰にも邪魔はさせん…出てよ……白銀の魔物共よ。」
金龍がそう言い放つと。
急に目の前の雪がモコモコと動き出す。
すると。
ボコボコっと姿を現したのは雪……そして氷を司るであろう魔物達だった。
「なんだアイツら!?」
「こっちにまで!?大きいのから小さいのまでかなりの数がいるよ!?」
叫ぶサキノとテンテン。
『クククッ…お前らもただ俺たちの戦いを見てるだけではつまらぬだろうて…俺からの…………。』
ダンっと狐氷次に向かい両手を重ねる金龍。
『プレゼントだっ!!???』
ドオオオーーーーーーーーーーーーーッと放たれた超でかい闘気波。
「くっ!?これはやばいっ!?」
咄嗟に交わした狐氷次さん。
だがそんな彼も左腕がパキパキと凍らされてしまっていたんだ。
だが狐氷次さんの背後には。
金龍が放った超でかい闘気波により凍らされた大地だった。
「こんな……これほどまでの破壊力とは……これは。」
スタっと着地する狐氷次さん。
凍りついた腕を抑えてはいたが。
「むんっ…………………はああああっ。」
狐火は燃え上がりそして次第に彼の凍らされた腕の氷が溶けていったんだ。
「おお……すごい。」
「狐氷次さん……本当に凄いぜ。」
俺たちは狐氷次さんの戦いに見惚れてしまうほどだった。
すると金龍が口を開く。
「ふん……貴様は元々…雪狐であろう?なんか熱いの出してんなと思ったらそういう事か…。」
「黙れ……貴様の能力は分かっている……その貴様の能力に対抗する為……俺は『力変化』の業を終えここにいるのだ。」
「なにっ!?」
「そう……俺の大切な者を奪っていったお前に一矢報いる為…俺は死から這い上がりこうしてここにいるんだ!!???」
『クククッ……そうか……お前は元は我が同属だったのか。』
「我が同属って…狐氷次!?」
俺がそう問いかけると。
狐氷次さんはゆっくりと口を開いたんだ。
◇
◇
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