ブラズール世界編シーン22
テンテン視点
私達はお城の階段を駆け上がった。
そして屋上へと飛び出すとそこから目に映ったのはなんと。
所々から炎が立ち上がりそして襲われている兵士達…。
私達は呆然と立ち尽くしていたの。
するとサキノちゃんの声に我に変える私。
「テンテンちゃん……このままじゃ……戦える!?」
「もちろん!!」
私はそう言いながら方天画戟を手に構える。
隣には絵筆を握るサキノちゃん。
すると。
どこからともなく聞こえてくる声。
『ククク……』
「「誰っ!?」」
声の主に目を向ける私達…そこには。
顔は骨……そう髑髏の顔。
自在に言葉も話せ動くモンスター。
アンデットの姿をした誰か……だったの。
「我が名は魔王軍アールロー標本師軍『スペシメンゲルド』その名を覚えておくがいい。」
「魔王軍……」
「スペシメンゲルド……………?」
ガシャガシャと身体の骨を鳴らし話すスペシメンゲルド。
「そうだ…魔王ゼルドリス様の配下…そしてその忠臣ブラズール王の側近兵が一人…スペシメンゲルド様だ。」
臭気を放ちニヤリと笑いながらそう言葉にするスペシメンゲルド。
「うっ……………」
「やばいくらい……酷い匂い……だよお」
私達の鼻をその鋭い異臭が襲いかかってくる。
ワンチャンの獣人であるサキノちゃんにとってはキツすぎたと思う。
すると奴は口を開く。
「ククク……しかし我が軍までもこの城を落とす為に出向いたというのにこれは一体どういう事だ?」
「どういう事?」
私はそう聞き返す。
スペシメンゲルドはバサッとマントを翻す。
「我は魔王軍のアンデットを支配する標本師…我々の進軍を止める為に現れたのがお前達二人?ククク。」
「何よ!?」
「わらわせるなよ?我が相手になると思うなーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
するとスペシメンゲルドはその手にしたのは一つの魔神具なのだろうか『剣』を握っている。
そして。
彼の足元……そこからドンドン暗闇が広がっていく……見ると私達の足元まで広がってくる。
「えっ!?」
「テンテンちゃんっ!?」
次の瞬間……私の身体を突き飛ばしたのはサキノちゃんだった。
「いやあああーーーーーーーーーーっ!?」
「サキノちゃん!!???」
足元の影から這い出てきた怪物はサキノちゃんの片足をその手に捉える。
私の目の前で釣り上げられるサキノちゃん。
「どうして!?サキノちゃん!?私を庇うなんて!!!!!」
私は大声を上げていたの。
するとスペシメンゲルドは笑い始める。
「ククク……あはは……あーーーーーっはっはっは!!!どうだ!?これで一人の女はもう我が手にある……。」
「離しなさい!?サキノちゃん……彼女は私の親友なんだからね!!???」
「あーーーーーーん?この女が親友だってえ?」
スペシメンゲルドの下卑た笑い。
私はその言葉に足を止める。
「そうよ……私達は一人の素敵な王子様を愛する大親友なんだからっ!!???」
「テ……テン……テン……ちゃん。」
サキノちゃんは涙を溢れさせながら呟く。
しかも彼女は片足を握られ吊り上げられている。
するとサキノちゃんを吊り上げている何かは姿を現していく。
全身骨の姿のその何か。
徐々に骨に何かの肉をつけていくその怪物。
ぺたぺた、モコモコと肉はうねる様に肉をつけていく怪物。
すると。
サキノちゃんを捉えていた怪物はしっかりと肉をつけたその姿は巨人へと変化していた。
「巨人!?」
「ククク……どうだ!?あいつは我がスペシメンゲルド軍の最終兵器……数多の標本から抜き取った骨を利用したスケルトンを合体させた集合体……『スケルトンウォーマン』その無敵の破壊力は全てを無に返す…さあ…我が魔神具ボーンソードにて。」
スペシメンゲルドはそういうと魔神具である『ボーンソード』を手に構えると。
『スケルトンウォーマン』
すると『スケルトンウォーマン』は、すーーーっとスペシメンゲルドの目の前にサキノちゃんの身体を下ろしていく。
「サキノちゃん!??」
私が見守る中スペシメンゲルドはサキノちゃんを見ている。
「ほうほう……中々……可愛いらしい少女だなあ……だから。」
「いやあああーーーーーーーーーーっ!?」
「何するのーーーーーーーーー!?」
私も思わず声を上げる。
するとサキノちゃんの衣服の中から奴は何かを取り出す。
「ククク……コイツはお前の魔神具……だな。」
「や……やめてえええ」
私は……気がつくと怒りで身体が震えていた。
「許さない……私の大切な人は…………守るんだから!????」
「ククク……さあ……この女から魔神具は回収したのでな……おい。」
「なに?」
「分かるだろう!?この状況だよなあ……お前の握ってる物はなんだ!?」
汚すぎるこの男……スペシメンゲルド。
そしてサキノちゃんは震えながら言葉にする。
「ダメ……私の事はいいから……戦って!!テンテンちゃん!?」
私は…………。
私は…………………………………。
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