ブラズール世界編シーン30
私達は鉄星様と共に到着した村。
私は辺りを見回すと所々に村人の存在が確認できた。
すると、一つの家から顔を出した人物。
その人はこちらに目を向ける。
それは一人の少年だった。
初めは目を凝らして見ていたけど鉄星様の姿を確認すると笑顔に変わる。
にこーっと満面の笑みを浮かべる少年。
その瞬間こちらに駆け寄ってくる。
「うわあああーーーーーーーーーい!!おじさん!?」
「おお」
鉄星様が彼の身体を抱きとめる。
二人は顔見知りなのだろう…抱きしめあい再会に喜びあっていた。
すると片腕だった鉄星様の腕に気がつく少年は驚きと悲しそうな表情に変わる。
そして。
「おじさん……腕……………」
それを見てしまった私の胸がチクリと痛む。
次の瞬間、立ち上がる鉄星様。
「さあ……母はどこだ?案内してくれないか?」
「う……うん…………………ついてきて。」
「分かった。」
鉄星様はニコりと笑みを浮かべる。
そして私は俯いていると。
「リオ……大丈夫だ……さあいくぞ。」
「鉄星様…………はい。」
鉄星様はそう言ってくれてるけど。
私はそう思いながらも彼の後を追ったの。
◇
◇
◇
そして私達は村の最奥まで来ていた。
「おじさん~!こっちこっち!」
少年はそう言いながら手招きしていたんだ。
「鉄星様?」
「いくぞリオ。」
「はい。」
そして私達は少年に招かれるまま家の中に立ち入ったの。
その建物は少し大きめな建物で数十人位は暮らせそうな建物。
中に入るとそこに居たのは。
数名の子供達の姿だったの。
「ここは……?」
「ああ……ここはこの辺りの貧困街の親のいない孤児が集まって生活している孤児院なのだ。」
「孤児院………」
私は建物の中を覗くとそこには身なりは貧しそうに見えても笑顔に溢れこちらを見ていた子供達の姿があったんだ。
「あ!!」
「ああっ!?」
「「鉄星さーーーーーーーーーーーん!?」」
鉄星様の名を笑顔で呼び走りよってくる子供達。
その勢いはとても貧困街の孤児達の行動だとは信じられない程。
私はその光景に驚き固まってしまっていたの。
すると私達の周りは子供達でいっぱいになっていた。
特に子供達に甘えてくる子供達を見ていると私は心が温かくなっていた。
そしてそんな顔の鉄星様を見ていると。
カツカツという足音を立てて誰かがやってきた。
すると一人の女性がやってくる。
「ああっ!鉄星さん!?いらして下さったのですね!?」
「「ああっ!?お母さんだあああ!!」」
子供達はそういうと女性の元に駆け寄っていく。
お母さんと呼ばれるその女性は明るい笑顔の綺麗な女性だった。
すると。
「鉄星さん……いつもこの孤児院の為にありがとうございます。」
その女性は笑顔でお辞儀をしお礼を言ってくる。
そして顔を上げると気づいたのはやはり鉄星様の無くなった腕だったのだろう…。
すると私達の表情を見て何かを察したのか女性は私の顔を見ていた。
震えてくる私。
そして女性は。
「お姉さん!名前は?」
「えっ!?あ……私はリオ……です。」
すると彼女はにっこりと笑顔を見せてくれる。
「さあ皆!?今日は鉄星さんがお姉さんを連れてきてくれたわ!一緒に遊んでもらいなさい!」
「えっ!?」
私の驚き鉄星様の顔を見る。
ニコりと笑みを浮かべ頷く鉄星様。
私は子供達と沢山あそんだの。
◇
この女性は私の傷ついた心を癒してくれた。
鉄星様はもちろん優しく私の全てを受け入れてくれる。
腕の事も忘れさせてくれるくらい。
でもこの女性に出会い更に私は救われた。
そしてこのお母さんと呼ばれる女性に聞いた話。
鉄星様はずっとこの孤児院の為に、いやそれだけではなく各地のこういった孤児院の為に鉄星様はこれまで動いてきたらしい。
そんな鉄星様はこのチェンウォンの父と呼ぶ人もいるらしい。
この孤児院の笑顔の為に鉄星様はこれまで尽くしてきたんだ。
◇
子供達も寝静まった頃。
私達は窓から見える星を見ていた。
「鉄星様…ここでも綺麗な星が見えますね。」
「ああ…」
「私……ありがとうございます。」
「ん?なんの事だ?」
鉄星様はそう言いながら微笑む。
そして真剣な顔をする鉄星様。
「リオ……ここに来たのはワシは歴史を辿りにきた……この貧困街から生まれたあの饕餮の足後を追って魔王に近づく為だ…なんならここにいても良いのだぞ?」
鉄星様はそう告げる。
私は……鉄星様に着いていくって決めたんだ。
驚いた私だったけど。
「鉄星様……私は…ずっと着いていきます!」
私がそういうと。
私の気持ちを組んでくれたのか…スクエルが鉄星様の元にかけていき。
眠ってしまったの。
「スクエル。」
「フフ……スクエルもありがとう。」
鉄星様はそういい笑っていた。
私達もまた次なる地へ向かうんだ。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。