ブラズール世界編シーン12
サキノ視点
「来たか。」
「ドワーフィ・ステイン国王の前に皆の者…頭を下げるのだ。」
私達は頭を下げ兵士に合わせたの。
その玉座に座るのはあの…私達を助けに入ってくれた男だった。
「皆の者…そんなかしこまるでない!顔を上げよ。」
私達は顔を上げ王に視線を向ける。
「あなたは………」
私達の目に映った王様はさっき私達を助けてくれた人物だったの。
「ふふ…皆の者……挨拶が遅れてすまんな……ここは地下帝国ドワーフィ・ステインという国であり我々はここに暮らすドワーフ族なのだ…そしてワシはここの国王『ドルトフ・ステイン』という…ドルトフと呼んでくれ…よろしくな。」
「あ!ドルトフ王様…先程は本当にありがとうございました。」
テンテンちゃんがそういい改めて頭を下げる。
そして頭を上げると更に言葉を続ける。
「私達はここに辿り着くまでチェンウォンという国からきました。」
「ほう…それは大分遠い国からきたのだな?」
「はい…実は私達はマジェストであります…。」
テンテンちゃんはそういうとこれまでチェンウォンであった事を話したんだ。
そして私もこれまでの経緯を話したんだ。
この世界にクロノがやってきたこと。
そして、いつしかクロノはずっと皆の為に身体を張って来た事を話していたの。
◇
◇
◇
国王はしばし話を聞き…そして口を開いたんだ。
「そうか…」
そう呟く『ドルトフ』王。
そして彼は口を開く。
「この大陸ブラズール……ここはかつて魔王が城を構え……そして……世界支配の為の魔王軍を率い準備をしていた大地…ところが世界に勇者が登場し…魔王軍、そして魔王を倒し…この地は魔王軍の手から逃れたのだ…そして我々ドワーフ族…エルフ属も含め精霊族はこの地を魔王軍の復活を抑える為という意味もあり、この地にこうして根城を構えたのだ。」
「そうだったんですね?」
「ああ…そして魔王軍の幹部がいなかった事もあり魔族の生き残りなども我々の配下においておいたのだ…だがそれはこのワシの息のかかったものであり…この地もそれにより平和な世界をおくってきたのだ。」
ドワーフ王のその言葉に私達はこの地の歴史というものを知れたの。
「そして…数ヶ月前程になる…かつての魔王はある地で復活を果たしたのだ…魔王は勇者の力により封じられてきたわけだが……奴は復活を果たした……。」
私達はその言葉の続きを待つ。
「魔王復活の話にはなるのだが…我々…マジェストの持つ…魔神を封じた武具である魔神具…繰り返す事になるが遙か昔…その魔王軍を倒す為に勇者が使いし力で大いなる力を持つ魔神達を封じた武具……それが魔神具と呼ばれるものだ…そしてその武具と魔神を力に変える者……それが我々マジェスト……なのである…だが…….。」
そこまで話すと王は表情を変えたの。
「魔神具にはとある決まりがやはりあってな…魔神はやはり強力なものなのだ…力のさほどない魔神ならば魔神具はその辺のなまくらでも構わない……だが、強力な魔神となればどうしてもその魔神具は強力な物でなければ……」
「「はっ!!???」」
私達は顔を見合わせる。
「そっか……クロノお兄ちゃんは……それで。」
「そうだ……娘……彼はワシが見た所……自身の能力も開花した…それと共に魔神も進化したのだろう……そうなれば自ずとその魔神具自体が悲鳴を上げていたのだろう……。」
「それでクロノさんの魔神具はあの戦いで壊れてしまった…そういう事なんですね?」
テンテンちゃんも気が付きそう呟いていた。
するとドワーフ王『ドルトフ』は立ち上がり言葉を告げる。
「この地…は魔王復活と共に……平和から…影を落としつつある……だが、このままでは我々精霊族もこの地に果ててしまう…そこでだ。」
そう告げた『ドルトフ』は続ける。
「ワシはドワーフ王でもありながら…鍛治の力も要している……小僧をここへ呼んでくれぬか?」
「えっ!?」
私達はその言葉に驚きを隠せなかった。
「王様……私は!!私は…クロノをこのまま戦わせたくないのです!!」
気がつくとそう言っていた私。
どうして……こんな事言っちゃったんだろう。
私は震えていたの。
すると…王様はにっこりと微笑む。
その笑顔に私は震えも次第に落ち着いてくる。
「大丈夫だ…悪いようにはしない…君は彼の事な………」
すると。
「うわああああああーーーーーっ!!???」
それは先程までとはまるで違った…何かに怯えた様子のクロノの姿だったの。
「小僧!!???」
「クロノさんっ!!???」
「クロノーーーーーーーーーーっ!!???」
私達は連れてこられ取り乱したクロノを見て立ち尽くしてしまっていたの。
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お読み下さりありがとうございました。