アメリスアード世界編シーン7
アメリスアード本部で腕試しバトルを終えたクロノ達。
そして。
俺達がマジェストアメリスアード本部に来てから一週間の時が過ぎた。
◇
◇
◇
「わーーーい!いっただきまーーーす!」
あれから家族が出来たかのように、はしゃぐ毎日のサキノ。
シチューを乗せたスプーンをニコニコと口に運ぶサキノ。
パクッ!!
「うーーーん!おいしぃーーーーーっ!!」
サキノは美味い食事を心から楽しんでいるようだ。
俺がサキノを見ながらパンをかじっていると同じくパンをかじっていたカルマと目と目が合う。
「クロノ?体調はどう?」
「ああ…大分良くなってきたぜ!」
「良かった…それならいいの。」
「なんだよカルマ?」
彼女は何かを考えながら、一口パンを頬張る。
すると部屋に入ってきたのはヤシュアだった。
「ヤシュア様?」
「おお!カルマちゃん!おはよう!クロノも大分良くなったみたいじゃの…」
「ああ…もう大丈夫だ!」
するとヤシュアは腰を掛けると口を開く。
「ふぅ…では聞いてくれ…今日からクロノはもちろん…カルマちゃんとサキノにもここの仕事を手伝って貰うとしようかの。」
「ん?」
「ヤシュア様?いったいどんな仕事があるのですか?」
するとヤシュアはお茶をすすると一言。
「ふぅ…ではシェリル…これからの仕事を説明してくれ。」
そこへ、シェリルは何かをブツブツいいながら部屋へと入ってくる。
「あ!皆さん失礼…そしておはよう!ゆっくり休めたかしら?」
「シェリルさん!ありがとうございます!」
「ん?おっきぃお姉ちゃんおはよぉ…!」
どうやらカルマもサキノもシェリルに大分慣れたようだ。
「二人とも元気そうで良かったわ…そしてクロノ君も今日から私が魔神の操り方をレクチャーしながら実践の依頼をこなしてもらうわ…それが仕事よ。」
「えっ!?」
「いい?ゆっくりと聞いてね?…三人とも今のままではマジェストとしてはまだまだ戦いのレベルまではいってないの…これからマジェストとして生き抜いていく為、自分達の目的を果たす為にも私も協力するから強くなってほしいの。」
そこまで話すとシェリルはニコりと笑う。
『うおおお!!素敵なお姉様!』
『やっぱりお綺麗です!おはようございます!』
リスナーの声が部屋中にこだまする。
「ふぅ…なんだよ…お前ら今度はシェリルかよ。」
『バカヤロ!クロノ!お前ばっかずるいんだよ!』
『俺はカルマちゃんだけだよ〜!』
『サキノちゃんの食べてる姿マジ天使!』
そんなリスナーの声に笑顔で応えているカルマとサキノ。
「ふぅ…前よりもやかましくなった気がするぜ…。」
俺がため息をつくとシェリルは続ける。
「じゃあ三人とも…ご飯食べたら早速、今日の仕事に行くわね…準備しておいてね。」
シェリルはそう言うと部屋を出ていくのだった。
そして時は過ぎ……その時はやってきた。
◇
◇
◇
コンコンッ!
代表してカルマが扉をノックする。
「はい…待ってたわ…入って!」
シェリルの声に俺達三人は呼ばれた部屋へと入る。
その部屋は会議室の様な部屋だった。
そして、よく見ると奥には更衣室等があるようだ。
「さ…じゃあ三人ともそこへかけて。」
俺達はシェリルの言われるがまま椅子にかけるとシェリルは咳払いを一つする。
「コホン!さて、三人とも…心の準備はいいかしら?」
俺達はその声に頷くとシェリルは微笑む。
「じゃあ、まず依頼に行く前にあなた達の今の装備はあまりにも酷いわ…なので私からまずプレゼントをするからあそこの更衣室で着替えてもらうわ。」
シェリルが指さした先の更衣室。
「右からクロノ君!真ん中サキノちゃん!そして左にはカルマちゃんの装備を用意してあるわ!これは…私達アメリスアード本部からのプレゼントだから遠慮なく使ってね!さ!どうぞ!」
「うんっ!」
相変わらずのサキノはスタタと自分の着替える場所に入っていく。
「じゃあ私も…。」
次はカルマが入っていく。
そして、俺が立ち上がるとシェリルは声をかけてくる。
「いい?クロノ君?間違っても覗きに入らないでね!私がここで見てるからね!」
「はぁ?」
えっ!?俺ってそんな目で見られてるのか!?
俺がショックに開いた口が塞がらない。すると更衣室の端の方でガタっと音が聞こえる。
俺とシェリルがそちらを振り向くとそこには…。
「おまえかーーーーいっ!!」
ドガガガッ!!
「ぐえっ!!」
そして覗きに来たレイドがシェリルに殴り飛ばされたのだった。
「あーあ…こいつ死んでるわ。」
そして、俺の冷たい目が気絶したレイドに向けられたのだった。
◇
◇
◇
「よしっ!!これはすげぇな!!」
まずは一番初めに更衣室を出たのはもちろん俺だった。
黒のスーツ姿!見た目マフィアの様なこの姿に俺は興奮してしまう。
鞘は何と腕輪と共に改良され一体化!
これで使い易さも一段とパワーアップ!俺の新装備は完璧だ。
すると隣から声が上がる!
「わぁい!できたぁーーーっ!!!」
ガラーーーッという音と共に登場したのはサキノだった。
サキノにピッタリなサイズの白のローブ。フードは犬の獣人であるサキノの耳がたたむ事は無いように耳も収まる形のフード付き。
そして…サキノの筆も取り出しやすい筆入れ付きの肩掛けバンド。
それはまさにサキノの為の装備であった。
『おおーーっ!!サキノちゃん更に可愛くなったぜ!!』
『もう無理!ドキドキする!』
『サキノちゃん可愛すぎだろ!!』
リスナー達のその声にニコニコ上機嫌の妹だった。
すると気絶しているレイドの先のカーテンが開く。
シャーーーーッ。
その場にいた誰もが(注)(気絶中のレイドを除く)そちらを振り返る。
そこには水色の美しい法衣を身に纏ったカルマの姿だった。
『うおおおーーーーーっ!!??』
『カルマちゃーーーーーーんんっ!!』
『カルマちゃん!大好き!!』
興奮したリスナーの声が止まらない。
まあこれはある程度俺も仕方ないとは思う。
今までカルマが着ていた服は黒。
カルマがオシャレをしたらこう美しくなる事は誰にでも予想出来た事なのだから。
すると、カルマは照れながら俺達の元へとやってくる。
そして俺を見つめると口を開く。
「どぉ…かなクロノ……こういうの着慣れないから。」
そう言いながら照れるカルマに何故かドキドキしてしまう俺がいた。
「あ…ああ!いいんじゃないか…その…似合ってる。」
「あ…ありがとう…クロノ…。」
そんな俺たちを見て声をかけてくるシェリル。
「いいねーあおはるだねぇーーオーケー!」
そんなカタコトの言葉をシェリルは言いながら笑うのだった。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました!
新装備を身にまとい準備はオーケーだ。
いざ!仕事の時間だ!!