ブラズール世界編シーン31
オオオオオーーーーーーーーーーーン。
その狂気の声はこのブラズール大陸に響き渡る。
すると口を開いたのはブラズール王。
ブラズール城という巨大な魔族の居城。
その展望台から地を眼前に見下ろすのはブラズール王『ラファエル』。
城の前に集まったのは魔族の兵士達。
その数は数百…千体はいるであろうか。
人型の魔族はもちろん異形のモンスターの姿も見受けられたのだ。
ブラズール王は兵士達をゆっくりと眺めていく。
シンっと周囲は静まり返る。
するとそこへ二人の魔族が現れる。
一人の女性魔族の名は「ラウラ」そして男の魔族の名は「ペドロ」。
「王よ。」
ラウラはそういうとブラズール王に片膝をたて頭をさげる。
「ペドロ。」
「はっ!!」
ペドロは前に進むと群衆を見下ろし口を開く。
「我が部下共……我が王ブラズール王は…この地を再び完全なる我々魔族だけの国家へと変えると所望している…力弱き精霊族は今や…我が魔族国家の反勢力となっている……今こそ我々の力を見せつけ……この地を我が魔族のものとするのだ。」
すると我が部隊己の肉体を鋼に変え戦う『武拳軍』が叫ぶ!!!
「「うおおおーーーーーーーーーーっ!!」」
「そして………私の軍は『獣人軍』」
「「グキュウーーーーーーーーーーッ!!」」
ラウラの獣人軍も健在だ。
ラウラは怪しげな笑みを浮かべる。
「私の獣人軍もその数約……五百……そして貴方の武闘軍が五百………でもこんな強力な武力を集めるなんて…」
「ああ……そうだな……俺達の武力は国の一つ二つでも軽く潰せるからな……それがエルフとドワーフの国を殲滅が目的とは……ラファエル様もどういっった気の迷いなんだろうな?」
「そうね……貴方の部隊だけでも十分過ぎるとも思うわ。」
「ああ……まあラファエル様にも何かお考えがあるのだろうしな。」
するとそこへラファエルが声をかける。
「ふぅ……わざわざ部隊まで招集したのはすまないな…」
そう声をかけてくるラファエル…すると言葉を続ける。
「先に向けたアールロー二つの軍は潰された……だが油断だと思っていたのだが……敵はマジェストだ。」
「敵は……………」
「マジェスト!?」
ラファエルは頷く。
「先程な……やられ逃げてきた兵士の身辺調査をしたらな…力の鱗片を感じ…そしてそれを考えるとボーンゲルドがやられた事も納得がいった。」
「それは本当にマジェストだったのですか?」
「ああ……魔神具の力が向こうにあるのであれば…アイツらがやられた事実を信じなければなるまい。」
俺もラウラもそれなら我々が呼ばれた理由になるというものだ。
「ペドロ………ラウラ………頼むぞ。」
「「はっ。」」
そして俺はマントを翻す。
「ラウラ………俺は久しぶりに楽しみを覚えている……。」
「ふぅん……貴方がそんな顔するなんて。」
「そうか?そんなに気になるのか?」
「ええ……とても興味深いわ。」
「そうか…すまんな…では…俺は先に向かうぞ。」
俺は自身の魔神具を取り出だす。
「わお……今回は本当にやる気満々ね……貴方の魔神具を見たの何百年ぶりかしら?」
「フン……まあそうだなあ……俺様達はこの鋼の肉体で十分に戦えるのでなあ……フンっ。」
ごおおおおーーーーーっと俺は一気に飛び立つ。
そう……目指すのは俺様達と同じくマジェスト。
「クク……身体中の血が……沸騰しそうだ……敵のマジェストだと?この俺の力を…やっと全力……試せる!!!」
どしゅーーーーーーーーーーっと超高速移動したペドロにはもう戦う事しか見えていなかったんだ。
◇
◇
◇
ここはドワーフの城。
サキノ視点。
◇
「閉もーーーーーーーーん!!」
ゴゴゴと閉じていくドワーフ城。
これは敵の思惑を消す策であった。
そしてここは地下の迷宮通路。
それはドワーフ城とエルフの神樹を繋ぐ太古の通路であった。
今私達はエルフの神樹へと向かっていたの。
「王!!もうすぐエルフ領に入ります。」
前を進む兵士達がそう告げる。
今の戦力ではこれ以上の攻撃になるであろう ブラズール王軍の力ではバラけてしまっては太刀打ちできない事からとブラズール王の提案で今私達はエルフ領に向かっていたの。
「皆の者……エルフ領の皆々がひとまず無事なのは分かってはいるが果たしてどうなっているのか…今は信じよう。」
皆の気持ちは王のこの言葉で一つになる。
クロノは私に手をひかれ着いてきていた。
「大丈夫だよ」
「うん!でもなんだか向かっていると僕。」
クロノはそう言うと彼の握っていた手が重くなっていく。
「あれ?」
「クロノ!?」
「えっ!?クロノさんっ!?」
私とテンテンちゃんの叫び声。
すると。
ドワーフ王が近づいてくる。
「どうした!?」
「私にも分からなくて。」
王にそう返したのだけれど……クロノの様子を見た王がこたえる。
「これは……早いうちになんとかしなければ。」
そう言って神妙な表情をするドワーフ王。
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