ブラズール世界編シーン65
サキノ視点。
エルフィーナ様は魔神クラーケンの闇に包まれていた。
「エルフィーナ様!?」
「「エルフィーナ様ーーーーーーーっ!?」」
皆が叫ぶ中。
エルフィーナ様をラムドの魔神クラーケンの黒煙が包み込む。
「そんな………………」
「エルフィーナ!?エルフィーナ様!?」
エルフィーナ様が黒霧に包まれていく。
それはこの神樹までもがこの男の力でボロボロにされてしまうのでは?
そう思わせるものだった。
「エルフィーナ様が!?くっ!?離しなさい!?」
「シャルロットさん!?私達が戦うから休んでいて!!」
「うん!!テンテンちゃん!?やろう!!」
私達は怪物相手に構える。
そして。
「怪物!!??エルフィーナ様を離しなさい!?」
「そうよ!!こんな事許さないから!!??」
現れたのは私達の魔神。
「スタックビートル!!!」
「カラーウルフ!!!」
すると。
『グゴオオオオーーーーーーーーッ!?』
「がががあはああっ!?」
私達は突然背後に現れたハイオーク達が涎を垂らし見ていたの。
「えっ!?」
「サキノちゃん!?んぐっ!?」
私達は突然何かで口を封じられてしまっていたの。
(くっ!?テンテンちゃん!?)
テンテンちゃんは口を封じられる。
彼女は手足を拘束されると呼吸ができない状態になる。
すると身体がピクピクと震える。
やがてスタックビートルの光がすーーーっと消えかけていく。
「テンテンちゃん!?んく!!んーーーーーーーーーーーっ!!」
次の瞬間…私の声も封じられる。
すると辺りに聞こえてきたのはラムドの声だった。
『クククッ……せっかく参加してきた女共も我々魔族にかなう事はない……これで分かっただろう?エルフィーナ初め……精霊共……そしてこのヒューマンの女共もそこのヒューマン獣人の男も……我ら魔族にかなうはずがないのだ。』
するとラムドは続ける。
「我々魔族は世界でも最高峰の種族だ……これから我々は我が王『ラファエル』様……そして全ての魔族の頂点の魔王ゼルドリス様がこの世界を支配する事にする……まあ女共は我が魔族の種を残す為の存在……奴隷として生かしておいてやる……男は。」
その瞬間。
「ぐううっ!?うあああーーーーーーっ!?」
ラムドの攻撃により更なるダメージをうけるイシメールさん。
「んぐううううっ!?」
「あああーーーーーーっ!?」
私達の声にならない叫び。
やがて目からは悲しく熱い涙が溢れこぼれる。
(皆………私ではかなわなかったよ……本当にごめん………なさい。)
私は力が抜け……そして手にしていた絵筆がすーーーっと落ちていく。
(クロ………ノ…………………………。)
私が目を閉じていく。
「ククク……覚悟を決めたか………さあ……二人とも…そのまま僕を受け入れるがいい。」
ズブズブ口内で蠢くなにか。
すると。
ガキーーーーーーーーーーーーーんっとなにかの激しい音が聞こえる。
私の耳も頭の上でピクリと聞き耳を立てる。
その瞬間。
私の身体は力強い誰かの腕に抱かれていたの。
私はゆっくりと目を開いていくと。
◇
◇
◇
私が抱かれていたのは…ずっと…待ちわびていた大好きな彼……クロノだったの。
彼は私を見つめてくれていた。
「サキノ……待たせたな。」
私の口からは気持ち悪い怪物のなにかは消えていた。
「クロノ……クロノーーーーーーーーーっ!?」
私は涙が止まらなかったの。
そして私の身体は優しく寝かされたの。
クロノは目を次はテンテンちゃんに向けている。
ぐったりとしているテンテンちゃん。
「うおおおおおーーーーーーーーーっ!?」
ガキンガキンっと激しい轟音が響き渡ると。
テンテンちゃんの身体を抱き私の元に寝かせるクロノ。
「クロノ!?」
「テンテンも気絶してるだけだ……大丈夫だ。」
「うん…ありがとうクロノ。」
「ああ…さてと……」
クロノはそう言うとラムドに目を向ける。
「くっ!?貴様はあの時の……我がクラーケンにより魔神具をぶっ壊して力を奪ってやったのにどういう事だ!!???」
ラムドはそう叫んでいたの。
「ああ……たしかにあの時は俺達はお前に油断してた……そして魔神具を壊されて雷武も消されていたんだ……あのままでは俺にはどうしようもなかった。」
「ぐっ!?ならばまた貴様も魔神雷武も消し去り、今度はその生命までも奪ってくれる!!!」
ゴゴゴと音を立て、黒煙はクロノに集中していく。
『くっ!?クロノさん!?その煙は私は跳ね返せていましたがまた貴方がくらってしまったら今度こそその生命も!?』
エルフィーナ様はクロノにそう叫ぶ。
「ククッ……もう遅い……死ねーーーーーっ!」
『魔神……『クラーケン』閉鎖』
そしてクロノは再び黒雲に包まれる。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。




