アメリスアード世界編シーン15
クロノと雷武のバトルが始まる!!
眩い光を放った勇者(仮)の光により…俺達は一瞬…視界を奪われる。
そして…そこに現れたのは。
年齢的に見たら十代半ば程だろうか。
ライトアーマーを身体に身につけ…立ち尽くす女子の姿だったんだ。
「えっ!?」
「「えええーーーーーーーっ!!??」」
俺達は…その光景に驚き大声を上げてしまう。
「ハロー!!皆…僕の名前は『勇者ラブラ』この世界の太古の勇者であるぞー!」
すると…笑顔で登場した勇者は、俺達を見て不思議な顔をしている。
「お前が勇者…だって?」
「そうよー!なんてったって…魔神達みーんなを封印してさぁ…やっとのことで魔王の魔神を封印したと思ったら…なんと!そこにいる雷武ちゃんがまだ残ってたんだよね…でさ!雷武ちゃんがなんと!強い強い!ラスボス以上じゃないか?って程の強さだったって訳。だからね!私がこの美しい身体と魂まで使って何とかそこの魔神雷武ちゃんを封じ込めたって訳なのよ?」
一息で全ての流れを説明してくれた勇者ラブラ。
「そ…それで、そこまでの話は今の説明で分かった!でもどうして俺のこの腕輪にお前が入ってたんだよ?」
「ふふ〜ん!それはね!クロノ!アンタは僕の血をなぜか…知らないけど、受け継いで…なんと魔神達を封印できる力を持って生まれてきたって訳よ。」
「俺が?お前の力を受け継いだ?マジかよ…未だに信じらんねぇぜ…。」
「まあそうね…今のアンタは本当に弱々だからね!魔神雷武という凶悪な力を手に入れたけど暴走ばっかりで使いこなせてはいない。こないだなんかあの子カルマちゃんが雷武ちゃんに食べられそうになってるし…はぁ…。」
俺は、そのあまりにも衝撃的な事実に言葉も出なかったんだ。
「ぐっ!で…なんだよ!?こんなに簡単に出てこれるならもっと早く出て来いっての!?」
「まあまあ!そんなに興奮するではない!いいかい?僕が出できた理由は!?」
『ラブラ』はミニ雷武をヒョイっと抱き上げる。
「雷武ちゃんもクロノも一緒にレベル一から育ってもらおうと思ってさ!」
「「なんだってーーーーーっ!?」」
◇
◇
◇
俺達の前に気まぐれなのだろう…勝手に現れた勇者ラブラ。
しかも俺がこいつの血をひいていたなんて…訳の分からない状況に陥る俺。
しかし待ったナシの敵がすぐそこに居るのだ。
「って事で!」
ラブラは俺の手元を指さす。
「ん?なんだ?これがどうかしたのか?」
「ああ…実はね…私の力を宿したその鞘と腕輪が一体化したじゃない?だからこそ私もこうしてアンタ達の前に出てきて話も出来るようになったんだけど…これからクロノちゃんは雷武ちゃんと一緒に沢山の敵を倒していく訳だけど今のアンタ達はシンクロ率が本当に低いのよ…これでは折角の二人の力も100パーセントにも満たない力しか出せないの!そのままでは魔王どころか手下の敵すら倒せないわ!だから私は力を使って雷武ちゃんをレベル一まで下げたって訳よ。」
なるほど。
一先ず理由は分かった俺達。
「我は…そんな話聞いてないわ!!!知るか!そんな事!勝手な事ばかりぬかしおって!!」
雷武は当然の様にラブラに捲し立てる。
「ふむ…雷武ちゃん!貴方…昔はあーんなに強くてかっこよかったのに何あれ?あんな可愛くて、か弱いカルマちゃんを襲おうとしたり…はぁ…最低。」
「なにっ!?貴様!俺様を愚弄するのか!?」
「アンタさ!」
ラブラが一本指を立て雷武に語る。
「あんな力持っていながらも私に負けたのはそこよ!!」
「はぁ??なんだと!?」
「私と戦った時…アンタはただの魔神で、あれが限界だったのよ…だから私に負けて封印された。あーあ…本当に嘆かわしいわね。」
「ぐぬぬ…言わせておけば…貴様など、この力でねじ伏せてくれるわ!!」
「あーらどうだか…でも私が本気になって戦えるようになるには、そこのクロノちゃんと一緒に強くならなきゃ…まだまだ今のままでは弱いままよね。」
「は?どういう事だ!?」
俺は二人の会話に問いを投げかける。
「あんた達二人がこれから一緒に強くなっていけば私も流石に雷武ちゃんにかなわなくなるかなぁーってさ!」
ラブラはそう言うと俺にウィンクで合図する。
(ん?どういう事だ?)
「うぉぉぉーーーーーーーーーっっ!!??やるぞ!クロノ!!お前!俺様の力を使って強くなってこの女に目にもの見せてくれるわ!!」
「お!おう…。」
「いい!?クロノちゃん!雷武ちゃん!これからあの目の前の化け物を二人で倒すのよ!さぁ!いきなさい!!」
ラブラはそう言うと再び俺の腕輪に消えていく。
ポカンとして俺を見ている三人。
「お!お兄ちゃん…頑張って!」
「クロノ…私は信じてるよ!」
「さぁ…クロノ君…次は君の番よ!勇者様の言葉は私達も聞いたわ!君と魔神雷武ならきっと勝てるわ!!」
「おう!任せろ!!」
俺は刀の柄を再び握る。
「雷武!!いくぞ!!」
「おう!まだ…ちいせぇ身体だが…行くぞ!!」
「「はぁぁぁーーーーーっ!!!」」
俺の握る柄の刀身へと変化していく雷武。
目の前からはズシリズシリと巨大な足音を立て何者かが姿を現してくる。
◇
◇
◇
いよいよクロノと雷武のバトルが始まる!!
お読み下さりありがとうございました!