ブラズール世界編シーン71
俺は……ブラズール王ラファエルを仕留めた。
「やった…………」
「「やったーーーーーーーーーーー!!!」」
エルフィーナの声。
そして続くように皆の喜びの歓声でこの神樹内は歓喜する。
長くに渡りこの地ブラズールを支配してきた魔王の配下が今消えていったのだ。
それにより、このブラズールに再び青空が戻ったんだ。
「クロノーーーーーーーーーーっ!?」
「クロノさーーーーーーーーーーんっ!?」
俺が空を見上げていると叫びよってきたのはサキノとテンテンだった。
二人は俺に抱きついてくる。
「うわっ!?」
「クロノさんっ!!クロノさんっ!?」
「クロノーーーーーーーーっ!?心配したんだからーーーーーーーーーーっ!?」
俺は瞬く間に、もみくちゃにされている。
すると…すぅーっとヘキサの姿が俺の前に現れる。
『お兄さん…お疲れ様。』
ニコリと微笑むヘキサ。
俺は彼女に応える。
「ヘキサ……さんきゅ。」
『いやん!おにいさあーーーーん!ぶっっちゅうううん!』
「うわっ!?お前までか!?」
俺がさらにもみくちゃにされてしまう。
すると俺の耳にエルフィーナの声が聞こえてくる。
「勇者クロノさん……貴方のおかげでどうやらこの地も救われたと思います…ドワーフ王ドワフロスの意思と共に感謝の言葉を。」
俺はサキノとテンテン…そしてヘキサの頭を撫でながら応える。
「あはは…エルフィーナ………気にすんな。」
俺の答えに皆が安堵の表情へと変わる。
俺は仲間達に目を向ける。
イシメールはリオが去った後、新たな恋路を見つけたのだろうか…エルフの女の子と幸せそうに会話をしている。
そしてエンポリオとカルマは俺の元に歩いてくる。
そしてカルマは立ち止まる。
「クロノ……迷惑かけてごめんね……私あの時どうかしてて……貴方に……」
するとエンポリオが前に出る。
「クロノ君!?僕が言うべき事では無い事は分かってる……でも、カルマさんの事、許して欲しいんだ!!確かにあの時のカルマさんはちょっと焦ってそう言ったんだろうけど…それは彼女の思いが強すぎただけなんだ!!」
エンポリオは、そういうと頭を深々と下げる。
「エンポリオ……なら……お前が一発殴らせろよ……。」
エンポリオは驚きの表情で見ている。
「分かった。」
エンポリオは目を閉じ…じっと震える。
「クロノ……やめて。」
「クロノ!?」
「クロノさん!?」
サキノとテンテンは名を呼ぶと俺を見ている。
俺は頭を下げてるエンポリオに向け刀を上げていく。
「ダメーーーーーーーーーーーっ!?」
エンポリオを庇い止めるカルマ。
「覚悟しろエンポリオ。」
「ああ!!カルマさんは僕がずっと守るんだ!!!僕をやれーーーーーーーーーっ!?」
そして俺はぴたりと動きを止める。
俺はニコリと笑ってやる。
「んな事すっかよ!!」
「えっ!?」
「ええっ!?」
皆は…ほっと安堵の表情になる。
「もう!!クロノのバカーーーーっ!?」
サキノがプリプリしながら俺に文句を言ってくる。
「あはは。」
「ちゃんと聞いてるのクロノ!?」
「分かった分かった!な!?サキノ!?」
すると…俺たちを見て口を開くエルフィーナ様。
「ふふふ……勇者様とはいえ……貴方にはそれを感じさせない不思議な魅力があるのですね!ドワーフ王の気持ち…ほんの少しだけ分かった気がします。」
エルフィーナ様のニコリとした綺麗な笑顔。
俺たちはこの時平和を感じたんだ。
◇
するとその時…俺の身体に何かを感じる。
不思議な魔力を感じた俺はラファエルが消えていった空間に目を向ける。
そして。
ズズズと姿を現したのは魔族の女性だった。
女性は空間よりでるとこちらへ歩き出してくる。
「あんたは!?」
俺の問いに答えようと彼女が口を開こうとした時。
「クロノ!?」
「クロノさん!!待って!その人は私達が戦った時に力を貸してくれたお姉さんなんです!」
そう言い放ったのはサキノとテンテンだった。
すると彼女はニコリと微笑む。
「皆さん…私の名は魔王軍アールローの一人『ラウラ』ですがドワーフ王国を攻撃に行った魔王軍の配下の一人でしたが仲間だと思っていたのですが気づくと裏切られ私は消されかけていました…そこを彼女達に救われたのです…そして彼女達の力になれましたが…。」
そういうとラウラは続ける。
このブラズールは魔王に代わりブラズール王ラファエルが統治してきた事。
魔王軍だったというラウラは詳しくそこまで話してくれたんだ。
するとエルフィーナ様は口を開く。
「魔王軍……貴女達のその魔力でこのエルフの神樹も危険にさらされました……私は簡単に受け入れる事はできません。」
厳しい表情でそう告げるエルフィーナ様。
確かに彼女も気持ちもわかる…でも。
俺はラウラの頭に手を添える。
そしてラウラの目を見て応える。
「ラウラと言ったよな……サキノ達もアンタの事を信用してるようだしな…しかも助けてくれたんだ…うん!俺は……ラウラの言葉信じるよ。」
「えっ……あ……ありがとう。」
目に涙を浮かべるラウラ。
するとエルフィーナ様が抗議の声を上げる。
「クロノさんっ??勇者だからってそんな勝手な事……」
「まあまあ…俺に免じて……さ?」
「もう……分かりました!なら彼女のこれからは私達の元で……」
エルフィーナが笑顔でそう言った瞬間。
俺は、カルマの背後に異変を感じたんだ。
エルフィーナの表情も一瞬で変わった。
「皆さん!!危ない!!!?」
次の瞬間。
どーーーーーーーーーーーーんと空間に巨大な穴が開く。
そしてカルマの叫び声が響き渡る。
「きゃあああああーーーーーーーーーっ!?」
◇
◇
◇
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