ブラズール世界編シーン41
ラウラ視点
『えっ!?』
その時……私が感じたのは同族ぺドロの気配が消えた事だった。
ペドロに、なにか起きたの。
私は考えを巡らせる。
私達…魔王ゼルドリス様の配下でありながら今はこのブラズールの王として君臨するラファエル様の側近と呼ばれている私達。
なんと私以外の三人もがマジェスト協会の手の者に倒されてしまった。
これは由々しき事態なのである。
だが信頼していたぺドロが今倒されてしまったようだ。
これには…先に攻撃を仕掛けたエルフの神樹マジェスト協会サイドは防戦の為の者たちを集中させたのであろう……でなければそう簡単にあのペドロまでもがやられるハズは無い。
私はそう考えたの。
今私の軍の眼前にはあのドワーフ王国の城塞の門碧が見えている。
元々獣人として生きていた私は獣人という能力そしてマジェストの能力を魔族に買われそして今や、この獣人軍を率いているのだ。
するとそこへ現れたのは私の長年の部下でこの軍の副指揮官『リベロ』だった。
「ラウラ様…たった今……ここドワーフ王国の地下への入り口に我が兵達が全て揃いました。」
「そうか…ご苦労だったな…ではここからは私が指揮を……」
私がそう告げたその時。
「フフフ……クックック……………………。」
「ん!?」
私は突然おかしな声を上げた『リベロ』を見る。
すると奴は肩を震わせ笑い出す。
「あははっ!!あーーーっはっはっは!!」
「『リベロ』貴様……なぜ笑う?何故急に笑い出す。」
身体を使って苛立ちを感じる程大笑いしている『リベロ』。
その笑いには不気味差も感じてしまう。
私がそんな奴を見ていると一人…また一人と目の前にいる兵士次々と、まるで今まで笑いを我慢していたかのように連鎖して笑いだしていく兵士達。
すると目に涙を浮かべながら口を開く『リベロ』
「ひい……ひい……いやあ笑えて仕方がなかったよ!?」
「なに!?貴様一体どういうつもりだ!?」
「ククク……さあ……お前達………やれ。」
『リベロ』の合図と共に一斉に今まで私の部下だった兵士達が私に襲いかかってきたのだ。
「や……やめろお前達!?」
私が魔神具を手に取り振るおうとしたその時。
私の魔神具に灯っていた光がフッと消える。
次の瞬間。
「いや……いやあああーーーーーーーーーっ!?」
◇
◇
◇
一方その頃。
ドワーフ王城塞内部では。
◇
◇
◇
「ふぅ……どうやらエルフの神樹は守られたようだな。」
ドワーフ王が安堵の声を上げる。
「良かったです……イシメールさんもシャルロットさんもそしてフェリシモちゃんも何とか無事だったみたいで。」
ドワーフ王にそう言ったのは私サキノだ。
「ふむ……しかしこのヘッドホンというものは本当に便利だな…我が国にも是非広めるとしよう…作れるのは君たちの仲間のエンポリオ君だったな。」
「そうですね王様!でもエンポリオさん……一体どこへ消えたんでしょうか?」
私達はその疑問に駆られていた。
もちろんイシメールさん達も神樹周辺をエルフさん達も加え搜索していたんだ。
「我がドワーフ王国からも捜索隊を派遣したにでな…いずれ…見つかるであろう……だがそれより厄介な者たちがすぐにでもこの城塞に辿り着きそうだな。」
「えっ!?どういう事ですか!?」
ドワーフ王のその言葉に私が聞き返す。
すると兵士達が数名入ってきたんだ。
「王様!?大変です!!」
慌て走ってきた兵士達。
「どうした!?何があった!?」
「はっ……城の城門前に数百ともみられる兵士達が今やこの城に攻めこもうと待ち構えているのです。」
兵士の一人がそう告げる。
「くっ!?こんな時にか。」
そう、この状況…苦しむクロノの為に立ち上がってくれるというドワーフ王。
でもこんな時に限ってここにはイシメールさんもましてエンポリオさんもいなかった。
この城で今敵軍に対抗出来る力は私達しかいなかったんだ。
するとクロノを連れる兵士達。
「えっ!?」
「これより俺はクロノを連れこの男の為の魔神具作成に入る…どうやら時間もなくなってきているようだ。」
そういい立ち上がったのはドワーフ王。
クロノは私達をじっと見ていたの。
すると。
「クロノさん!?私!!頑張って戦って待ってるから…行ってらっしゃい。」
そう言ってクロノを抱きしめたのはテンテンちゃんだった。
私も。私だって。
テンテンちゃんとの抱擁を得たクロノ。
そしていつしか私を見つめていたクロノ。
私も近づいていく。
クロノの目を見ているとドキドキと鼓動が高まる。
そして私はクロノに抱きつく。
何度もこの胸に私は守られてきた。
次は私が君を守るから。
「クロノ……ずっと待ってるから。」
「サキノありがとう。」
私がそう告げるとクロノは満面の笑みを浮かべ…そう言ってくれたんだ。
「行ってらっしゃい。」
◇
◇
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