ブラズール世界編シーン16
イシメール視点。
僕たちは、突然現れたゴーレムを何とか倒せた。
「ふぅぅ…何とかなりましたね。」
「うん……でもゴーレムが現れるなんて。」
僕の言葉にそう返したのはシャルロットさんだった。
すると。
いつの間にか僕の胸にしがみついてきたのはフェリシモちゃんだった。
「ふえええーーーーーん!?イシメールさん」
「おっと……あははもう大丈夫だよ。」
僕は彼女をなだめているとシャルロットさんが難しい表情を浮かべていた。
「シャルロットさん……どうしました?」
「ええ…実は……この地のゴーレムは…。」
そういうと彼女は続ける。
◇
この神樹は遙か昔からこの地に存在する神木なのです。
そして私達精霊属の暮らす場所でもあります。
遥か昔……我ら精霊達は魔族と共にこの地で暮らしてきました。
そんな時…やはり魔族の支配が時と共に顕になってきたのです。
次第にボロボロにされていく我ら精霊達。
どうにもならない絶望的状況に我らは神に祈ったのです。
その時。
我らはあの神樹に追われてしまいました。
だけど猛攻を加えてくる魔族。
すると……あのゴーレムが現れたのです。
◇
僕たちはその話に驚きを隠せなかった。
そしてシャルロットさんは。
◇
ゴーレムは精霊神からの魔族排除の為の贈り物。
襲い来る魔族をその強力な力で圧倒し破壊していきました。
そして気がつくと魔族の指揮官も徹底を余儀なくされていったのです…言わばこの地を魔物守護神…それがあのゴーレムだったのです。
それから魔族の侵略は収まりここは平和そのものの世界に落ち着いたのですが……あの魔王が復活…それから魔族の侵略はなかったのですがある時。
ゴーレムが突如として目覚めたかと思うと…あの様に見る者全てに攻撃をするようになってしまったのです。
「なんと……あのゴーレムはエルフの大樹の守り神だった……と?」
僕は彼女の言葉にそう問い返す。
するとシャルロットさんは頷き続ける。
「あれはもちろん元々は神の授けた神の守護神でした……魔王が倒された後…その力を失い…眠り続けていたのです……ところが復活したあの魔王の力により…いつしか我々精霊達の敵として動き出したのです。」
「なんだって!?」
僕達はその衝撃の事実に驚き固まったんだ。
するとエンポリオ君が震えていた。
「ゆる……せない………。」
「エンポリオさん?」
「僕は父から科学の力は人々の為に役立てるものと教えられてきました。」
エンポリオ君は語りだす。
「実は、あのゴーレムに触れた時…マシーン音が聞こえました……精霊の守護神ならば…魔法力だけで作動するものだと思っていたら…違った…あれはきっと何者かによりマシーン化された『機械土人形』」
「「マシーンゴーレム!?」」
「うん……しかもあのボディのしなやかさを考えると……中には…………」
そこまで語ったエンポリオ君は言葉を止め振り返る。
その時突然感じたのは凶悪な力。
僕は思わずフェリシモちゃんを庇っていた。
「きゃっ!?イシメールさんっ!?」
「はは…大丈夫……だよフェリシモちゃん。」
僕の背中に熱く激しい痛みを感じる。
すると。
ザッと足音が聞こえる。
視線の先には数体のゴーレムが僕達の目の前に姿を現したんだ。
「エンポリオ君!?気をつけて!!」
僕達の前に立ち尽くしていたのは。
きっとマシーンゴーレムに何かを感じ怒り震えるエンポリオ君の姿だったんだ。
「うん……。」
そういったエンポリオ君は怒りに打ち震えていた。
すると。
「ククク……………………………」
「誰だ!!???」
僕達が声の主に視線を向ける。
現れたのは……一人の科学者の風貌の男だった。
ニヤリと怪しい笑みを浮かべる、その男は口を開く。
「僕は魔王軍……アールロー……ゴーレムマスター……『テッドビー』という……以後お見知り置きを。」
そう言った男。
その怪しき科学者はニヤニヤとこちらを見ている。
「魔王……軍……だって………」
「フェリシモちゃん……シャルロットさん……下がって。」
僕は、そう言いながら手にはバトルメイスを携える。
「イシメール君……ここは僕も……やるよ。」
「うん……こいつは……………。」
すると…テッドビーが取り出したのは一体の藁人形。
「なんだそれは。」
「呪術的な何か……なのかな?」
エンポリオ君の言葉に返す僕。
そして…テッドビーが、身体から発した光りは魔神具なのだろうか藁人形に入り込んでいく。
光り輝く藁人形はふわふわと浮いている。
すると。
『カアアアアアーーーーーーーーーッ!!!』
次の瞬間。
先程のゴーレムが……目を光らせ……立ち上がったんだ。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。