ブラズール世界編シーン63
神樹の木々に襲いかかる何者かによる破壊音。
辺りにはざわめく精霊族達……。
エルフィーナは神樹の異変を全てで感じる。
すると。
ドーーーーーーーーーーーーン!バリバリバリバリっと音を立て割れていく神樹の木々。
プスプスと黒煙を上げ始める。
辺りには鼻に感じる。
焦げた香りが漂う。
「ぐっ……これは……なんなの!?」
エルフィーナは、そう呟き…驚きと苦痛の表情を浮かべる。
その時。
「はっ!?上か!?」
エルフィーナ様に合わせるように上を見上げる僕達。
すると、神樹の上空には黒雲が見える。
それは神樹に攻撃を加えた何者かがいた事を意味していた。
「えっ!?神樹にあんな大きな穴が!?エルフィーナ様!?」
シャルロットさんの叫ぶ声。
僕達は上空を見上げていると、視力が飛び抜けていい僕の目にいち早く微かに映ったものの正体とは。
禍々しい黒い闘気を纏った魔族の姿が数体見えたんだ。
「あれは……」
「イシメールさんの目には見えたのですね…あの者は先の戦いでクロノさんの魔神具を破壊し、そしてこの地のヒューマン族を奴隷として飼い慣らし傍若無人な力を奮ってきた男……奴隷商人ラムド……です。」
すると魔族達は降って来るようにこの神樹内部に上空に開けられた穴からスーッと降りてくる。
スタスタスタっと僕達の目の前に降り立った魔族達。
それはあのクロノ君の能力を奪った恐るべき敵を加えた魔族達だった。
そのラムドはなんと…今度は数体の魔族を従えて来たようだ。
こちらで戦えるのはエルフィーナ様、シャルロットさん、フェリシモちゃん…そして僕とエルフの兵士達だ。
するとラムドは口を開く。
「ククク……やっとここまでこれたぞ……あの時は、よくも僕をコケにしてくれたなあ。」
「なにっ!?どういう事だ!?しかもあの時クロノ君の魔神具まで破壊したのはお前だろ……ここは僕が相手だ。」
「フン…貴様とて、この僕の能力でただのヒューマンとなる。」
「なんだと!?そう簡単には……いくかっ!?」
僕は槍を振り回しラムドに攻撃を仕掛ける。
「はああああーーーーーーーーーーーっ!?」
「フン……魔神………『クラーケン』」
ドガガガーーーーーーーーっと衝突する僕とラムドの魔神具。
その衝撃から火花が飛び散る。
同時にクラーケンと激しい攻防を繰り広げる僕の魔神ゴルンガ。
「はああああーーーーーーーーーーーっ!?」
ズガガガーーーーーーーーーーーっと激しく衝突する僕達の魔神具。
「イシメールさん!?」
フェリシモちゃんの声が聞こえる。
次の瞬間フェリシモちゃんは魔神具ローズウィップを振り出す。
すると…そこへ…フェリシモちゃん、そしてシャルロットさんの前にも数体の魔族が立ちはだかる。
中でも目を留めたのは。
一体は巨大な四足の猪の姿シッポを振り回し現れた魔族。
一体はオークの進化した様な姿…そう…見た目から想像するに、きっと奴はオークキングだ。
タダのオークからは想像もつかない激しい魔力を感じたんだ。
「くっ!?こんな所に私達……エルフの天敵ともされるオーク…それも軍となって襲ってくるだなんて……ただ事ではないようね。」
話から察するにどうやらオーク属はエルフ達の天敵のようだ。
「くっ!?フェリシモちゃん!?シャルロットさん!?」
僕は、そう叫ぶが目の前には強敵ラムドが今にも僕の能力を奪おうとその力を発現させようとしていた。
『ククク……この能力の為に僕は再びこの魔神具…トライデントを手にとったのだ。』
『魔神……『クラーケン』閉鎖』
「くっ!?なにっ!?」
奴の魔神クラーケンが巨大な足が数本……地中からボコボコっと姿を現す。
次の瞬間。
クラーケンの黒霧が発射されようとしている。
「やばい!!???」
『シルフィード…………………エアーウィンド。』
周囲に突然巻き起こってくる風。
それは目の前の黒霧を吹き散らしていく。
「おお……助かった。」
「ふふふ……さあ…ここからは私も戦います……エルフの意地今こそ見せるのです。」
エルフィーナ様のその声にどこからともなく声が聞こえ風が舞い始める。
風は神樹の木の葉を巻き込み、そして風はやがて刃となる。
「うぎゃあああーーーーーーーっ!?」
一体のオークが切り刻まれ倒れていく。
「フン……さすがに一度我が軍を退けただけの実力は健在……という事か。」
ラムドはそうつぶやく。
「当たり前だ……僕達はそう何度もやられるもんか。」
「ほう……だがな……僕達も魔族なんだ……貴様ら奴隷であるヒューマン等との力の差は歴然なのだ……遊びはここまでのようだな。」
するとラムドは何かを取り出す。
「ククク……これはな……魔王ゼルドリス様からこの僕が特別に貰い受けた魔神具……その名も『魔神の銃』これをこの僕が使用すれば………」
そう話しながらラムドは自分のこめかみに銃口を向ける。
次の瞬間。
ぱーーーーーーーーーんっと鳴り響く銃声。
そちらに目を向けるとラムドは倒れている。
「なんなんだ……勝手に死んだのか!?」
僕がそういったその時。
ズガンッと僕は腹に激しい痛みを覚える。
「ぐっ……がはっ!?」
「イシメールさんっ!?!!!???」
僕の意識は。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。




