ブラズール世界編シーン54
カルマ視点。
私は今……ここブラズールの首都ジャネイロにいたの。
颯さんの後を追いついてきて辿りついたブラズールの首都。
まるで機械の要塞の様な面持ちの巨大な街。
「凄い……こんな技術がこのブラズールにもあったなんて」
すると私の脳裏に浮かんできたのはエンポリオ君の事だった。
彼は機械…そう……マシーンが大好きで彼自身も科学者であり…色々なものを作り出せる私も本当に尊敬できる男性なの。
ここにきたらエンポリオ君喜ぶだろうなあ。
私はふとした時に、考えてしまうのは彼の事だった。
今の私には恋愛より家族優先だもんね…まずはパパとママを探さなきゃ。
そう自分に言い聞かせ首を横に振る私。
すると……前を歩いていた颯さんの声がする。
「さあ…カルマ…着いたぞ…ここがこのブラズールの王である『ラファエル』様の城だ。」
私達の目の前には煌びやかな巨大なお城がそびえ立っていた。
「ここがブラズール城……」
「ああ……太古から俺達魔族が拠点としこの地を支配していた魔王城……ここがそうだ……。」
「颯さん……ここに私の両親が?ラファエルって誰!?」
すると私に応える颯さん。
「ああ……それは奥に進めば分かるさ。」
私の目に止まったのはブラズール城の入り口にいる数体の機械兵。
じーっとこちらに視線を向けてくる機械兵。
「機械兵……これは大丈夫なんですか?」
「ああ……カルマ……君はこの僕と一緒なんだ…大丈夫だ…まあ見てな。」
そういうと颯さんは手を上げる。
その瞬間…機械兵は颯さんに反応し動きを止める。
そしてギギギとその動きを停止させる。
「えっ!?止まったの?」
「ああ……この僕はこう見えて魔族の幹部なんだぜ?僕に逆らう者などいないさ。」
「………………………………。」
颯さんの言葉に私はつい無言になってしまう。
「ふふっ……まあいいや……さあいこうか?」
私は颯さんに手を引かれ中へと立ち入っていく。
◇
◇
◇
私達は中へと進んでいく。
颯さんはこのブラズール城の内部を知りつくしているようで迷わず進んでいく。
だけどこの城の中はかなりの広さだった。
私一人だったら間違いなく迷っていると思う……それくらい広くて大きなまさに要塞といった感じだ。
進む回廊の所々に部屋の入り口なのであろう扉がならんでいたの。
「凄く広いですね。」
「ああ……しかもここは侵入者が入ったら次々に守護兵器どもが現れるのさ…ここではどんな者も勝手に歩き回れないだろうね。」
「そう……なんですね。」
その時なぜか私の心の中に妙な不安感を感じていたの。
その間も颯さんはどんどん進んで行ってしまう。
私は颯さんの後を追う。
すると。
突然建物前にブザーが鳴り響く。
ビーっびーっと鳴り止まないブザー音。
「えっ!?これって!?」
「ああ……なんらかの侵入者があったんだろう。」
すると前からこちらに、どんどん機械兵が向かってくる。
「えっ!?こっちにくる!?」
「大丈夫だ……この僕がいる限り侵入者は僕達ではない…それが証拠に……ほら。」
颯さんが指さすと私達の隣を通過し来た道。
つまりは城の入り口の方向に機械兵は移動していったんだ。
「これは誰かが侵入してきたって事?」
すると颯さんは微笑み応える。
「そうだろうな…魔族ではない侵入者が迷い込んで来たのだろうね…まあいい僕達は先を。」
「魔族じゃないって事は人間とかが迷い込んで来たって事?」
「きっとな……ここには魔族では無い者が侵入すれば容赦なく殺される……それがこの要塞の力だ。」
冷たくそう言い放つ颯さん。
私はそんな彼の言葉にぞっとするなにかを感じてしまう。
「んーーー機械兵の見た映像データとれるかな。」
颯さんはそういうと立ち止まり片手をすっと前に差し出す。
その瞬間そこに映像が見えてくる。
「これがさっきの侵入者の姿だよ。」
するとそこに見えたのは見た事のある姿だった。
それは。
私をずっと助けてきてくれたエンポリオ君の姿だったの。
「エンポリオ君!!???」
私はいてもたってもいられず、走ろうとすると颯さんが行く手を阻んでいる。
「颯さん!?彼は私の大切な友人なの!?そこをどいて!!???」
「ダメだ……カルマ……君は自分の父親と母親と会いたくはないのか!?ここまで来てそれを捨てるというのか!?」
「それなら…彼を……エンポリオ君を……救ってよ!!!???」
私は颯さんにそう叫んでいた。
すると……急に颯さんの雰囲気が変わった気がした。
「カルマ……もう……素直に僕のものになれよ……。」
颯さんは怪しい笑みを浮かべそう呟く。
「颯……………さん?」
ゴゴゴと彼の魔神韋駄天の手が私に伸びていた。
「フェリス!?んんーーーーーーっ!?」
私は口をいつしか封じられ……そして。
私は意識を失ってしまったの。
◇
◇
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お読み下さりありがとうございました。




