最終章邪馬国編シーン1
俺達の目指すのは『邪馬国』 自分の世界で言ったら日本の様な国だという。
そこに全てがある。
この時、俺達はそう感じていた。
エルフ王国から飛び立ったイヴレーア号は今日も快適だ。
すると…俺の両脇から誰かの視線を感じる。
「ん?」
「「うわわっ!?」」
俺が起き上がるとその正体は……サキノとテンテンだった。
「お?二人ともどうした!?」
俺の問いに先に口を開いたのは、テンテンだった。
「すっ…………………………ごく…美しいです。」
「え!?」
「ホントに……クロノってさ……カッコイイと綺麗が一緒になった感じ………。」
「んあ!?」
「「性別不明でもクロノがやっぱり好きーーーーーーーーーっ♡」」
「のあっ!???」
俺に、しがみついてくる二人。
何故かラブラと同化した俺は性別を超えてしまったんだ。
つまり両性と言うのだろうか…実際本来あったものがなくなったりしているわけだ。
だが……それにより女性ならではの美しさが加わったらしく皆の反応がこれまでと違ったんだ。
すると…久しぶりにガガガとヘッドホンにコメントが聞こえてくる。
『クロノ……クロノ!?』
「お!?お前らか?久しぶりのコメントサンキュー!!」
『うわあああ!!クロノ!?俺お前の事…なんか好きになったみたいなんだ!!帰ってきたら付き合ってくれ!!』
「はあ!?何言ってんだお前!?俺はおと……ん?」
『いやあああーーー!?本当に可愛いいーーっ!?クロノ!?帰ってきたら女子会しよーね!?』
「いやいやいや!ちょっと待てよお前ら!?」
『クロノ!?僕達はクロノ親衛隊を結成したんだーーーーーーーーーっ!!』
『クロノちゃん!私達と女子会もしよーね?』
「ちょ………!!」
俺の言葉にピタリと止まるリスナーの言葉。
「いい加減に………………」
『あ……………これ』
『わわわ!!クロノ??冗談!!まてまて!!』
「しろーーーーーーーーーーーーーっ!?」
俺は叫んでいた。
◇
◇
◇
「ふぅ……全くお前らはすぐ調子に乗るよな?」
すると、俺の声に反応したのはテンテンだった。
「でもねえ…クロノさん?その姿は美し過ぎて本当に犯罪レベルですよ?」
「クロノ…本当にそうだよ?声はもう完全に女の子だし…胸はあまりないみたいだけど腰の辺り何か女の子っぽいもん…もう見た目は本当の女の子って雰囲気になってるんだよ?…私負けちゃいそうだよお……。」
サキノは深いため息をつく。
「ホントに…皆さん本当にいい男ってのがわかってませんね…ね?イシメールさんっ!?」
「はあ……あはは。」
俺の後ろの席から聞こえてきたのは絶賛イチャイチャしていたイシメールと着いてきたフェリシモだった。
「っていうか…お前も着いてきたのかよ?」
「私達は、いつも一緒なんですっ!ね?イシメールさんっ!?」
「あはは。」
「あ……そういえば……これエルフィーナ様からです。」
フェリシモが俺宛にエルフィーナがくれたという手紙を差し出してくる。
「クロノ?それは?」
俺が手紙を開こうとすると、カルマが声をかけてくる。
「ああ…エルフィーナからの手紙みたいだけど、読むぞ?」
皆が俺の言葉に耳を傾ける。
『勇者クロノ様……貴方が向かう先『邪馬国』はかつてこの世界の中心だった島国……独自の文化と歴史を持つ場所……確かに私にもその国から凶悪な力を感じています…その魔王自身が立ち上がった今…これからの世界は貴方にかかっていると言えます…世界をお願いいたします…追伸……私は貴方の御無事を心より願い貴方の帰りをずっとお待ちしてます♡エルフィーナ♡』
「ほうほう…よし……気合い入れねえとな。」
俺は拳を握る。
「これって……エルフィーナ様ってまさか?」
そう言ったのはカルマだった。
「ん?どうした?」
「ふぅ…クロノってホントに鈍感よね?」
深いため息をつくカルマ。
「そうそう!クロノさんはそれでもいいですうう」
「あーっ!?テンテンちゃんずるいーーーっ。」
「おにいさあああーーーーーーーーんっ♡」
相変わらず俺にくっついて離れない三人。
『うわあああーーーーーーーーっ!?僕もクロノに抱きつきてえええーーー!!』
『いやいや!俺はめちゃくちゃクロノと仲が良かったんだ!俺と仲良くするよな?クロノ!?』
『男達!!そんなダメに決まってるじゃん!?私達のクロノなのーーーーーーーーーっ!?』
俺は、わちゃわちゃなリスナー含め皆の声にため息をつき……俺の視線は窓の外に向けられる。
すると視界に入れたのは遙か下に見える小さな島国だった。
俺の目に映ったのは見覚えのある形の大地。
「あれが俺達の目的地……『邪馬国』か。」
『ああ……俺様にとっても……懐かしい国だ。』
そう返してきたのは、いつの間にか俺の隣に座っていた魔神雷武だった。
深紅の長い髪を靡かせ口を開く雷武。
「なら……俺の全ても知れるんだな。」
『ああ……お前もどうやら……俺と同様の血が流れているらしいからな。』
雷武がそう告げると。
俺は再び邪馬国に目を向ける。
すると、エンポリオの声がイヴレーア号機内に響き渡る。
『皆さん!!間もなく邪馬国に着陸するよ!!シートベルト着用よろしく!!いっくよーーーーーーーーーー!!!』
ギュンッとイヴレーア号は旋回し着陸場所をロックオンする。
そして。
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