最終章邪馬国編シーン32
俺達は狐軍の陣地内で話をしていたんだ。
すると『金龍』の元へ行くために力を貸してくれるという狐軍の王『狐氷次』。
そして俺達は……金龍の元への足がかりを掴んだんだ。
◇
「そうか……ここで貴方達との争いがあったから俺達の元に攻撃をすぐに出来なかったって事なのか。」
「そうかもしれんな…だがよくあの『白虎』までも倒したものだな。」
そういいながら大笑いする『狐氷次』
そして我に返り『狐氷次』は語る。
「この地はな……………。」
◇
魔王の配下……三人の側近がいるのだ。
お前達が倒したという「浦牙島」……残り二人の側近の一人我々が今目指す「金龍」……残るは……『桃鬼丸』その三人だ。
そいつらが魔王の威をかり……この邪馬国を支配しているのだ。
今のこの邪馬国は大きく三つの地に分かれている。
一つはお前達が倒した「浦牙島」のいた西方。そしてこの足柄国がある中央方……ここは『金龍』が存在する……最後の「桃鬼丸」は東方を支配している……これに中央部……この地の中心『江渡の杜』には魔王が棲むと言われている。
◇
俺達はこの邪馬国の現状を初めて耳にする。
「まずはここの金龍を倒す事が目的だな……そして魔王までもう一人なんだな。」
「そういう事になるな……」
『狐氷次』はそういうと俺をじっと見ていたんだ。
「どうしたんだ?」
「ああ……いや……お前を見た時に感じた事があったのだが…………」
「ん!?」
「間違いならすまない…だがお前から香る懐かしき匂いがしているのだが………」
狐氷次の表情は何かを考えているのを物語る。
すると。
「ク……クロノは、おかしな匂いなんかしません!!」
「孤氷次様!!そうですよ!クロノちゃんはめちゃめちゃいい匂いがする女子なんですよ!?おかしな匂いなんてした事ないです!!」
声を上げるサキノと亀山。
「おいおい……お前らそうじゃないだろ。」
俺がため息混じりにそう言うと、『孤氷次』は口を開く。
「はるか昔……俺はこの地で今のように領主ではなく……この邪馬国…江渡の杜』…の当主『天草』様の直の護衛の剣士だった頃の話だ……」
◇
俺は…かの魔王の配下であった男……『馬鬼』がこの地で暴れまわっていたのだ。
我々はこの地の皇…天草様の天命を受けた。
暴れまわる『馬鬼』
俺達は『馬鬼』の元を目指したのだ。
『馬鬼』が暴れているという情報があったのはこの邪馬国ではるか昔から邪馬国一と呼ばれる象徴とも呼ばれる高く美しい山『富士』と呼ばれる山だった。
俺達はその地に着くと山を登る。
こんな美しい山を攻撃してるという『馬鬼』と呼ばれる魔物。
俺たちが頂上を目指し行くも想像以上に厳しい山でもあった。
そんな中……奴は俺たちを発見する。
足元も厳しい中俺たちは『馬鬼』との戦いが開始された。
◇
「うわああああーーーーーーーーーーっ!?」
部下の声がこの山に響き渡る。
奴の攻撃を受け……そして足を滑らせはるか下まで転がり落ちていく部下の一人……この時点で 奴の生命が保証されない事を感じた俺。
それでも攻撃を仕掛けてくる怪物『馬鬼』。
俺は刀を構え直す。
『くっ!!この俺が貴様を仕留める。』
奴はニヤリと笑みを浮かべたのだろう。
次の瞬間襲いかかってくる奴。
ところが俺ではなく部下達を瞬殺していた怪物。
部下のバラバラになった肉片が富士の断崖を転がり落ちていく。
「くそっ……ここまで……………か。」
俺はそう覚悟を決める。
そして奴が俺に襲いかかる。
再び刀を構えたその時。
ゴオオオオオオーーーーーーーーーーーーッと目の前に放たれた高出力の炎。
グギャアアアーーーーーーーーーーーーッとあの怪物は燃え上がり焼き付くされていく。
そして俺は………気を失った。
◇
◇
◇
俺が気がつくと……どこかの洞の中だった。
天井は洞の内部。
『ここは………………。』
気が付き身体を起こすとそこに何者なのか一人の女性がいたんだ。
どうやらその者が俺をここに運んでくれたのだろう。
『もう……お傷は大丈夫なようです。』
『そうなのか……貴女が拙者を救ってくれたのか。』
その問いに答えてくれた女性は頷く。
『あの怪物は……この地『竜の村』への攻撃を行いました……その為の粛清……お気になさらず。』
『竜の村……貴女は、まさか滅んだと言われる『竜の一族』の生き残り……なのですか?』
俺がはるか昔から聞かされたその話にそう問い返す。
すると……彼女は、にこりと微笑む。
『そうなのか……も……知れませんね。』
彼女がそう言葉を返したその時。
俺は富士の頂上に立ち我に返ったのだ。
身体に戦いの時の傷は消え去っていた…そしてあの怪物の存在も消えていた。
部下達を犠牲に俺はこの富士を下山……俺は怪物討伐を完了したのだ。
◇
「まあ、これは昔話だが……その時の彼女に君が似ていたという話だ。」
「そうか……きっと俺もそこに行けば何か分かるのかもな。」
俺がそんな話をしたその時。
「狐氷次様!!???」
◇
戦いの予感を告げる声がしたんだ。
◇
◇
◇
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