ブラズール世界編シーン14
その時…城に衝撃が走る。
激しい城の揺れに私達は王の元を目指す。
すると王の前には傷ついた兵士が担ぎ込まれてきた。
「王よ!!今の衝撃はエルフの兵士がこの城に落ちてきた模様!!」
「なにっ!?兵士は大丈夫なのか!?」
「はっ……あのイシメール氏に今診ていただいておりますが…流石です…落ち着けば大丈夫そうです。」
「そうか……エルフの兵士か……エルフィーナ。」
王はそう口にする。
するとそこにエルフであるシャルロットが現れる。
「王よ……先程の兵士は我が城の兵士で私の部下の者です……もしかすると我が国に何かが起こったのかも知れません。」
「ああ……その可能性が高いな…だがどうなっているのか…それを聞かなければまだなんとも言えんぞ。」
「お言葉ですが王よ…私はそのエルフの大樹『エルフィースウッド』エルフィーナ様の命により…そこからこの一行に同行をしてきたシャルロットと言います…この度の事件…私情を挟みますが……。」
「わかってる……だが…それは先程の兵士の目が覚めてからにしてはどうか?」
シャルロットはその目を伏せる。
そして。
「ええ…少々取り乱しましたが……兵の話を聞かせていただきます。」
彼女はそういうと王の元を立ち去ろうとする。
すると……。
「ま……お待ち……ください。」
そういい先程の兵士がイシメール君に支えられながら王の間に入ってきたの。
私達の前になんとか歩み寄ってくる我が兵士。
そして私の顔を見たのは…私のよく知る部下……だったのです。
「フェリシモ!?」
「えっ!?あ!シャルロット様!!???」
私はフラつくフェリシモの元に駆け寄り支える。
「シャルロット……様………すみません…………。」
「大丈夫よ……それで、大樹で……何があったの?」
するとフェリシモはゆっくりと語ったのだ。
◇
◇
◇
あれは……シャルロット様が彼らに同行をされてすぐの時です。
エルフィーナ様の元にいた私は妙な胸騒ぎを感じたのです。
「エルフィーナ様!?」
「フェリシモ……これは……今すぐ大樹に働きかけ防衛にうつるようにしてくれないか!?」
「はっ!ですが…何が起こっているの……ですか?」
私はそう聞いてみる。
「この大樹に向かってくる軍勢が見えます…そしていずれここにも…。」
すると。
ドゴーーーーーーーーーーーンッと天井から何かが落ちた轟音と大樹の激しい揺れを感じたのです。
パラパラと落ちてくる舞い散る葉。
「なにっ!?」
私達が上を見あげるとそこには。
大樹バリアに張り付く何者かの巨大な影を見たのです。
「あれは………!?」
「フェリシモ!!逃げるのです!!???」
エルフィーナ様のその声が聞こえた瞬間。
……私の身体は大樹の外に投げ出されていて……気がつくと私はあの場から……転移して…そのまま飛ばされていたのです。
◇
「そんな事があったのですね。」
「はい…ですがそんな時……私はそのまま巨大な何かに捕まってしまったのです。」
「えっ!?それは!?」
するとフェリシモは震え答えたのです。
「はい……どうやらあの魔王城からの使者だったのです。」
◇
◇
◇
「うぐっ………かはっ。」
「ククク……これはこれは……ちょうどいいねえ。」
「な……なん……ですって……?」
「僕は魔王様の部下の一人。魔王軍アールロー死霊軍を束ねる指揮官『ボーンゲルド』この大樹を襲いに来たのだがねえ……どうやら僕の力に気が付き大樹は防護壁を張ってしまってねえ…困っていた所を飛び出してきたお前を見つけたって事さ。」
ニヤリと怪しく微笑む『ボーンゲルド』。
「さっ……させるかーーーーーーーーーっ!?」
私が振るったエルフの投擲!!!!!
宙に鋭く飛ぶ鋭利な槍は『ボーンゲルド』目掛け飛んで行ったのだ。
すると。
すーーーっと槍は彼の身体をすり抜け遠くへ飛んでいってしまう。
「えっ!?ど…どうして?」
私がそう声を上げた……その時。
ズガーーーーーーーッっと背中に激しい痛みと衝撃を受ける。
私の身体は吹き飛んでいく。
激しい痛みに身体は動かず遂に。
ドガガガガーーーーーーーーーーッと大樹の端を吹き飛ばしていき……そして私は。
気を失ってしまったんです。
◇
そして気がつくと…私は『サルバドール』の街のとある屋敷の牢に繋がれてました。
そこから隙をつき逃げ出し…ここになんとか辿り着いたのです。
「そうであったか…….」
すると『ドワーフ』王は口を開く。
「すまん……イシメール君……それに……エンポリオ君……君たちに願いがあるのだが……よいか?」
二人に告げるドワーフ王。
「君たちの力を借りたい…エンポリオ君の能力……そして救護もあるかも知れぬ…イシメール君にも……エルフの大樹の援護を頼みたい。」
そして二人はドワーフ王の眼前。
「わかりました!」
「おまかせください!!」
こうして二人は、エルフィーナ……そして大樹の元へ向かったのです。
◇
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