ブラズール世界編シーン15
エンポリオ視点
僕たちはドワーフ王の頼みでエルフの大樹へと向かっていた。
一緒に行くのはフェリシモちゃん…そしてシャルロットさん。
すると…シャルロットさんは口を開く。
「エンポリオさん、イシメールさん…我々の国での事ですのに着いてきていただきありがとうございます!」
「いえ!お気になさらず!僕もあなた達の力になれたら嬉しいですから。」
僕たち四人はエルフの大樹を目指していた。
「そういえばシャルロットさんは兵士長をしてるんですよね?凄いですね?」
「えっ?ああ…私は幼い時からエルフィーナ様に憧れて…努力して、こうして兵士長を授かってからもう百年はたちますかねえ…。」
「「百年!!??」」
僕とイシメール君の驚きの声。
するとシャルロットさんはキョトン顔をしている。
「ええ、そうですよ?ああ…そうですよね…ヒューマンからすれば寿命の様な時間ですが…我々精霊からすれば百年はあっという間の事なんですよ?」
そう笑顔で話すシャルロットさん。
僕は思わず見とれてしまう。
エルフと言えばやはりその美しさはかなりのものな気がする。
イシメール君を見てもその反応からそう思ってしまった。
「うっ。」
フェリシモさんは痛みをおして歩く…イシメール君は肩を貸していたのだけれど…やはりキツそうだ。
「フェリシモさん…待っててください。」
すると。
「獣……化。」
みるみるうちに全身が毛に覆われていくイシメール君。
「じゅ……獣人………だったのですねイシメールさん。」
「はい…でも、これなら…………ふん。」
「きゃっ!!???」
ガバッとフェリシモさんをお姫様抱っこするイシメール君。
「僕は貴女の主治医ですよ!守るのは当然です!」
「イシメール…さん…ありがとうございます。」
顔を赤らめるフェリシモさん。
僕はこの時改めてイシメール君の凄さを感じたんだ。
「ふふ……フェリシモもそんな表情するのね」
「えっ?何かにありました!?」
「いえ…さあ、いきましょう。」
シャルロットさんは意味深な笑顔を見せる。
こうして僕たちは大樹を目指す。
◇
◇
◇
ドワーフ王国を出てエルフの神樹までは遠くもない。
だけど深い森をひたすら遥か先に見える天までそびえ立つ大樹を目指すのだ。
だが…この神樹を守る様に裾野に広がる深い森には……昔から神樹を守る何かが存在していたのだった。
◇
◇
◇
「この森は凄いですね……」
「本当に…何か出てきそうなくらい深い森ですね……」
フェリシモちゃんを抱えながら口にするイシメール君。
だが。
木々の枝々を握り次々と渡っていくイシメール君…その振る舞いはまさにゴリラそのもの。
僕たちもその後を追っていた。
「ひゅーーーーーーっ!ケニージアのジャングルにも負けなくらいの森だなあーーー!ひゃっほーーーい!」
「きゃっ!?イシメールさんってばあーー!!」
「おおっと!フェリシモさん!しっかり捕まってるんだよ!?」
「あーーーーーん!だってこんな生き生きしてるイシメールさん見るのは嬉しいけど…私怪我人なんだってばあーー!?」
すると。
しゅるりとゴリラのイシメールの手からすり抜け落ちかけるフェリシモちゃん。
「えっ!!??」
「「ええーーーーーーーーーーーっっ!?」」
その光景に僕は思わず声を上げる。
「きゃーーーーーーーーーーーーーっ!?」
すると地面がムクムクとめくれ上がる。
割れた地面から這い出てきたのは。
「「あれは……土人形!!???」」
僕たちは叫ぶ。
ゴーレムはフェリシモちゃんに襲いかかっていく。
(これは…やばい!!??)
「きゃーーーーーーーーーーーーっ!?」
「フェリシモーーーーーーーーーっ!!??」
僕は魔神具バトルメイスを手に取る。
「フェローム…レベルツー…軟化。」
『シューーーーーーーッ………………行くであります!!!』
フェロームは飛び出しゴーレムに向かい飛んでいく。
次の瞬間、フェリシモの身体に触れようとしたゴーレムの腕は。
ぐにゃりと落ちゴーレムは更にもう片腕を放っていく。
「フェローム!!??」
『任せるであります!!そうはいくか!?もう遅いっ!?』
ぐにゃりっとゴーレムの両足も崩れていく。
「よし!!今だ!!イシメール君!!!」
「うん……ありがとう……イシメール君。」
イシメール君はゴーレムの頭上から落ちてくる。
彼の手にはキラリと光る一本の槍が。
「僕は………この子を……守る………………………………………。」
イシメール君は槍を構えながら彼女の身体を抱きとめる……そしてフェリシモちゃんは持ち直しイシメール君の身体にしがみつく。
そして落ちながらゴーレムを見据える二人。
「フェリシモちゃん……もう大丈夫だよ。」
「イシメール……君。」
「はあああああーーーーーーーーっ!!!」
その時イシメール君の槍がキラリと光る。
『獣人力……破壊』
次の瞬間。
ゴーレムの身体は爆発し粉々に砕け散ったんだ。
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お読み下さりありがとうございました。