最終章邪馬国編シーン29
「「はあああーーーーーーーーーーっ!?」」
俺は白虎に向かい地を蹴って飛び出していく!!
刀をすーーーーーっと抜いていくと奴は巨大な腕を振り下ろしてくる。
『させるか…………があああああーーーっ!?』
奴の背後の白虎がさらに力を溢れ出す。
そして奴の魔神白虎が技を放つ。
『があああーーーーーっ………『激震』』
ドガガガーーーーーーーーーーーンっと俺の身体……そして周囲にも激しい振動が伝わっていく。
「うっ………くっ………………」
「「いやっ!!???」」
「「うああああーーーーーーーーーっ!?」」
皆の身体にもその衝撃が伝わり始める。
やがて辺りの有機物までもが振動により壊されていく。
『クククッ………俺の魔神『白虎』の能力の真骨頂はこの『振動』だ……全ての生物有機物含め全てを振動で破壊していく……さあどうだ……これで貴様らは終わりだ。』
どんどん激しくなっていく奴の『振動』。
このままでは。
その時。俺の背後にはあの男が。
『この俺様にも迫り来る力か……だがこの俺は竜神……こんな格下にやられては名が汚れちまう……いいかクロノ……我が力とこの魔神具になった奴…ドワーフの生命が籠った魔神具を持てるのは…この世でお前一人なんだぞ。』
雷武はそういうと再び俺の刀身へと舞い戻っていく。
再び俺の魔神具……そして俺の全身にも闘気が湧き上がる。
俺を見ていた亀山。
「クロノちゃん……………」
「亀山………俺が今……カタをつける。」
「うん……今は君に………」
俺の身体に再び激しい炎に包まれる。
溢れ出す炎。
俺は今……身体に……竜神の力を感じる。
するとたぬき……いや鉞狸が驚きの声を上げる。
『ま……まさか……ただの女だと思ってたお前が……なんだそれは!!???ドラゴン……だと!!!???』
ざっと後ずさりをする魔神白虎。
だが奴は既に逃げ場もない事を悟る。
『ぐっ!?まさかこんなところに我々四聖獣に匹敵……いや……それをも上回る力が存在しようとは……ぐっ………『金龍』さまあああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!?』
逃げ出そうしていた奴は俺に向かい構えると闘気を放とうとする。
俺は……すーーーっと刀を構え…そして。
トンっと飛び上がる。
滞空する俺は刀を振り上げていく。
刀に凝縮していく闘気。
そして。
『武神流……奥義…『千の燕』!!!』
スパパパーーーーーーーーッと俺の身体は光となり…光速の斬撃は奴…そして背後の魔神『白虎』をも斬り刻んでいった。
そして。
音も無く奴らは消えていったんだ。
◇
やったーーーーーーーーーーーーーーっと笑顔になる皆とその歓声はこの地を牛耳っていた悪の獣の存在が消えた事を伝えたんだ。
◇
◇
◇
鉞狸を倒した俺たちは……救った獣人達を引き連れ……天狗の里へと戻っていたんだ。
◇
「クロノ…そして皆の者……またこの地の安定に協力してくれた事……:誠に感謝する。」
そういったのは天がおじいと呼ぶ天狗の長だった。
すると…そこにいた『誕兎』が口を開く。
「本当に……皆さん、僕達、この邪馬国の獣人達も皆に感謝しきれないくらい感謝してます、本当にありがとうございました。」
誕兎の言葉に俺たちは嬉しい気持ちでいっぱいだった。
助け出された誕兎の仲間たちも嬉しそうに抱き合って喜びを噛み締めていたんだ。
すると老天狗は口を開く。
「勇者よ……まだ案ずるのは早いかものお…………あいつを倒した以上……あの『金龍』は必ず出てくるであろう。」
「ああ……確かにあの配下の狸を仕留めた以上…何かしらの動きはあるだろうな……」
俺はそう返す。
「あの……それなら……」
そう言ったのはあの獣人『誕兎』だった。
「勇者様…実は僕はあの城から逃げ出した時に…偶然見かけた狸兵士から…金龍のいる場所を聞いてしまったのです。」
「なんだって!?」
「はい……金龍の力はこの地に間違いなく破壊をもたらします……金龍を放置していたらいずれ…この天界までにもやって来ることでしょう……そうなる前にこちらから仕掛ける方が得策かも知れません…どうですか?」
誕兎の表情は真剣なものだった。
「金龍は……足柄山を自らの力を使い、立ち入る者を拒む為に氷山に変えたと聞いてます……そこへの道よりは湖を越えなければならないと聞いてます。」
「湖…………か。」
「はい……その為の協力は僕達獣人が行います!!どうですか?」
誕兎……そして獣人達は俺に目を向ける。
俺は悩んだ……折角こうして無事だった彼女達を俺は危険に晒したくはなかったんだ。
すると…するすると何かを取り出した誕兎。
それは何かの魔神具だった。
「それは!?」
俺の問いに、にこりと微笑んだ誕兎。
「僕達の魔神具で絶対勇者様達を金龍の元へ飛ばしますからっ!?」
自信に満ち溢れた笑顔。
俺たちはそれにかけてみようと思ったんだ。
そして。
◇
◇
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