最終章邪馬国編シーン33
「狐氷次様ーーーーーーーーーーーーーっ!?」
俺達の前に叫び入ってきた兵士が告げる。
「遠くから氷の魔物達が次々とこちらに!!??」
「「なにっ!?」」
急激に俺たちに迫り来る何か。
狐の王である狐氷次は立ち上がる。
「きたか…奴らにとって我が軍がこの地一番の厄介な相手だっただろう……こちらを潰そうと金龍の全勢力をかけた戦いが迫り来るハズだ…そうか……これは湖を渡る必要がなくなったようだな。」
狐氷次は前方を見据える。
すると目の前の湖は立ち所に凍りついていく。
「これは…やはりあの男が直接きたのか。」
「どういう事なんだ?」
俺の問いに孤氷次が答える。
「この…とんでもない冷氷の力は奴の力だという事だ。」
あっという間に目の前の広大な湖はあっという間に凍りついてしまう。
そして、その先には雪煙を立て数百を超えるかの軍勢。
そいつらはどんどん凍りついた湖の上を難なく走りこちらに向かってくる。
先頭に立ち向かってきたのは真っ白な体毛に包まれた獣たち。
「「狐氷次様っ!!『雪ネズミ』の群れだーーーーーーーーっ!?」」
それは小型犬ほどの大きさ…だがその数は雪煙が立ち込める程の想像しただけで恐ろしい数の群れがこの軍勢に押し寄せてきたんだ。
「くっ!?奴ら『雪ネズミ』をあんなにも放ってくるとは!?」
狐氷次はそう叫ぶ。
「あれが雪ネズミ……見た目は、ああだけど…そんなにか!?」
カルマがそう呟くと狐氷次は焦りながら告げる。
「ああ…そうだ……あれは魔界の掃除屋という異名を持つ恐るべき『魔物』奴らが通った後には草木も残らぬと言われている恐るべき魔物なんんだ。」
遠くからも雪煙……そして独特の鳴き声を上げながら近づいてくる敵襲。
「くっ!?皆の者ーーーーーー!?まずは雪ネズミだ!!いくぞーーーーーーーーー!?」
狐氷次の一声でこちら側の軍勢数百名の獣人達が武器をかかげ襲い来る雪ねずみ達をバッサバッサと斬りつけていく。
次に俺たちも応戦していく。
「はあああーーーーーーーーっ!?方天画戟!!『スタッグビートル』!!」
ぶるんっと武器を振るったテンテン。
ズババッと斬り付けられ倒れていく数匹の雪ネズミ。
呼応するスタッグビートルはガシャガシャとハサミを鳴らす。
『シザーズカッター!!』
ハサミに切られ更に数体の雪ネズミは倒れていく。
『ほお……やるな…………』
狐氷次の感心する声。
「私だって!!カラーウルフ!!???」
ズシャーーーーーーーーーッと雪の中から飛び出したカラーウルフ……その目は標的の雪ネズミを捉える。
カラーウルフは身体の色が変わりゆく。
そして。
『ファイアーズレッドーーーーーーーっ!?』
カラーウルフは炎に包まれ飛びかかっていく。
ごーーーーーーーっと雪ネズミを燃やし尽くしていくカラーウルフ。
「こちらのお嬢さんも中々である…………。」
すると前に出るカルマはその手にレイピアを構えると一言告げる。
「狐氷次様……私達はここまで来るまで…そう…あの魔王と戦う為にここまで成長してきたと思います……さあ……いくわよ!フェリス!!」
ぴょーーーーーーんっと飛び出したフェリス。
『いっくぞ!カルマっ!?』
『フェリス in The レイピア!!たあああーーーーーーっ!!』
ダッと飛び出すカルマ、その背中はどこか眩しかった。
そして舞うようなカルマの動きは…華麗なものだった。
「クロノ……ちゃん……僕達も行こう。」
「ああ……そうだな亀山。」
俺たちが出陣しようとしたその時。
「お前たち……」
狐氷次の俺たちを呼ぶ声。
俺たちが振り返ると狐氷次はじっと見つめている。
「どうした?」
「いや……これなら………これならこの戦……きっと勝てる!!!お前たち………勇者たちと共に……金龍軍の旗をとるものとする!!!!!」
「「うおおおおおおーーーーーーーっ!!」」
兵士達の士気が上がる。
呼応するように兵士達も次々と雪ネズミを倒していく。
「たああああーーーーーーーーーっ!?」
シュルシュルと飛び交う亀山の魔神具もまた雪ネズミ達を斬り刻んでいく。
そして俺もネズミを断ち切っていく。
「はあああーーーーーーーーーーっ……………」
『武神流……………炎竜弩乱舞』
炎が吹き出しぎゅんっと刀を回していく。
ゴーーーーーーーーーーッと刃先から溢れ出す炎は圧縮した刃となり放たれていくと雪ネズミ達を一掃していく。
燃え上がる炎は辺り一面にひろがり…………。
俺たち全員の活躍によって雪ネズミ達はあっという間に消え去っていったんだ。
「ふうぅぅぅ……ようやく治まってきたみたいだな。」
「うん!!なんとかあれだけいた雪ネズミは居なくなったみたいだね。」
カルマ……そして皆の表情はホッと一息ついたようだ。
すると狐氷次がやってくる。
「本当にお前たちの力は凄いものだな……これならきっとあの金龍とて敵ではないかもしれんな。」
そう笑顔で言ってくれる狐氷次。
俺たちも安堵したその時。
何者かの声が辺りに響き渡る。
『ククク………やってくれたな……我がペットのネズミ共を一掃するとはなあ……ならばとっておきをくれてやる……さあ……最後まで立っていられる奴は……………誰だ?』
何者かがそう言ったその時。
ドゴオオオーーーーーーーーーーッと俺たちの足元の地面が割れ………何者かが……這い出てきたんだ。
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