アメリスアード世界編シーン14
次はクロノ登場!!!
ビル最後の敵を前にするクロノ達。
サキノ…そしてカルマも、その力を見せ、敵を倒した。
それにより、シェリルの語った、俺達マジェストのシンクロレベルと言うものを計測する事が出来たようだ。
そして、次はいよいよ俺の番だ。
俺はふと、シェリルと目が合う。
「どうした…シェリル?」
「ううん!なんでもないわ。じゃあ…いよいよクロノ君の番ね…準備はいいかしら?」
「ああ…いいけど俺の雷武は超気まぐれだからな…出てくるかな?」
すると…シェリルは呆れ顔で首を振る。
「ダーメ!そんなんじゃダメよ!」
シェリルの声に従い、俺に追撃してくるリスナーの声。
『そうだ!そうだ!』
『しっかりシェリルお姉様の言うこと聞けよクロノ!』
「チッ!こいつら…他人事だよな。しかし次の敵って奴は…どんな奴なんだ…ん?」
俺達は最上階に向かっていた…すると、どうやら最上階の入口の扉まで辿り着いたようだ。
俺が足を止めると…部屋の中から漏れてくる異様な空気を感じる。
「なんだ、この空気…今までとは全然違う空気と威圧感を感じるな。」
「そうね…ここにはこのビルのモンスターを仕切っているボスモンスターがいるの。さぁ…開けるわよ。」
ギギッ…キーーーーーっと古いその扉は音を立てて開いていく。
シェリルがその扉を開ききると、更に溢れ出す異様な空気…そして部屋の最奥から感じる威圧感。
心做しか奥からグルルと何者かの声と息遣いが聞こえてくるみたいだ。
「さぁ…クロノ君…君が魔神雷武を手早く出して、この状況を突破しなければ、ここであのモンスターにやられるだけよ。」
「分かってる!気まぐれな雷武だけど、こないだも何とか出てきてくれたんだ…今回も頼むぜ。」
俺は心を落ち着かせ…新アイテムである腕輪を構える。
そして鞘をゆっくりと腕輪から引き抜いていく。
カシャン!!
心地のいい音に俺も何故か、心がワクワクしてくる。
そして鞘を構える。
「いくぜ!出てよ!魔神雷武!!はぁぁぁっ!」
その時の事である。
ポンッ!!!
突然何か気の抜けた音がする。
「はあっ!?」
「えっ!?」
「ほえっ!?」
「うわぁぁぁ…っ…」
俺の声に続き、シェリル、カルマ、サキノの順で気の抜けた声を出してしまったのだ。
そして……。
「な!ん!だ!!これはーーーーーっ!!」
魔神雷武の叫び声が一番大きな声となって建物内に響いたのであった。
見ると俺の目の前でフワフワと浮かぶ小型のドラゴンの姿。
コイツはそう…見た目はあの俺の魔神であり世にも恐れられた魔神雷武の小型版。
「お…お前…どうしてそうなった……。」
「はぁ??俺様が聞きてーわ!!??」
「それで戦えるのか!?」
「うるせーーー!俺に言うんじゃねぇ!!」
俺と雷武の会話。
そして俺とミニ雷武が取っ組みあっていると。
どこからともなく聞いた事のない声が聞こえてくる。
「ふ…ふぁぁぁぁぁーーーっ!あーよく寝たぁ!!」
その声はなんと!俺の腕輪から聞こえてくるではないか!?
「な!なんだ!?誰だ!?お前は!?」
俺は声の主に問いかける。
「えっ?私?ふむふむ!お!おお!君はどうやら私の血を引く者らしいわね。」
「は?何を言ってるんだ?」
「ふふん!私は何を隠そう!この世界でたった一人の勇者!『勇者ラブラ』よ!!!」
「「はぁぁぁーーー??」」
俺と雷武に続けてあまりの驚きにカルマ達も驚きの声をあげたのだった。
「「ええーーーーーっ!?」」
◇
◇
◇
この世界は創造主は、古では人族、精霊族、そして魔族。大まかに、この三種族に分けられ創り出された世界だ。
人族は知力に特化し、精霊族は精霊力に長け、そして魔族の魔力は他の追随を許さなかった…だがそんな世界ではあったが…それぞれの長なる者達は三世界の共存共栄を望んだのだ。
そして誰もがそれを良しとし願う。
ところがとりわけ力と魔力を持つ魔族は自分の種族がこの世界で一番優秀だと!そして、自分達がこの世界を支配すべきだと考える。
そう考えた魔族は、次第に他種族を力で制圧していったのだ。
それにより…人間族と精霊族は次第に魔族により、争いを起こされ…暴力と迫害により蹂躙されて行ったのだ。
そんな中…魔族を快く思わなくなった人間と精霊の神は一人の勇者を生み出す事に成功する。
彼女の名は『ラブラ』後に勇者となる人物なのだ。
『ラブラ』は、人族…そして精霊族の力を集結させた言わば…『勇者』と呼ばれ…とある力を授かる…そして…その力を振るい魔族を圧倒していく。
だが魔族もその魔力で、簡単にやられる事はなかった。
魔族は中でも、より優秀な力を持つ者を魔神とし魔神達は対勇者戦において…その力を存分に奮ったのだ。
その戦いで世界は戦々恐々とし、震える。
その時…勇者様は更なる力を開花させる。
そう…それは勇者の能力で魔神達を特殊な武具に封じたの…それが貴方達の持つ『魔神具』なのよ。
そして、勇者様は次々と魔神達を封じ込めていく。
そして遂に…勇者様は遂に魔王を打ち破るのである。
魔族の世界は、勇者様が魔王を封じた事により…終焉を迎え世の中は平和な時を取り戻したの。
◇
◇
◇
「っと…まぁ!その勇者ってのがあたしなんだけどねぇ!」
「お…おう!それはお疲れ様だったな…でも勇者ってお前が本当にあの魔神達を封じてきたって…」
「なによ?信じられないって顔してるわね?」
「ん…まあな…それに声しか聞こえてこないからさっぱり実感がわかないんだけどな…」
俺はそう伝えると、魔神具の中の勇者とやらは何かを考え込む。
「うーん…えっと、こうしたらこうなってこうなったらこうすれば…。」
「おいおい…一人でなにを妄想の世界にいっちまってんだ?敵がその先にいるってのに。」
「分かったって!じゃあ私が勇者だって事証明してあげるわ!」
「「はぁあ???」」
俺と雷武は口を揃え勇者とやらに反応する。
「復活の勇者ちゃーーーーーんんんっっ!!」
勇者が叫ぶと辺りに眩い光が立ち込める!!
「「うわぁぁぁーーーーーーっ!!!」」
そこにいる俺達全員が目を開けられないほどの光が辺りを包み込んだんだ。
◇
◇
◇
俺はゆっくりと…目を開けていく。
すると俺達の前には凛とした勇者の立ち姿があったんだ。
勇者ラブラの姿とは!?
そしてクロノは戦えるのか!?
お読み下さりありがとうございました!