ブラズール世界編シーン24
テンテン視点
「ワオオオオオーーーーーーーーーーン!!」
サキノちゃんの身体から光が溢れ出しそして。
彼女の身体は巨大な怪物の手からすり落ちその場に着地していた。
同時に私に向かってきたスペシメンゲルドの動きも停止していたの。
そして。
気がつくと私のサキノちゃんにあげたお揃いの『ブローチ』も光りを放ち輝いていたの。
「これ………は?サキノちゃん!?」
私はサキノちゃんの元に駆け出していた。
彼女に目を向けているとサキノちゃんの身体は赤い光に包まれていた。
そして気がつくと私の『ブローチ』からは青い光が溢れ出していた。
するとサキノちゃんが口を開く。
「テンテンちゃん……ありがとう……」
「えっ!?サキノちゃん?」
「テンテンちゃんのおかげで助かっちゃった。」
私にそう微笑んでくれるサキノちゃん。
私はその笑顔に嬉しさと安心感で思わず笑顔になっていた。
「テンテンちゃん……これって……………?」
サキノちゃんのその言葉。
彼女は『ブローチ』に触れる。
赤く光る『ブローチ』
そして私の『ブローチ』は青色の光を放っていたの。
「これは私が方天画戟を見つけた時に目に止まった何かの宝具みたい…気になってずっと持っていたんだけど……こうして何かに反応したのは初めてなんだあ」
「そうなんだ?でもこれ……凄い力が溢れてくるの……でも癒してくれるような。」
「何か……私達の為にあるような……不思議な何かを感じてる。」
「うん……テンテンちゃん。」
「サキノちゃん。」
気がつくとスペシメンゲルドは身体を震わせていた。
「ゆる…さん………ぞ。」
「「えっ!?」」
私達がそう言葉を返す。
スペシメンゲルド……奴は怒りに満ちているようだ。
低い声で怒り震える奴。
「ぐあああーーーーーーーーーーーーっ!?」
奴は咆哮を上げる。
それにより辺りの空気はピリピリと重くなる感覚。
そしてアンデットである奴の身体がガシャガシャと聞こえている。
すると奴は口を開く。
「お前達が我が手を振りほどくとは……」
「なにを言ってるの?」
「私達はあなたになんか…負けないよ!?」
私達はそう返す。
その時。
奴は魔神具を取り出す。
「クククッ…大人しく我が標本となっていれば痛い思いをせず我がコレクションになっていたのになあ。」
そういった奴の手に握られている「ボーンソード」
そして奴の魔神具からは何かの液体がドプっと漏れだしてくる。
そしてその液体が辺り一面に侵食してくる。
「これは……」
「やばい!?サキノちゃん!?」
私達は慌て飛び上がろうとする。
その時。
何かに足を捉えられてしまう。
「うっ……こうなったら……」
私は、そういうと飛び出し方天画戟を目指す。
足を止めようとしてくる液体状のなにか。
私はなんとか近づいていく。
するとあと一歩のところで前に進めなくなっていた。
「くっ!?あと………少し……なのに!?」
その時……。
「たああああーーーーーーーーっ!?」
走りよってきたのはこの沼の水から何とか逃れながら走ってきた獣人化したサキノちゃん。
「サキノちゃん!?」
「テンテンちゃんーーーー!?凄いよ!テンテンちゃんから貰ったこの『ブローチ』」
どうやら私達のこの『ブローチ』は私達の力をレベルアップしてくれているみたいだ。
「なんだと!?『ダークスペシメン』よ……あの犬を捉えてしずめろーーーーーーーーーーーーー!?」
キレるスペシメンゲルド。
「私が!!今度はテンテンちゃんの力になるの………負けないんだから!!?」
「捕らえろーーーーーーーーーーー!?」
ダーーーーーーーーーーッと飛び上がると。
◇
サキノちゃんは私の方天画戟を咥えそして私の隣りに四足で立っていたの。
すーーーーーーっとサキノちゃんの身体は人型に戻り私に微笑んでくれる。
「あはは…ごめんね……今私魔神具持ってなくて…はい……これ。」
「サキノちゃん………ありがとう。」
私は彼女から方天画戟を受け取る。
そして手に取ると方天画戟を手に構える。
「サキノちゃん…見てて……私。」
「うん」
サキノちゃんの笑顔。
私の握る手に力がこもる。
サキノちゃんは魔神具がなくてもこんなに頑張ってくれたんだ。
私だって。
すると方天画戟から現れたスタッグビートル。
だけど以前のスタッグビートルとは姿形が変わっていたの。
「これは………?」
そう……私の魔神スタッグビートルは……中央に立派な角が一本増えていたの。
すると魔神から聞こえてきた声。
『ヘラクレス……スタッグビートル』
これは。
「なっ!?貴様ーーーーーーーーーーっ!?」
慌てふためくスペシメンゲルド。
そして私は方天画戟を構える。
「今度はこっちの番よ!!!」
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。