最終章邪馬国編シーン10
俺達は浦牙島《うらがしまw》達のアジトのある島に移動した。
悔しげに震える浦牙島。
『がああああーーーーーーーーーーっ!?』
俺達は奴らのアジトである小島に立っていた。
『貴様……亀山ぁ………あれだけ、てめえを散々痛めつけてやったってのにまだこの僕に刃向かうつもりなのか!?』
ギロリと亀山を狙い見る冷たい眼光は、まさに爬虫類のそれだ。
只々、亀山に恐怖を与えるものだった。
ジリジリと足がすくんでしまう亀山。
その時。
『おらっ!!こいっ!?』
『いやっ!?離してっ!?』
数名の男達によって連行されてきたのはなんと『音姫』だった。
すると、浦牙島はニヤリと微笑む。
『ククク………お前達は確かにまともに戦えば厄介な能力を持っている事は分かった……だがな…僕は、あの魔王様よりこの地を預かる『魔王軍アール・ハイ』が一人…『浦牙島』だ…貴様らを野放しにする事など出来んのでな。』
「魔王軍…アール・ハイ?」
俺の言葉にサキノが返してくれる。
「クロノ…ブラズールで私達が戦った敵は確か…アールローって言ってた…きっとこの人は。」
サキノがそう呟く。
「ほう……俺達の部下であるアールローを知っていたのか……なるほどな……奴らを倒したっていうのはお前達の事だったのか……通りで只者ではないようだが……そういう事か。」
浦牙島は、そう言葉にしながら納得しているようだ。
「だがな……そもそもがアールローと僕達アールハイではレベルが違うのだ……さあ……魔王ゼルドリスにより近い力を持つ僕達の力……その身を持って知るがいい。」
ゴゴゴと闘気、そして魔力を溢れさせその身体に力を蓄積させていく浦牙島。
確かにこの力は口だけではなさそうだ。
俺の身体に感じる力はそう直感させたんだ。
すると。
ザっと飛び出した浦牙島。
獣人で重そうな身体の割に動きが凄まじく早かったんだ。
浦牙島が瞬時に俺達の目の前に現れる。
『ククク……ここだよ……くらいな!!』
次の瞬間…浦牙島の鋭い巨大な斧が俺達を捉えようとしている。
「なっ!?早いっ!?」
ブオンッと空を切り飛んでくる大斧の刃。
「くっ!?これは!?」
「はあああーーーーーーーーーーーーっ!?」
そして…刃は到達する。
ガキイイイーーーーーーーーーーーーンッと俺の刃がいち早くその刃を抑える。
「くっ!?当たらなければこんな攻撃なら……俺がそう言った瞬間。」
浦牙島はニヤリと微笑む。
その瞬間。
斧の先端から空間に巨大な水球が発生し…やがてそれは溢れ出して引いていく…次の瞬間!巨大な津波と化して押し寄せてくる。
巨大な津波が俺達に迫る!!
「それだけならな………魔神『海王』は水を自在に操り…形を変える。」
俺達を阻む巨大な津波……そして津波から何かが発生する。
『海王!!!『津波弾』』
水滴がまるで意志を持った銃弾のように変化し俺達に向け無数の水弾が弾かれる。
そのスピードから凄まじい散弾銃のような攻撃…俺達を蜂の巣にでもしそうな勢いだ。
その威力は凄まじく周囲の鉄の塊までも貫き破壊していく。
「くっ!?これは……やばい……!?」
次の瞬間…俺の左肩に強烈な痛みを感じる。
「ぐっ!?」
『はあああーーーーーーーーーーーーっはっはっは!!この僕を見くびったな…我が魔神『海王』による僕の銃弾は意志を持ち敵を追撃し貫いていく……お前達に決して逃げ道などないぞおおおーーーーーーーーーーーーーーーっ!!???』
俺は奴の銃弾をくらいながらも弾き飛ばしていく…だが……意志を持った銃弾は仲間達をも狙う。
「うわっ!?なんだこの銃弾は!?ぐっ!?くそっ!?」
亀山にも強烈な攻撃が向かっていた。
そして……サキノの元にも。
「いやっ!?カラーウルフ!?『ファイアーズレッド』!!」
「サキノちゃん??えっ!?」
カルマはサキノを庇うために走るが…そんな彼女を狙う浦牙島。
「ククク………隙を見せたな…音姫に似たお前をまずは………」
ダッと飛び出していく浦牙島。
サキノを庇う為に走っていたカルマの死角から襲いかかっていく浦牙島。
「やばい!!カルマ!?」
「カルマさんっ!?」
俺も亀山も銃弾を躱す事に必死だった。
俺達を襲う浦牙島の魔神の猛攻。
奴の巨大な魔神『海神』はその凶悪な力を存分に振るう。
その時。
『やめてーーーーーーーーーーーーーっ!?』
この状況を誰かが見て叫んだんだ。
すると。
浦牙島はその動きを止め…ニヤリと微笑み……声の主を見ていたんだ。
『ほお?音姫……なぜお前がここまで来たのだ?コイツらを頬むった後…僕との挙式を行なうのだ……それまで祝宴は大人しく待っているんだ。』
『いいえ………そうは行きません……貴方は私と婚約したいのでしょう?その方達を傷つけるのならば…私はここで自害します。』
そう言った音姫の手には、どこからか持ってきたのだろうナイフが握られていたんだ。
『音………姫…………お前。』
『……私の為に……素敵な店は焼かれて…街まであんなに酷い事に…私の為に……大切な人達が傷つくのは…もう嫌なんです!!!』
『音……ちゃん。』
彼女のその言葉に……亀山は立ち尽くしていたんだ。
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