最終章邪馬国編シーン28
白虎……そして、本体である鉞狸が腹を押さえながら、のたうち回っている。
『うがあああっ!!ああっ!?ぐああっ!?』
すると。
「ふうぅぅぅ……なんとか……出れたな。」
俺達は特殊な球体に入りながら外へと脱出していたんだ。
そして…中には、魔神白虎の腹の中にいた仲間たちと…誕兎を含めた獣人達の姿があった。
『僕達……助かったんだ!!』
『『やったあああっ!やったーーーーっ!』』
嬉しそうに跳ね回る獣人達。
俺は、それを目に安堵する。
「ふぅ………上手くいったな。」
「皆の息がピッタリだったね!?」
「もうサイコーです!クロノさん!」
「クロノ……やったね。」
「ああ!!皆サイコーだぜ!」
皆の力であの白虎の魔神を腹の中から攻撃!!
そして俺たちはこうして出てくる事ができたんだ。
すると。
亀山が俺たちを目に立ち尽くしていたんだ。
「亀山…………」
「クロノちゃん………」
亀山は申し訳なさそうに俯いていた。
俺は亀山に問いかける。
「そんな顔して……どうしたんだ?」
「いや……僕はいつか君のサイコーのパートナーになるよ………。」
ボロボロなのにそう微笑み言ってくれた亀山。
俺は亀山とまた繋がりを深く感じていた。
すると……ぷるぷると起き上がってきたのはあの『鉞狸』だった。
「まだ……………」
「終わってないね。」
俺たちは再び白虎と対峙する。
見た目は真っ白く毛むくじゃらの虎の獣人だ。
『くそっ!!くそくそっくそーーーーーーっ!?』
雄叫びを上げるように周囲にその声を響きわたらせる白虎。
『もういい……俺様の逆鱗に触れた事を後悔しても遅い!!!???貴様らは…我が魔神の腹を破りそして勝手に出てきやがった……俺様の奴隷の分際でえーーーーーーーーーーーーっ!!?』
大声で叫ぶ鉞狸。
俺は一歩前にでる。
「鉞狸……お前はずっとこれまで自分の好き勝手に生きてきたんだろうな…お前一人が誰にも不快な思いをさせないならそれでもいい……でもな……お前の自分勝手な欲望でこんなに涙を流してきた奴らもいるんだぜ……」
『うるせえぇぇ……俺様こそがこの地で好き勝手していい存在なんだ……そんな俺様をこんな……貴様ら………………。』
ゴゴゴという地鳴りを起こし闘気を纏っていくたぬきの王。
そして背後にはボロボロになりかけた魔神白虎が恐ろしい形相で俺たちの行く手を阻む。
こいつは腐ってもあの『四聖獣』を魔神とした化け物なんだ。
サキノ…そしてテンテンもその手には魔神具を。
そして俺と亀山もまた…奴を見据える。
『ふしゅうぅぅぅ………我が魔神『白虎』の力の真髄を見……そして死ぬがよい。』
奴が取り出したのは巨大な『手斧』
「あれがあいつの魔神具……」
「気をつけてクロノちゃん……どんな能力が隠されているのか……実態がまだつかめな……」
亀山が言葉途中で止める。
次の瞬間。
どうーーーーーっと白虎はバチバチっと身体中に力を纏わせる。
それは身体中の細胞を爆発的にパワーアップさせた状態とでもいうのだろうか。
身体能力を瞬間的に上げたのを筋肉が増強したのが見えた事で認識できたんだ。
これは。
『はーーーーーっはっはっは!!この俺『白虎』様の力は……どんなものでも打ち砕き破壊する……貴様らは……触れただけで…………………』
ドガッと奴は地を蹴り俺たちの前に現れその腕を高く振り上げる。
「皆あああっ!!さがれえええーーーーっ!?」
亀山の背後から現れた大亀『玄武』。
白虎の攻撃を食い止める玄武。
「くっ!?こんな攻撃くらいなら………」
『それはどうかな………『振動』………。』
すると。
「えっ………?」
どどどーーーーーーーーーーーっと白虎の攻撃を受け止めた亀山の全身がその力によって振動を受ける。
「うあああああーーーーーーーーーーっ!?」
「亀山あああーーーーーーーーーーーっ!?」
亀山の身体は激しい振動を受け……そして。
ドンッと地面に叩きつけられる亀山の身体。
俺は瞬時に駆けつけ亀山を抱き起こす。
「亀山っ!?亀山あああーーっ!?」
『クロ……ノ……ちゃん……あはは……皆も無事で……良かっ……た。』
「亀山っ!?」
俺は確認するも亀山は気を失っただけのようだ。
すると。
奴はニヤリと微笑み口を開く。
『まずは一匹………ん?なんだ貴様……兎か。』
俺たちの前に立つ兎の獣人…『誕兎』
「もう……やめて……ください……僕が……僕一人が貴方の奴隷になるから。」
泣きじゃくりそう告げる彼女。
『ふん……お前だけじゃ……もう済む問題じゃねえ……全ての…ここにいる全ての女共は当然俺のもの……奴隷だ……そして刃向かったものには……死だ。』
そう告げる白虎。
そして再びその力を貯め始める。
「ううぅぅぅっ………………。」
俺は誕兎の肩に手をかける。
「俺が……………決める。」
『クククッ………お前が!?やれるもんなら…やってみるがいいーーーーーーーーーっ!?』
俺は刀に手をかける。
『魔神……雷武………起きたか?』
『ああ………起きてもう……………腹の底から炎が湧いてるぞ…………。』
俺は全身に炎を纏ったんだ。
『いくぞ。』
『ああ。』
ダンっと俺は地を蹴ったんだ。
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