ブラズール世界編シーン46
私達の前に立つラウラさん。
魔神具……そして魔神を奪われた彼女は…それでも私達を守る為に獣人化して立っていた。
「ラウラさん。」
「ラウラさん……今は魔神がいないし……無理は。」
私達の声に彼女はこちらをチラ見し答える。
「大丈夫……私は獣人だから……そこそこは戦える…今度は私が貴女達を守るから。」
ラウラさんはそう言うと身構える。
するとラウラさんの毛色が変わっていく。
イタチのような形状の動物の獣人。
「あれは………エンポリオさんのフェローズに似てる……」
私の声にテンテンちゃんが言葉にする。
「あれはある場所では雷獣と呼ばれる……ハクビシンっていう動物だね。」
するとラウラさんが口を開く。
「その通りよ…私は雷獣の獣人…昔から雷を呼ぶ呼ばれた動物の獣人……獣人としては希少な魔力を持つ種族……それが私達雷獣の獣人なの…そしてそこを買われラファエル様の側近になれたってわけよ…。」
すると聞いていたリベロが口を開く。
「フフン……そういう事だったのか……獣人の分際でその地位にいたのは雷獣の力を持ってたからラファエル様に目をかけてもらっていたという訳か…」
「そうよ……だから私はこの獣人の力で………」
バチバチと身体に電気を発生させていくラウラさん。
その電力はこちらにまで聞こえる程音をたてる。
それはその力を感じさせるには十分だった。
そしてひとしきり身体に電力を蓄積させたラウラさん。
次の瞬間。
「さあ…痺れなさい。」
ダっと走り出す獣人のラウラさん。
その速さが流石である。
バチバチっと電気を放電…まるで電気に操られるような瞬足でかける彼女は目にも止まらぬスピードでリベロに迫る。
「なん……だと。」
リベロがそういった瞬間。目の前に姿を現すラウラさん。
バキッッッッ!!バリバリっとリベロの身体に攻撃をヒットさせるラウラさん。
攻撃と共に感電を繰り返すリベロの身体。
「グガガッ!!ゲゲッ!!」
彼女の身体は雷にのり凄まじい速さでリベロへの攻撃を繰り返す。
流石にこの攻撃になんでもない生物など存在しないであろう。
私達はその攻撃に目を釘付けになっていた。
「はあああーーーーーーーーーーっ!?」
ババっと宙に舞うラウラさんの身体。
だがその時。
「がああああーーーーーーーーーーっ!?」
リベロが凄まじい大声をあげる。
そしてその手にはいつの間にか大斧が握られていた。
「ぐおおおおおっ!!!」
宙に浮くラウラさん目掛け大斧を一振りしていくゴブリンロードのリベロ。
「くっ!?ならば。」
宙で体制を変えようとするラウラさん。
するとラウラさんの足を捕まえたゴブリンロード 。
「きゃっ!??」
「フン!!こざかしいわ!?」
ブンっとラウラさんの身体を地面に叩きつけようとするゴブリンロード。
「かかったわね……ここまでの行動は読めていたわ。」
「なにっ!?」
バチバチという電撃を身に纏うラウラさん。
そして。
「頭からくらいなさい!!!!!!!」
叫んだラウラさんはゴブリンロードの頭を掴み取る。
焦るゴブリンロード。
「うがっ!?」
バリバリバリバリーーーーーーーーっと激しい轟音と共にゴブリンロードの身体中を駆け巡る電撃。
『ぎゃあああああーーーーーーーーーっ!?』
ゴブリンロードであるリベロは超電撃を身体中にうけ……そして、その身体を停止させたのだった。
◇
「やった…………わ。」
ふぅっと胸を撫で下ろすラウラさん。
私達もそれを見て安堵する。
「凄いですラウラさん!?」
「本当本当!!カッコイイお姉ちゃんって感じです!!」
私達は凄く強かったラウラさんの戦いに感銘をうける。
特に獣人の私はラウラさんに強い憧れを抱いてしまったの。
にこりと微笑むラウラさん。
今まで魔神具だけに頼ってきた私だったけど。
私はいつしか感動を覚えていたの。
するとラウラさんが口をひらく。
「いい?二人とも……例えマジェストの力がなくてもきっとこうして自分……そして仲間を信じて……それに今回はどうしても私を守ってくれた貴女達を私が守りたかったんだもの……さ、じゃあ貴女達にかけられた石化を解かなきゃね…」
そう言ってこちらに歩き出したラウラさん。
次の瞬間。
「えっ!?あれ………………」
そう言いながらみるみるうちに青い顔になっていくラウラさん。
そしてその背後には魔神メデューサ。
起き上がり不気味な表情を浮かべるリベロの姿があったんだ。
すると。
みるみるうちに足元から石化していくラウラさん。
「ククク……油断してたな……その油断が生命取りになったなあ……」
ニヤつくリベロ。
「さあ……ついに終わりだ……ラウラ。」
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