ブラズール世界編シーン28
サキノ視点
私はクロノを見ていた。
ドワーフ王のクロノに対する期待は目に見えて分かった私。
でも……でも……………。
私はクロノを………。
今の私はクロノが本当に身近に感じていた。
するとクロノは私を見つめていたの。
「ん?どうかした!?」
「ううん、なんでもないよ!」
私はニコりと笑顔で返す。
クロノは今こうして戦う事を忘れている。
そしてそんなクロノが私には大切なの。
するとドワーフ王が口を開く。
「いいか…実は俺達……ドワーフ属は魔神具の基礎となる『武具』を生成してきたんだ。」
「えっ!?」
「昔話は聞いていると思うが…そう、古の精霊族…そしてヒューマン…魔族の三種族の世界であった…当時は神に授けられた三種族の世界は各々創り繁栄を叶えた……ところがそんな世界を統べたいと考えるようになった魔族は精霊族…そしてヒューマン族を他の種族以上にその魔族の能力魔力に秀でていた事で支配を始める。そしてそんな状況に精霊族とヒューマン族は魔族に一矢報いる事を考える……絶望の状況から脱する為に。」
ドワーフ王は続ける。
「それは勇者を誕生させるという事だった……精霊の力を持って生まれたヒューマン…それがあの魔王ゼルドリスを倒し封じた『勇者ラブラ』だったのだ。」
勇者誕生の話をするドワーフ王。
「そして…ひょんな事から俺は勇者ラブラと出会った……。」
◇
◇
◇
勇者ラブラは古の存在だ……。
精霊とヒューマンから発した勇者。
◇
「お前が……勇者なのか?」
「えっ!?ああ…貴方がドワーフ王なのね?」
「うん!でねでね?」
そう語り始めた勇者ラブラは話を続けた。
◇
私……この世界に生まれ落ちてそして勇者になるべく修行をしてきたの……そしてある能力が開花したんです。
それは『魔神封印』。
これは魔族を封じる勇者の能力。
でもこれには封じる為の『器』が必要なの。
でもね…その器になる為の物……それは武具。
しかも精霊の力が必要になってきます。
◇
「それは……?」
俺のその言葉に勇者は口を開く。
「うん……その武具……魔神を封じる為の『魔神具』を鍛冶師として最高の力を持つドワーフ王……貴方に作ってほしいの!!」
俺は勇者の言葉に驚きを隠せなかった。
すると勇者ラブラは片手を差し出してくる。
「ん!?」
「私とさ……手を組もうよ?」
「ん?手を組む……だと?」
「うん……今この世界は魔族が横行して精霊族…そして人間達はそれにより地獄をみています…私はそれを食い止める為に…魔神封印を行います…そしてその為の武具を貴方にお願いしたいの……そう……世界の為に。」
ヒューマン…そして我々精霊族は魔族に長年虐げられてきた…魔王ゼルドリスの力は想像を遥かに超えていた…実際我々もこの地において迫害をうけるようになっていた。
そんな時に現れた勇者。
そんな勇者が俺に手を組もうよと手を差し出してきたんだ。
実際エルフ族はあの神樹に追い込まれ…我々ドワーフ族もこの地下世界に追われていた。
今ここでこの手を取らなければ。
その時。
勇者……彼女ラブラは俺の手を握っていた。
「ん?」
「えへへー!これからよろしくね!?」
俺は彼女の行為と笑顔に固まっていた。
ニコりと微笑んだ彼女に俺は。
惹かれたのかもしれん。
◇
◇
◇
それから俺は勇者ラブラの為に様々な武具…『魔神具』の精製に取り組んだ。
俺は魔神具を創る。
勇者は魔神達を魔神具に封じていった。
そして遂に。
「魔王ゼルドリス!!貴方は私達の力で今ここに……封じる!!」
『何を……貴様らに封じられようが武具に簡単に封じられたままの俺様ではないわ!?直ぐに出てきて魔神具など破壊してくれる!!』
「そうはいかない…」
『なにっ!?』
「あんたを封じる為にはとっておきの魔神具じゃなければ壊される何て事は分かっていたわ!」
『グガガ……なんだと!!???』
『魔神封印ーーーーーーーーーーー。』
◇
◇
◇
そう……こうして魔王ゼルドリスは勇者ラブラによって封じられたのだ。
だが…魔王ゼルドリスを封じる為に創った『魔神具』は他の魔神具とは違う特別な素材を使って創っている。
だからあれを超える魔神具を創らなければ今の復活した魔王の力には叶わぬであろう。
◇
◇
◇
私達はドワーフ王の言葉を呆然と聞いていた。
「いいか…俺は…世界の為に……ここに居る『勇者……クロノ』の為の新たな魔神具を創りたい……だがその為には…これより俺は魔神具を創る為に時間が必要なのだ……だが、この地の支配者…ブラズール王がこの地とエルフの神樹にまた攻め込んでくるだろう…それを阻止してほしいのだ。」
ドワーフ王の言葉。
その言葉に皆…その目を輝かせたんだ。
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お読み下さりありがとうございました。