アメリスアード世界編シーン16
ボスとのバトルに立ち向かうクロノと雷武!!
どうなる!?
俺と雷武は勇者ラブラに言われるがままに…このビルのボスと戦う事を決めたんだ。
すると…俺の隣でふよふよ浮いてる雷武なのだが以前とは違い全くもって怖さが無い。
だがまあ、こんな事を言うとコイツがうるさそうなので俺は目の前のボスとやらに集中する。
部屋の奥からグルルと唸り声をあげこちらを警戒しているモンスター。
すると、そいつはズシリズシリと足音を立てこちらに歩み寄ってくる。
「いくぞ…雷武!」
「ああ…クロノ…てめぇ、足を引っ張るんじゃねぇぞ!」
俺達もボスに徐々に近づいていく。
「はぁ…本当に大丈夫かしら…あの子達。」
「シェリルお姉ちゃん!きっと大丈夫だよ!」
「そうね…クロノ達ならきっと。」
俺は後ろからそんな声が聞こえた様な気がした。
すると前から何かが飛んでくる。
シュパッっと俺の頬をかすめ後方に落ちる。
かすめた頬から異様な生臭い匂いがしてくる…確認の為、俺がゆっくりと後ろを振り返ると。
そこには奴が食ったと思われる人間の肉片があったのだ。
「くっ…あの野郎!!」
俺はすかさず魔神具である、刀の柄を構える。
「雷武!!!」
「おう!!はぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」
すると雷武は刀の柄に吸収されていく。
そしてボウッと柄からはなんと赤色に鈍く光る刀身が現れる。
だが…以前より刀身の長さは短めではある。
俺は魔神具…刀を試しに振ってみる。
「おっ!?おおおっ!!前よりは軽いし使いやすいぜ!これなら楽そうだ!!」
すると待っていたかのようにモンスターはプッ!ペッ!っと何かを口から吐き出す。
そして何かは、こちらに真っ直ぐ飛んでくる。
俺は目で追い交わす…すると…次の瞬間。
モンスターは姿を現し…俺に襲いかかってくる!!
ガキィィィーーーーーン!っと音を立てて俺は刀でモンスターの一撃を食い止める。
姿を現したそのモンスターは…全身が毛むくじゃらの姿、眼は鋭く…そして巨大な口を開けている…そう…ウェアウルフ!!!
つまり狼男…なのである。
「あれは…ウェアウルフ!?」
「えっ?狼男なの?シェリル?」
「ええそうよ。これは厄介ね。」
「どうしたの?お姉ちゃん?」
俺の刀を巨大な口で加えて離さないウェアウルフ。
どうやら口の力も人間の力を遥かに超えているようだ。
すると…次の瞬間。
俺の真横から思い切りヤツのパンチが飛んでくる。
バキィィィィーーーっと激しい音がするとその瞬間、腹に感じる激しい痛み。
「うっ…くっ!!??」
俺の身体が吹き飛ばされ向かう先は建物の壁だ。
「くっ!やべぇ!!」
気づいた時には遅く…俺の身体はドガッと音を立て壁にたたきつけられていた。
「くっ…!んぐっ!!」
壁にたたきつけられた衝撃で口から声と何かがでてきそうな感覚が俺を襲う。
そして、そのままドカりと床に叩きつけられ転がる俺の身体。
「クロノ!!」
「お兄ちゃん!!??」
カルマとサキノの声が耳に届く。
「くそっ!?化け物か。」
俺は次の攻撃に備える為、ガクガク震える足に力を込めやっとの事で立ち上がる。
「お前!ワシを使ってるなら刀を振りまくればいいだろ!?奴にあてりや何とかなるんじゃねぇのか!?」
「勝手な事ばっか言うなよ雷武!?」
「うわっ!!?きたぞ!!」
「なにっ!?」
次の瞬間俺の身体にウェアウルフの蹴りが飛んでくる。
バキッという激しい音は俺の身体を真上に蹴り上げた音だったんだ。
「ぐわっ!!」
「がぁぁぁーーーーーーっ!!??」
するとウェアウルフは咆哮雄叫びをあげる
俺の身体は宙に高く放り投げられていた。
「うぁぁぁっ!!??」
(やべぇ!!あいつこのまま落ちていく俺の身体を食うつもりだな!?)
その時…聞こえてきたのはリスナーの声。
『クロノ!!お前こんな所でやられんなよ!』
『そうだぜ!まだまだこっからだろ?』
『クロノ!私またアンタの配信見てたいよ!』
(こいつら…くそっ!)
その時…雷武もまた更に俺を煽ってくる。
(お前…本当によえーな!その力でよくあの魔王とかなんとかと戦おうとしてたよな!)
(うるせー!おまえにいわれたくねーんだよ!)
(いーや言えるね!俺様はつえーからな!)
◇
◇
◇
「お兄ちゃん!?やばいよあれ!」
「クロノ!助けに行かなきゃ!?」
「二人ともダメよ!」
「シェリル!だってあのままじゃクロノが!?」
「そうだよ!ボスだからあいつ強いもん!」
シェリルは二人の前で首を横に振る。
「いい?二人とも…確かにウェアウルフは強いわ!きっとここでまともに戦える力があるのは彼だけよ?」
「でもどうしてそこまで強い敵をクロノに!?」
「彼がこの世界に来た理由は確かにカルマちゃんも関わった『異世界召喚』の件でもあるわ。」
「………えっ………シェリル……さん…………!?…その事も知ってたのね?」
「ええ…私はこれでも世界のマジェストを束ねるヤシュア様の側近よ…近くにはいなかったとしても…全部聞いてるわ。」
「なぁにそれ??」
「なんでもないの!大丈夫よサキノちゃん!」
「ええ…二人とも……ここは彼を信じましょう。」
シェリルはクロノを見つめる。
「彼をこの世界の救世主として選んだ私達マジェスト協会は…彼を立派な勇者にしなきゃいけないの。」
◇
◇
◇
(あっちでなんか言ってんな?まあ聞こえねーけど。)
俺の身体は徐々に落下していく。
下ではアホ面した狼男が口を開けて待ってるってのによ。
あーーー!!
すっげーーームカついてきたぜ!!!
雷武にあんな事まで言われるし!!
俺は…よえー?
ああ!確かに今までバトルなんてした事はこっちの世界に来てからしかした事ねーよ。
くそっ!俺を食うのか??
この……。
「狼やろーーーっ!!??」
(きゃーーーーー〜ーーーっ!!??何?なんなの!?)
(うるせーーーぞ!ラブラ!!)
(これは何なの?雷武ちゃん!?)
(知るか!?ヤツが。)
(クロノ君が??どうしたの?)
(キレやがった……。)
◇
◇
◇
色々な事があり訳も分からず戦ってきたクロノ!
そして等々ここへ来て。
キレてしまった。
どうなる!?
お読み下さりありがとうございました!