ブラズール世界編シーン3
俺達の飛行船はブラズール上空にたどり着いた。
そして…下の様子を伺う俺達。
真っ黒な雲が広がり大地の様子は目では確認できない状況。
すると操縦桿を握るエンポリオが叫ぶ。
「クロノ君……ここがブラズール上空だよ…でも何も見えない……このままじゃ着陸が難しいかも。」
「そうか……」
俺も真下を見るも確かにエンポリオの言うように安全に着陸できそうな場所が見つからない。
すると……そんな中……一際高い一本の木が黒雲から顔を覗かせる。
「あれは!?」
俺のその言葉に見下ろしていたのは雷武だった。
「あれは精霊族…エルフの大樹…だ。」
「「エルフの…………」」
「大樹…………………!?」
すると声を上げたのは俺のリスナーの声だった。
『おおおーーー!!クロノ!?エルフだって!?』
『すげえ!エルフとかドワーフとかもいるって事か!?』
『めっちゃここに来てファンタジー色強くなったぜ』
「なんだよお前ら!?」
すると雷武が口を開く。
「いいか……ここは魔族の暮らす国……そして精霊達が暮らす地でもある…精霊とはエルフ、ドワーフもそうだがそういった種族も今はこの地でひっそりと暮らしているのだ。」
すると……。
「だが…………本来の魔族もいるしモンスターの宝庫でもある……ここに降りたら…皆……覚悟しろよ。」
その時。
ズガーーーーーーーーーーンっとイヴレーア号が揺れる。
「なんだ!?」
「お兄さん!?何か下から飛んできてる!?」
「なにっ!?」
真下に目を向けるとエネルギー弾がドンドン飛んできていた。
すると聞こえてくる何者かの声。
『さあ……あの怪しき船を……うてえええええーーーーーーーーーーーー!!!???』
その声と共にイヴレーア号に放たれるエネルギー弾。
よく見ると飛んでくる方向はあの大樹からだった。
「あの大樹から飛んできてるぞ!?」
「「なにいいいーーーーーーーーーっ!?」」
俺達が叫んだ瞬間。
イヴレーア号の機体が傾いてくる。
「えっ!?イヴレーア号は攻撃をずっと回避してきてるけど!?」
するかヘキサが現れる。
「この力は……そうだな……精霊…………ん………これはエルフだね。」
「エルフ!?やっぱり…いるのか……でも攻撃って…………」
ヘキサは難しい顔をして応える。
「雷武君の…話通りだよ…魔王が復活したという情報は世界に知らされた…でもこの国は魔王が滅んだ時に残されたもの達…そして精霊達にも平和がおとずれたんだよ…でも……魔王は復活してしまった…そして魔王は再び自分の支配していたこの地に戻ってきたという訳……その影響は……言わなくても分かる……よね?」
そこまで話したヘキサ。
「なるほどな…でもこのままではイヴレーア号はやばいよな!?」
俺がそういうと更に大樹から声が聞こえてくる。
「その船に乗ってる怪しい奴ら??降参して船から降りてこい!?」
イヴレーア号が近づいた事でその声の主の姿が見えてくる。
それは美しい長髪…そして耳長の綺麗な顔立ち。
するとその者が更に続ける。
「いい加減にしないと………」
エルフの女子は背中から弓を取り出す。
そして彼女がその手に弓を構えていく。
「さあ……度重なる警告……それを無視し続けるとは……やはり怪しき者共と言う事が分かった…このまま撃ち落としてくれる。」
「ヘキサさん!?なんとかなりませんか!?このままではケニージアでの二の舞だーーーーっ!?」
エンポリオの苦痛の叫ぶ声!!
俺もあの記憶が再来する。
するとイシメールが謝罪の大声を上げる。
「うわあああーーーーーー皆ーーーあの時は本当にごめんよーーーーーーー!!???」
「エンポリオもイシメールも取り乱すな!?」
俺はいつしかそう叫んでいたんだ。
更にエルフは魔力を練りあげていく。
彼女の身体の周りに緑の光が煌めいていく。
そして。
「私の『シルフアロー』に宿りしエルフの神……シルフィード……私達の国を害する力を…今こそ裁き撃ち落としてください……………。」
「あれは……………」
「魔神具なのか!?」
俺とイシメールの言葉に返すヘキサ。
「そうみたいだよ!?しかもその魔神があの精霊…シルフィードだなんて……このままじゃ皆が危ないかもーーーー!?」
精霊シルフィード…風の魔神の中でもハイレベルの魔神の一人……その力は世界に災害級の力を持つとも言われる。
「くっ!?行くぞ!?雷武!?」
「ええっ!?お兄さん!?確かに雷武を使えば止めれるかも知れないけど……」
「じゃあ何か他にあいつを止める方法があるのかよ!?」
「えええい!?じゃあ僕が今こそ決めるか!?」
「今度こそ皆を無事に頼むぜヘキサ!?」
「失礼だなお兄さん…皆無事ではあったじゃんかあ…」
「う……ま……まあな」
「何かこそこそとしてるのかな!?でももう遅い!?シルフィード…」
『エアーベラック……』
『転地!!!!!』
その時。
二人の力が。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。