最終章邪馬国編シーン31
足柄国に棲むという『金龍』
奴は配下である『鉞狸』をやられた事により何らかの動きをしてくるだろうと考えた俺たち。
そんな奴の先手をとり足柄国に向かおうと考えた俺たちは誕兎の協力を仰ぎ目的地へと向かう事にしたんだ。
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俺達は天界より下山していく。
足柄国への道は登ってきた時とは反対の方向に降りていくようだ。
先頭は兎の獣人である誕兎。
仲間たちを救った事に感謝してくれた彼女はここから危険な事も考えられるハズなのだがこうして俺達の道案内をしてくれるという恩義に熱い獣人だったんだ。
足柄山は氷山だと言っていたが……俺達が山を降りる際に見えたのは確かに辺り一面が真っ白な銀世界だった。
そしてその先に見えたのは白銀に輝く一つの山が見えていた。
「あれが……足柄氷山……まさか山を越えたらこんな銀世界だったなんてな。」
「ええ……ここから先は完全に銀世界……これを作り上げたのはあの『金龍』の力の仕業だと言われています。」
誕兎はそう言いながらザッザッと雪の積もる道を先頭に歩いていく。
山を下る俺達だったが雪山はさすがに冷える。
そして時折、ビューーーーーーーっと吹き荒れ雪が舞い視界を遮る。
「金龍か……大地をここまでの極寒地に変えるなんて……奴は本当に凄い力を持ってるんだな。」
「はい……金龍はバトル狂で戦闘が好きなのですが……まず彼の元に辿り着くまでもが大変な事ですし…ここまでの力をもってるらしく……これはあの四聖獣の力をもってるとの話です。」
「四聖獣………か。」
すると亀山が口を開く。
「誕兎ちゃん……四聖獣の知ってる事……他に何かあるかい?」
「えっ!?ええ……四聖獣のうち一体は倒していただいたあの『白虎』そして残りは『朱雀』そして…亀山さんの中にある『玄武』あと一人が………………。」
誕兎は先を見るとそこは山を降りた俺達の目の前に広がる広大な白銀の大地だった。
「あと一人が……この地を支配しようとしている『青龍』を従えると言われている『金龍』なのです。」
「青龍…………か。」
「ええ……水の力を自在に操りこうしてこの大地を雪と氷の世界へと変えてしまった……それが四聖獣…青龍の力を持つ『金龍』の力……なのです。」
「そう……なのか。」
俺はそう返すと突然……雪玉が俺の顔面にヒットする。
「うぶっ!?」
すると。
「わあーーーーーーーーーーい!!」
「すごいね!雪だ雪だーーーーーーー!!」
雪玉を投げてきたのはなんとサキノ、そしてテンテンの姿が。
「おい!?お前ら何を!?」
すると次の雪玉が飛んできていた。
「サキノちゃんもテンテンちゃんも……もう…やめ……うぶっ!!」
俺が躱すと代わりに雪玉をうける亀山。
俺達は雪合戦になってしまう。
わあわあ雪合戦を繰り広げる俺達。
いつの間にか参戦していた誕兎。
「ええええいっ!!」
誕兎は慣れているようで一気に数個の雪玉を投げつけてくる。
「ちょっ!?皆ここは敵陣内よ!!やめなさいっ!?きゃっ!!」
邪魔に入るカルマにもヒットする雪玉。
全員総出で雪合戦となる俺達。
すると。
誕兎が技を見せる。
「いっくよーーーーーーーーーーーっ……雪雪玉ーーーーーーーーーっ!!」
だだだっと飛んでくる数発の雪玉。
その時。
「静まれーーーーーーーーーーーーーー!?」
雪合戦を制止する何者かの怒号が辺りにこだまする。
「えっ!?」
「あっ!?」
「ん!?はああっ!?」
鎧兜を身につけた何者か。
「王よ!?」
「危ない!?」
彼の仲間だろうか…後を追ってきた兵士達がそう叫んだその時。
「むがっ!?ぶはっ!!」
雪玉をくらった男。
「あ…………………」
「えっ!?」
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◇
◇
「「すみませんでした!!」」
俺達は先程の男に深々と頭を下げ謝っている。
俺達がいるのはこの男の仮陣の陣内。
「ここは我が獣人国『足柄国』の狐軍陣内だ……貴様らはなぜこの戦地のど真ん中にきたのだ?……一体何を考えている?」
なんと先程出会ったのは、この国…足柄国の国王だったんだ。
そしてカルマが口をひらいたんだ。
ここまできた概要と中身の話。
それを適宜に話してくれたカルマ。
こういう所は俺は彼女には勝てないのだ。
すると国王は話を続ける。
「そうか……ならば我々と共通の敵……あの『金龍』を倒しに……な。」
ため息混じりにそう告げた国王…そして続ける。
「ああ……おそらくこのままでは金龍の手により獣人達も滅ぼされてしまうであろうな。」
俺の言葉に王は考える。
そして。
「ふむ………金龍の力は魔神……しかもあの四聖獣の力ももっている……ならば……我が軍と共にあの金龍と一線交えようぞ。」
「国王!?」
俺の問いにニヤリと微笑んだ国王。
「この獣人国国王『孤氷次』と同盟を組もうぞ……マジェスト達よ!!」
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