最終章邪馬国編シーン14
突然俺達の前に現れたのは天狗の長でありながらその姿は幼女の天狗の『天』。
彼女の涙にクロノが立つ。
◇
「えっと……まずはワシらの国に行ってみぬか?」
「ん?天界にって事か!?」
「まあ…そうなるな。」
俺達は天狗の『天』と共に天界と呼ばれる天狗の里に行く事になったんだ。
◇
◇
◇
そして俺達は『天岳』という山に辿り着く。
「ここがワシら『天狗』の里への入り口……ここから数時間くらいで辿り着ける…まあワシらは飛ぶ事ができるからすぐいけるがお主らがいるのでな…山道を行く事にしよう……そして向かう途中には…あの……『河童』達の村もある…気をつけて進むとしようぞ。」
俺達は『天』に着いていく。
だが…そこはうっすらと霧が立ち込め視界がとれない場所。
ここまで来たのは俺、カルマ、サキノ、テンテン、そして街を救ったとしてお礼も兼ねてと着いてきた亀山だった。
エンポリオとイシメールそしてフェリシモが万が一の為に街に残ったんだ。
里の中に入ると立ち込める霧で肌寒くなってくる。
するとテンテンが声をかけてくる。
「クロノさん!?やっぱりここは標高も高いのでしょうか…なんか寒いですね……大丈夫ですか?」
「クロノ!?ほら…寒いから、ちゃんとこれ着ないと!?」
テンテンとサキノはそう声をかけてくる。
するとサキノはどこから取り出したのか…その服はもこもこしていたんだ。
「おっ!?サンキューー!?」
すると、さささっと二人は俺に衣服を着せる。
とても温かいのだが…俺はとてつもなく違和感を感じる。
そう…その衣服は腹と足がスースー風を感じるのだ。
俺に服を着せた二人はうるうるとこちらを見ている。
そして一言。
「「か……かわいいいーーーーーーーーっ♡」」
そう……俺は二人の策略で……モコモコしてはいるがお腹と足の見えるセクシーともいえる……そんな服を着せられてしまったのだった。
「おいおい……お前ら……はあ。」
「でも……本当に可愛らしいよクロノちゃん♡」
ため息をついた俺にそう言ったのは亀山だった。
おいおい。
ツッコミするのも疲れた俺は先を急ぐ。
薄暗く、そして霧の中に立ち入っていく俺達。
俺達は気づくと……いつしか鬱蒼としげる森の中へと入っていた。
気味の悪い森の中…奥へ奥へと入っていくと徐々に深い霧が僅かに晴れた気がした。
そこには。
大きな湖が広がっていたんだ。
すると天が口を開く。
「ここじゃ……」
「ん!?」
「ここが……河童達の暮らす村……『河辺村』じゃ。」
「この湖が河童の村なのか。」
天が説明してくれる河童村……。
俺達には大きな湖としか見えてはいないのだが…まさか。
「今……まさか……と思ったか?そう……この湖の中に、河辺村があるのじゃ。」
俺は湖面を見つめる。
「ここが河童村……でもまずは天狗の里が先だろ?」
「そうじゃな……ん!?」
「えっ!?」
そこまで話した天は言葉を止める。
その時。
湖面に大きな波紋が起こる。
波立ちはじめザザっと波は荒立っていく。
次の瞬間ザバーーーーーーーーーーーッと水を流し現れたのは水の主の様な巨大な水龍。
『ぐえええーーーーーーーーーーーーっ!?』
「あれは!?」
「水龍か!?」
俺の言葉に応える亀山。
ガチャリと刀を構える俺。
「まて……」
そう声をかけてくる天。
「どうした!?」
「あれはな……元の河童なんじゃ……。」
「なにっ!?」
俺は刀を納めると水の主は再び吠える。
『ぐえええええええーーーーーーーーっ!?』
するとうねうねとその首をもたげていくと。
ドウっと襲いかかってくる水龍。
「やばい!!」
俺はすかさず身を躱す。
「おっと!!」
「皆の者!!走るのだ!!???」
天狗の叫ぶ声。
俺は皆を集めようと叫ぶ。
「皆……俺の元に集まれ!?」
サキノもテンテンも俺の呼びかけに勘づいたようだ。
「クロノ!!うんっ!!」
「クロノさん!分かりました!皆!!クロノさんの元に。」
水龍の攻撃を避けながら皆が集まってくる。
俺は天の頭に手を添える。
「んっ!?どうしたんじゃ?」
「天……ちょっとお前の記憶を借りるぜ!?俺は記憶のない場所には飛べねえんだ。」
「あ、ああ。」
天は目を閉じる。
俺は集中し天狗の脳裏を辿っていく。
徐々に流れ込んでくる天の記憶。
『これは……悲しい天の記憶が俺の脳裏に流れ込んでくる。』
温かな記憶と悲しい記憶。
その記憶は俺の心に響いてくる。
俺もまた河童達を傷つけたくない…それならここは。
俺と彼女の心が一つになる。
『お前………ワシの記憶を………何者なんじゃ?』
『ああ……俺はこの世界を救う……『勇者』らしいぜ?』
『そうか。』
そういい目を閉じ俺と意識を重ねてくる天。
俺達は。
俺の身体に力が集まる。
俺は呟く。
『転地』
その瞬間。
俺達の存在は瞬間で飛ぶ。
◇
◇
◇
目を開けていくと……そこは。
◇
◇
◇
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