最終章邪馬国編シーン26
俺たちの絶望を知り目に高笑いするタヌキの王『鉞狸』。
俺たちは。
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僕、亀山は…あの場から追い出され今、城門から外へと放り出されていた。
城門には先程の兵士達が一歩たりとも中には入れないぞ、といった気構えを感じるほど…そして、より兵を増員したようだ。
だけど、僕には、さっきから妙な胸騒ぎを感じていたんだ。
僕は改めて考えると…クロノちゃんに出会ってから力が開花したと思う。
これまで僕は何一つ取り柄もなく…そして漁師だった僕は魔王の力で湧いた魔魚のおかげで漁を諦め…呑んだくれていた日々。
そんな僕は今……クロノちゃんとの出会いで自分にも出来る事を獲たんだ。
僕は変われた……この運命の出会いが僕を激変させてくれたんだ。
あの時から僕の脳内に時折聞こえるようになった声。
それは僕の中にいる『アイツ』の声なのか。
それなら今こそ、その力が必要なんだ。
僕は集中し……願ってみる……が。
「ふぅ……そう簡単にはいかないか。」
僕は溜息を漏らし兵士達に目を向ける。
すると兵士達の元に先程までいなかった誰かが立っていた。
たぬきの獣人達である兵士達は僕から見ても気に入らなかったが……兵士達は急にその者にペコペコ頭を下げている。
そこに立っていたのは……きっとここの主であろうか……派手な見た目から、このたぬきの城の主であろう大たぬきだという事を実感する。
僕は身を隠しながらその会話に聞き入る。
『クククッ……お前達……城の中の我が魔神の元へ数名の兵士を向かわせるのだ……あの中に捕らえた女共は上玉ばかりだ……一人一人わしのものにする事にする……そして…いずれ、その中の一人を『金龍』様への次の『献上』とするぞ……。』
『『はっ!!鉞狸様!承知しました。』』
そういって城の中へと消えていく兵士達。
すると。
『クククッ……聞いていたのか!?』
たぬきの王、鉞狸はいつしか僕に気づき声をかけてきたんだ。
逃げられない。
僕はそう確信し……前に出たんだ。
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ところ変わり。
「クロノ………!?これはなに!?」
そう俺に問いかけてくるサキノ。
俺も目の前で起きてる現象に驚きを隠せずにいたんだ。
目の前にふわふわ浮きながらその何かは今にも俺たちに何かを伝えようとしていたんだ。
「クロノさんっ!?やっぱり出ません!!」
魔神具に訴えかけ魔神を呼び出そうとしているテンテンの声が聞こえる。
俺もずっと雷武に声をかけているが俺の新しい魔神具からも何の反応もない状況だった。
すると、兎の獣人『誕兎』とその仲間たちの治療にあたっていたサキノが声を上げる。
「クロノ!?皆ひとまずなんとか大丈夫みたい。」
「分かったサキノ!でもサキノはカラーウルフの力が使えてるのか!?」
俺はそんな疑問を投げかけていたんだ。
するとサキノは応える。
「ううん…違うよ?私はずっとカラーウルフの力なくても元々の獣人の力とカルマお姉ちゃんから魔法を教えてもらってたから少しは治癒もできるようになったの!」
「そうそう…クロノ…サキノちゃんもここまで頑張ってきたんだよ?」
俺はカルマの言葉に、感動していた。
サキノもこんなに成長したんだ。
俺は気持ちを切り替える。
ここにまだ諦めている奴は誰もいないんだ。
サキノもテンテンも、カルマだって……そしてアイツも……亀山。
俺は、ふと頭に亀山を浮かべる。
するとその時……脳裏に聞こえてきたのは雷武の声だった。
『クロノ………お前もいずれ分かるようになる……が……お前はあの『亀』と俺様と話すように魔神に話すように『声』をかけてみろ。』
『ん!?それはどういう事だ!?』
俺の問いかけに雷武は返答する。
『お前も……マジェストなんだ……この状態でこの俺様を封じられた状態で力が使えるのか?』
『いや………………』
俺は拳を握る。
『クロノ…お前は亀とも話せるハズだ……その理由はな……お前は……誰と一つになったんだ?』
そして俺の脳裏に浮かんでくるラブラの姿。
(そうか…………俺は。)
俺の脳裏で微笑むラブラ。
彼女は俺に微笑むとまた……再び俺と…一つに重なる。
そして俺は……亀山…に声をかける。
「亀山……………………」
◇
『うおおおおおーーーーーーーーーーっ』
ガキーーーーーーーーーンっと激しい轟音。
僕と鉞狸の魔神具が重なり…僕は激しい衝撃を必死にこらえる。
ギリギリと迫り来る鉞狸の魔神具。
僕の大盾は奴の激しい攻撃にもなんとかこらえていた。
『ぐふふ……なーかなかやるじゃねえか……亀の癖によう。』
「なん……だとっ!!うぐっ。」
バゴオオオオーーーーーーーンと僕を弾くとニヤリと微笑む。
なんとか着地し僕は盾を構える。
『クククッ…まさかこんな所で我が力と同種の力と出会えるとはなあ……なあ……我が魔神…『白虎』よ。』
「なっ!?白虎って……まさか僕の『玄武』と同じ……あの『四聖獣』の一人……なのか。」
僕の問いに奴は笑いながら奴は答える。
「ああ……この俺様の力……魔神具は……四聖獣……白虎………さあ………出てよ…魔神具『虎鉞』そして魔神!!白虎!!」
ドドーーーーーーーーーーーんっと巨大化し僕の目の前には。
白い髪をなびかせた二本足で立つ巨大な白い虎…四聖獣の一人……白虎が立ち尽くしていたんだ。
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