ブラズール世界編シーン6
俺達はカルマの動向を探る為に動き出した。
まずは俺達は周囲にあるとある街で聞き込み をする事にしたんだ。
そして、道案内に着いてきてくれたのは兵士長のシャルロットだった。
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「さて……では我が女王エルフィーナ様の命により『サルバドール』の街に同行させていただく私は兵士長の『シャルロット』と言います…改めまして皆様よろしくお願いします…さて…『サルバドール』の街ですが…ここ我が大樹の迷宮城『エルフィマーグ』を出て迷いの森を抜け…南南東に進んでいくと…そこにはサルバドールという街があり……遙かそこから進んだジャネイロームという場所にあの魔王の居城があると言われております…でも、いずれこの国には我々精霊族……そして魔族しか住んでいない世界……街とは名ばかりの魔族の巣窟である事には間違いありません。」
「やっぱり聞いていた話と同じなんだな…でも俺達の仲間はそこに向かっているって事は…人間も住んでる可能性もあるのか?」
するとシャルロットは難しい表情を浮かべる。
「人間……ヒューマン族ですね…可能性はないとは言いきれませんが……存在するとすれば…『奴隷』として飼われている…とかでしょうか…それだけ…この国…そして、あの街には人権…というものはないのですから。」
シャルロットはそう言うと…悲しげな表情を浮かべていたんだ。
その街は話を聞いたけれど…恐ろしい状態でもあるのだろう。
「………マジかよ………人間がいるかもしれないって話……そして……もしかしたらやばい事になってるって話なんだろ!?」
「はい……ですがそれはその街の政治がそうさせているのです…その蛮行に街の者は誰一人意見する者もいない……そういう街なのです。」
俺はその言葉にグッと堪え…先を急いだんだ。
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カルマ視点
私達は街を抜け先を急ぐ。
「颯さん……街の中にはやっぱり人間らしき影はなかったね?」
「ああ……精霊と魔族しかいない街だからね…当然人間なんている訳ないさ。」
「そうなのね……」
私はこの時……妙な胸騒ぎを感じていたの。
すると颯さんが口を開く。
「そうそう…そして君の両親がいる場所はまだまだ先だぜ!?」
「はい……。」
すると……大地にゴゴゴと何かの地響きを感じる。
「えっ!?これって!?」
「はっはっは!!どうやら僕達は……天然魔物の巣窟に足を踏み入れたようだね。」
颯さんのその言葉に私も足を止め戦おうと構える。
その時。
「きゃっ!?」
いつしか私の身体を抱き抱え走る颯さん。
「下から狙われてるのに止まったら…」
そして私達の真下の大地からボコボコっと姿を現し這い上がってくる巨大な大ムカデモンスター。
「はあああああーーーーーーーーーーっ!?」
軽やかに飛び跳ね宙に舞う私達。
そして颯さんの背後に見えたのは……漆黒の闇の力を身に纏う魔神。
『韋駄天…………よし、このままひとっ飛びだ。』
シューーーーーーーーーーーーーッと韋駄天は風をその身に纏い輝いていく。
「っと……その前に………」
「えっ?」
そのセリフに私は尋ねてしまう。
「カルマちゃんに今まで僕の強さを見せた事なかったからね……僕の本当のカッコ良さを見てほしいからさ……」
「え!?颯さん……なんのこと?」
私がそう口にすると。
私の身体に風がまとわりついてくる。
「何……これ!?」
「ちょーーーっとの間大人しくそこで見てるんだよ?」
そして私を包み込んだ何かが姿を見せてくる。
「魔神……韋駄天………なの?」
韋駄天はすぅーーっと颯さんの魔神具に吸い込まれていく。
「君きみぃ……だーめだよ……僕達の邪魔をしてくるなんて例えお腹がすいたとしても許される問題じゃない……これは万死に値する。」
大ムカデモンスターは私達を簡単に食べれないという現状にきっと苛立ったのだろう。
地中から一気に飛び出し攻撃を仕掛けてくるモンスター。
襲いかかってくる大ムカデ。
そして私達に届きかけたその瞬間。
シン………………っと時が止まった気がした。
私の眼前まで辿りつこうとした大ムカデは停止する。
『韋駄天…………『ウインドデリート』』
ズサーーーーーーーーーーーーーーーーッと韋駄天の身体は風により切り刻まれる。
そして私達の目の前に切り刻まれた大ムカデの身体は見るも無惨にバラバラになり吹き飛んでいったんだ。
「ふぅ……さて……カルマちゃん……僕はこの世界にきてこんな凄い力を得たんだよ…どうだい?」
「ええ……確かに……凄い……です。」
すると…気を良くしたのだろう……颯さんは再び私の手を取り……歩きだしたんだ。
でも…彼の私に問いかけてきた彼の表情は…どこか狂気じみていたんだ。
「さあ……じゃあ先を急ぐよ!?」
「はい。」
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