最終章邪馬国編シーン30
私達三人は次なる地へ進んでいたの。
すると…とある街の手前に差し掛かった時。
「あれは……父さん!母さん!?」
鉄鬼丸君が先の方へかけていく。
私達はその光景に後を追うと、そこには一人の女性が倒れていたの。
鉄星様と顔を見合わせ後を追う。
鉄星様が女性を抱き抱えると女性は口を開く。
「と……とう…桃鬼…丸……様が………………。」
「しっかり!!」
鉄星様が声をかけるも女性は今にも気を失いかけていた。
『スクエル……女性を。』
キキッと飛び出したスクエルはカードをシャッフルする。
『スクエルカード……ハートクイーン…『癒』』
みるみるうちに彼女の傷は消えていく。
するとぴくりと女性は目を開ける。
キョロキョロと辺りを、そして自身の身体を確認する女性。
「えっ!?これは……貴方達は一体。」
◇
◇
◇
私達は彼女の話を聞いた。
彼女の話はこうだ。
かつて鬼ヶ島と呼ばれた島……そこに住み着きこの邪馬国覇権を争う為に『鬼』の名を使い強 欲の限りを尽くす者がいると。
その者の名は『桃鬼丸』。
桃鬼丸は人々と共存しかけていた鬼達をあの『鬼ヶ島』で滅亡させてしまった。
だが桃鬼丸はそれだけでは終わらなかった。
それは自身の欲を最優先するようになった。
三人の配下を従えいつしか桃鬼丸はこの近辺を支配しはじめたのです。
◇
「そんな話が……えっ!?これって鉄鬼丸君の言ってた桃太郎ってまさか……この。」
すると私の言葉に彼女は答える。
「ええ…初めは確かに彼は人間の一部から英雄と称えられ『桃太郎』と呼ばれていたと聞きます……間違いなく同一人物でしょう。」
表情を曇らせたまま彼女は続ける。
「そう…そして私は実は獣人です…桃鬼丸と呼ばれる男の元に囚われていた私でしたが…隙を見てなんとか逃走してきましたが…ここで力尽きて倒れていた所…貴女がたに救われたのです。」
「それで……貴女はどこへ行こうとしていたのですか?」
鉄星様はそう問いかける。
「私を見ていただけますか?…………。」
そう言った彼女が頭部に被っていた布をするすると取り外していく。
すると頭には包帯で覆われ痛々しい姿をしていたのです。
「雀の…………」
「獣人なのか。」
私と鉄星様の言葉に頷くその女性。
「はい……私の名は『鈴雀』雀の獣人です。」
◇
『鈴雀』といったこの獣人。
名を告げた彼女は口を開く。
◇
桃鬼丸…それは三獣鬼と呼ばれる恐るべき力を秘めた魔獣を従え…そして己自身の力も魔王様よりより強力なものとし…そしてこの地に伝わる『四聖獣』の力を狙い…聞いた話ではその力をも手にしたと聞いています。
そんな奴は謀略の限りを尽くします。
そして私達の様な多少なりとも力を持つ者を捉え始める。
逆らう人間はもちろん……精霊達……そしてなんと人間との共存をしていた鬼達まで。
魔王を背後にしていた桃鬼丸。
ですがその力は本物でした。
精霊はもちろん…人間……そして鬼達も初めは抵抗を見せましたが…あの力はまさに魔王からもらったという力が本物だと知らされました。
それにより……勢いづいていたもの達でしたがいつしか皆々が落胆し絶望に打ちひしがれました。
そしてこの地はいつしか彼に支配されました。
私は自分の子がいました。
純新無垢な我が子でしたが……あの桃鬼丸が偶然この地に来た所……皆が静まり返り頭を下げていた時……私の手からするりと抜けていき我が子は彼の足にぶつかってしまいました。
その時の桃鬼丸の形相は恐るべき表情へと変わりました。
私は我が子を庇おうと走り出しました。
すると。
配下の三獣鬼。
そして桃鬼丸は言いました。
「おう………お前ら………これは見せしめだ。」
「「くきき……見せしめだな………桃鬼丸。」」
その後の私の記憶はありません。
ただ………私と我が子の前の奴らは高笑いをしていた。
その記憶しか。
私は気がついた時には先程の近くに倒れていました。
そして私は我が子を求めてこうしてあの桃鬼丸が来た私達の街。
『雀の宿のある竹里の村』へと向かっていたのです。
◇
「そうか。」
「鉄星様………………」
「ああ……リオ………この方の護衛をするぞ。」
「はい!!」
女性は涙ぐみ……そして泪を流した。
するとそんな彼女の傍に鉄鬼丸君は先程三人で食べたおにぎりの残りを彼女に差し出した。
「えっ!?」
「あなたの娘さん助けにいこうよ…その前にこれ食べて元気だして。」
彼女の目からは泪が溢れ出し震える。
「う……うん…………ありがとう。」
そう言った彼女は鉄鬼丸君を抱きしめた。
そして私達の目的地は決まったの。
「リオ……きっとそこで何かがあるかも知れないな。」
「はいっ。」
◇
◇
◇
こうして私達は彼女の娘を救う為。
次の目的地まで歩き始めたの。




