ブラズール世界編シーン37
イシメール視点
どーーーーーーんっとその場に沈むぺドロ。
三人でのこの連携プレイが功を奏しぺドロを沈める。
ズズズっと音を立てているペドロ。
「やったかな?」
「いえ…これくらいでは……」
フェリシモちゃんもシャルロットさんも奴の気を感じていたようだ。
僕にも感じる奴の禍々しい気配。
すると。
ボコっと瓦礫を跳ね除け立ち上がってくる奴の姿を見たんだ。
『ぐっ……ぐふぅぅぅっ………あ〜〜〜いいねえ……久しぶりに全身に衝撃と痛みってのを……感じたぜぇぇ。』
ニヤリと口元を引き攣らせ言葉にするペドロ。
『どうやら…この俺を存分に楽しませてくれそうだ。』
「なにっ!?僕達はお前ほど個々の強さはまだ完璧じゃないかも知れない……でも……」
『くくく……でもなんだ!?この俺を倒せるとでも言いたいのか?』
「そうだ!!僕らならお前になんか負けないんだ!!」
僕はカッコつけてる訳じゃない…きっと勝てるはずだ。
僕は自分にそう言い聞かせる。
「ククク…お前ら……ではそろそろこの俺とお前らの絶望的な力の差ってのを教えてやろう……」
するとペドロが拳を握り力を貯め始める。
徐々に奴の身体からはシューッと何かが溢れてくる。
「なにこれっ!?」
「これは………汗!?」
二人がそう口にする。
僕の鼻にも奴の汗の匂いが鼻に感じる。
その時…奴の声が聞こえてくる。
「ふしゅうーーーーーーーーーっ………ふぅ……ククク………あーーーっはっはっは!!さあ……我が魔神『イエマン』が出てきたぞ……このまま俺の拳を食らうがいい!!」
ダンっと地を蹴ったぺドロ。
その瞬間、僕達の前でその姿を消したペドロ。
すると。
どごっという音。
僕の顎。
そして脳が震える。
目の前が一瞬で真っ暗になり僕の意識が飛びそうになる。
「うがっ!?」
「イシメール君!?」
「イシメールさああああんっ!?」
耳に届く二人の声。
このまま意識が飛んだら……やばい。
僕がそう考えていると……次の瞬間。
僕の目の前に姿を現したペドロは両手を振り上げる。
そして。
「はああああああーーーーーーーーーっ!?」
僕の腹部に強烈な痛み……そして身体は地面に吹き飛ばされる。
これは………動け…………ない。
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーンッと叩きつけられた僕の身体。
内蔵が揺れ腹部から戻る何かが口から吐き出された。
「うぐっ!!???ガハッ!!???」
目の前に見えたのは赤い液体。
そしてさらに視界がぶれ身体はバキバキに痛み動けるものでは無かった。
ああ……骨も数本折れてる。
すると僕に向かい泣きながら飛んできたのはフェリシモちゃんだった。
「イシメールさあんっ!!!!!???」
「に……げ…………ろ。」
僕の声が届いてないのだろうフェリシモちゃんは泣きじゃくりながら近づいてくる。
するとその時……ぺドロが口を開く。
「クククッ……どうだ?俺の力は……お前のその力も確かに強力なものだ……だが…上には上がいるというのがこういう事だ。」
確かに……この男……ペドロは強い……これが魔王に近づいていくという事なのだろう。
僕は悔しかった。
マジェストになって…ここまで来て……強くなったはずなのに。
僕は……まだまだだ。
すると僕の目を覚まさせるような叫び声が聞こえる。
「いやあああーーーーーーーーーーっ!?」
それはいつの間にか液状の何かに捕らわれたのはシャルロットさんだった。
見ると液状のものは蠢く。
するとシューッとシャルロットさんの身体から煙が立つ。
「あっ!?くうっ!?」
「シャルロットさん!?」
声を上げるフェリシモちゃん。
いつの間にかシャルロットさんは捕らわれ溶かされそうになってしまう。
すると。
「クククッ……俺の魔神である『イエマン』は水の力を有した魔神……俺の全てが水になる…そして水は性質を変える……あの女に触れているのはアシットスライム……このままなら……骨の髄まで……溶けて無に帰る。」
その時。
「ダメーーーーーーーーーーっ!?」
叫びながらシャルロットさんにしがみつきスライムを剥がそうとするフェリシモちゃん。
だが。
「きゃあああああああーーーーーーーっ!?」
いつしかフェリシモちゃんにも襲いかかったアシットスライム。
「フェリシモちゃん。んぐっ!?」
僕の身体は激痛で動けない。
だめだ……………。
僕は…………ここまでなのか!?
◇
◇
◇
次の瞬間。
僕は何かに………捕らわれた。
『ほかーーーーーーーーーく!!!!!』
◇
◇
◇
イシメールの脳裏に浮かんだ声。
その主の声は。
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