ブラズール世界編シーン20
旅路の二人。リオと鉄星1
クロノ達と離れた地。
ここはチェンウォン。
そして私達は旅に出ていた。
鉄星様と二人まだチェンウォンで旅をしている理由は。
「鉄星様?さっきの街は結構栄えてましたね?」
「ああ…リオ…次の目指す村にちょっと用事があるのでな…立ち寄っていくぞ?」
「はい!」
私はそう言うと気持ちを入れ替える。
私達は何故旅をしているのか?
それは私からの提案だったの。
◇
「リオ…良いか?……奴……饕餮は倒され…そしてこの地チェンウォンの平和はなんとか守られた…だが…奴らの復活には、あの古の魔王の復活が関わっていると聞いた…ワシは奴…ヤシュアの意志を継ぐつもりだ…それがワシの奴への弔いだ…だからワシはワシの正義を全うする。」
「鉄星様……でもそのお身体では。」
私は自分を救う為に失った彼の腕に目を向ける。
「リオ…そんな顔をするな…お前の生命を救う為ならば…ワシの腕の一本くらい安いものだ。」
鉄星様の残る右手が私の髪…そして私の涙を拭ってくれた。
「鉄…星………様…私はこれから鉄星様の文字通り…右腕になりたい……です。」
「リオ………。」
私は……こうして……鉄星様の傍にいる事を決めたの。
◇
◇
◇
「鉄星様……あ!見てください!?あれは……」
「ああ…あれがワシらの目的地…継地ワシの友人がいる村だ。」
私達は遠くに見える継地へと向かう。
すると。
鉄星様は立ち止まる。
そして私の頭にスクエルが現れる。
「リオ……離れるな…」
「はい……鉄星様。」
突然私達を取り囲むように現れたのは。
虎型のなにか…だった。
「あれは……なん…ですか!?」
「あれはこの地に棲む虎……『霧虎』だ……だが何か様子がおかしいな。」
「どういう事ですか?」
「ああ……霧虎は虎が魔獣化したものなのだが…奴らは元々個体で動く奴ら…こうして群れる事は無いはずなのだ。」
「えっ!?でも……1、2、3、4……8匹……!?」
「ああ……完全に…………群れ……だ。」
鉄星様の言葉に呼応するかのようにミストタイガーは飛びかかってくる。
「鉄星様!?来ます!!」
「ああ…リオ………ん!?」
鉄星様の盾になるよう目の前に立つ私。
「リオ!?」
「鉄星様!!お気をつけください!!スクエル!!」
私はパワーアップした新魔神具『タロット』を構える。
そしてスクエルはするすると私の腕に駆け上がって……飛ぶ。
「スクエルジプシー!!『ムーンタロット』!!」
カシャカシャときられていく『タロットカード』
タロットカードが止まり一枚のカードが現れる。
『スクエルジプシー!!力『ストレングス』』
ドガドガーーーーーーーーーーーっと現れた巨大なスクエルはミストタイガーを殴り飛ばしていく。
「スクエル!その調子!!いっけーーー!!」
残る二頭のミストタイガーに攻撃を仕掛けようとしたその瞬間。
私の背後から鉄星様の声が!!??
「リオーーーーーーーーーっ!?」
(えっ!?前からきてるミストタイガーって…?)
その時。
ミストタイガーの姿がフッと消え…スクエルの攻撃は空を切る。
「リオーーーーーーーーーーーーっ!?」
私が振り返るとそこには突然姿を現したミストタイガーの姿。
(これは………もう………………。)
私は思わ目を閉じる。
(鉄星様……支えになるって言ったのに……私…ごめんなさい。)
ぐああああーーーーーーーーっとミストタイガーの叫び声が!!??
すると。
何も起こらず私はゆっくりと目を開けていく。
私の盾になりミストタイガーの攻撃を阻止している鉄星様。
「鉄星……様……!?」
「リオ…大丈夫だ……ワシは確かに片腕は無くなった……だがお前が傍にいてくれる……」
「鉄星様…………。」
「リオ……お前はワシの光になってくれた……そんなお前をワシは………………。」
グググと握った、魔象牙杖。
これは元々は私のパパの魔神具だった。
その魔神具に宿る魔神……エレファモス……そのエレファモスは復活を果たすと鉄星様を新しいマジェストとして選んだの。
そう……私は鉄星様に何かを感じたの。
そして。
◇
私の目の前に立つのは、魔象牙杖を手にした鉄星様。
そしてミストタイガーの攻撃を阻むエレファモス。
「リオ…………ワシはお前を………守っていく……だから………うおおおおおーーーーーーーっ!?」
鉄星様の、魔象牙杖から力が溢れ出す。
そしてエレファモスが吠える!!
『オオオオオオオオオーーーーーーーっ。』
その瞬間。
ミストタイガーは固まる。
『氷河撃震』
その空気は全てのミストタイガーを凍らせる。
いつしか魔神具は黒い何かに包まれる…それは鉄星様の魔神具が進化した魔神具。
その魔象烈鋸を構える鉄星様。
「そして……リオを傷つける事は許さん…消えろ…氷河鬼」
氷の巨象はその鼻を刃に変える。
『グオオオオオオオオーーーーーーーーッ。』
そしてミストタイガーの存在を瞬く間に斬り刻む。
そして………………………………………………………。
◇
「鉄星様……ありがとうございます。」
「ん?なにかしたか?」
「いえ…なんでもないです」
私は照れながら、そう言った鉄星様に笑いながらいう。
そして私達は目的地の村についたの。
絆を深めながら。
◇
◇
◇
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