最終章邪馬国編シーン12
俺は浦牙島を斬り裂いた。
そして。
『うぎゃああああーーーーーーーーーっ!?』
俺の魔神具によって斬り裂かれた浦牙島。
そしてサラサラと奴の身体は風に吹かれて…消えていったんだ。
◇
この街に夜明けがやってきた。
こうして朝日が昇るのを背に受け…俺達は街へと戻ったんだ。
◇
◇
◇
街へ戻った俺達…ここには街は燃やされた為に作られた仮設の小屋ごやが並んでいたんだ…。
そして。
「うわあああ!!海って…すっごい綺麗。」
「本当に……ねえねえクロノ……こっちにきて。」
「サキノ…私達のクロノさんだってば。」
そんな二人は俺に声をかけてくる。
今…戦いを終えた俺達は音姫初め街中の人々…そして亀山の歓迎を受けていた。
娘を助けてくれた事に喜び、街ごと浦牙島の支配から開放された感謝として輪をかけて大歓迎してくれる町長である音姫の父親。
この大宴会は俺達を十二分にもてなしてくれていた。
久しぶりの楽しい時間に皆が楽しんでいるようだ。
すると声をかけてきたのは亀山だった。
「クロノちゃん…………。」
「ああ……亀山か。」
「うん……本当にありがとう…君のおかげで僕達も…この街も救われたよ。」
にこりと微笑み…そう言った亀山。
「いいって事だ……まあそれを推してきたのはあいつだけどな。」
俺がそう言い指を指したのはカルマだった。
すると俺達に気づいたカルマが立ち上がりこちらにきたんだ。
「亀山くん……音ちゃんも救えて本当に良かったね!」
「うん!カルマちゃんも本当にありがとう!」
「うん!!」
「でも……音ちゃんとカルマちゃんって本当に似てるよね?」
そう言った亀山。
その言葉に俺達も音姫に目を向ける。
すると、いつの間にかお酌をしていた音姫の姿はそこにはなかったんだ。
「あれ!?音ちゃんは!?」
「さっきまでそこにいたのにな?」
亀山にそう返した俺。
次の瞬間。
ギュウウウウウウーーーーーーーーんと突然聞こえるギターの音。
すると……いつしか、できていた仮設のステージの幕が開いていく。
そこには。
キュウンキュウンキュウンっと鳴り響くギターの音。
素晴らしいギターを披露したのはなんとあの音姫ちゃんだった。
『イエエエーーーーーーーーーーイ!!皆ーーーーーーーーーーー!!本当にありがとう!!これは私!!音姫のライブ!!是非最後まで楽しんでいってねーーーーーーーーーー!!!』
ギターを軽快に奏でる音姫ちゃんはめちゃくちゃ輝いていた。
「あれは!!!??」
「へへっ…クロノちゃん…音ちゃん……本当に凄いでしょう!?」
「お……おう………本当にすげえな。」
「実は僕は音姫ちゃんの大ファンなんだよ!」
「そ……そうなのか?」
すると亀山は音姫に向かい大声で叫ぶ。
『音姫ちゃあああーーーーーーーーーんっ!!』
亀山は叫び興奮している。
『音姫ーーーーーーーーーーーー!!さすがワシの娘だ!!いいぞーーーーーーーーっ!!』
『イエエエーーーーーーーーーーーーイ!!』
亀山に加え彼女の父親である町長までもが……そして徐々に広がるこの街中の歓喜の声が響き渡る。
「本当にすげえな…まさか異世界にきてこんなライブを聴けるとはな。」
「本当に……凄いねクロノ!?」
俺に声をかけてきたカルマもきっとこんな音楽ライブを聴いたのは久しぶりだろう。
俺達は視線を音姫のライブに向ける。
やがて、サキノとテンテンも……エンポリオとイシメール……隣にはうっとりとしたフェリシモもあのライブに聞き入っていた。
「ふぅ………でもこんなライブが聴けるのも…平和……だからだよな…。」
俺はそう呟く。
「うん……そうだねクロノ。」
隣りのカルマもライブを聴きながらそうこたえたんだ。
◇
◇
◇
その時。
『うわあああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?』
突然上空から誰かの声が聞こえてくる。
「なにっ!?」
その声に気づいた俺達は上空を見上げると何かが空から落ちてくる。
この特設のライブ会場には驚きの声が上がる。
「皆ーーーーーーーーーーーーーーーあ!!危ない!!逃げろーーーーーーーーーーー!?」
俺がそう叫ぶと声の主の声も大きくなってくる。
「いやあああーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
この状況に音姫のライブも一旦中断する。
そして俺達が離れたその場所に。
ズドオオオーーーーーーーーンっと轟音を立てて何かが落ちたんだ。
地響きと砂煙を辺りに撒き散らし落ちたなにか。
俺達はそいつに目を向けると。
『いたたた…………………』
そういいながら腰を抑えながら落ちた場所から姿を現したのは赤い髪…そして背中には俺の様な大きな翼を生やした少女の姿だったんだ。
「アレって……………」
「ん!?カルマ見た事あるのか!?」
「うん……あの姿……そして下駄を履いて……何よりあの手に持っているのは……葉団扇の様なあれを持っているって事は……………………」
「ん!?なんだ!?」
『天狗…………じゃないかな!?』
「天狗!!?????」
そう……突然俺達の目の前に落ちてきたのはなんと…天狗……だったんだ。
◇
◇
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