ブラズール世界編シーン2
俺達はブラズールに向かい数日。
その頃ブラズールでは。
カルマ視点
「ここが……ブラズール……。」
「そうだよ…行く先はまだ先だから急ごうか。」
「はい。」
そう話しながら一組の男女が歩いていた。
それは私とパパの会社の部下『颯』さんだった。
(この地にあの魔王ゼルドリスがいるのかな?)
私は彼の後に着いていく。
しかしながら魔族が暮らすというこの国。
辺りを見渡すと国民達は所々に見受けられるが確かに異形の者の方が目立つ。
私はその奇妙な光景に魔族という存在にわずかながら恐怖心もあった。
すると颯さんが立ち止まる。
「どうした!?大丈夫かい!?」
「はい…大丈夫……です。」
スっと差し出される彼の手。
私はこの怖すぎる状況下で…ふと、彼の手に触れていた。
あれ?これって昔も。
◇
◇
◇
私はその頃…まだ小学生だった。
父は仕事人間だったからいつも家には母がいて私は母も大好きだったが時間があると遊んでくれる父も大好きだった。
そんな私を気にかけてくれた父は会社にも呼んでくれたりして父の会社に遊びに行く事もあった。
そしていつも声をかけて下さり遊んでくれたのがこの颯さんだったの。
「ねえ…パパはどこお!?」
「あはは…ちゃんは本当にパパが大好きだねえ」
「うんっ!パパはすっごく優しいんだあ」
「そっかあ……ちゃんに好かれてるパパに…おじさん…ヤキモチ妬いちゃうなあ……。」
「ええっ!?なんでえ??」
「おじさんも………ちゃんに好きになってもらいたいなあ。」
「ええ?………おじさんの事も好きだよお。」
「ありがとう………ちゃん。」
◇
(あれ?これって………。)
彼の手に触れて思い出した私の遠い記憶。
きっとこの人は今でも優しい人なんだと思う。
私はそう信じて。
彼の手を強く握り後を着いて行ったの。
◇
◇
◇
クロノ視点。
俺達のまだブラズールへは未だ到着していなかった。
「しかしブラズールって結構遠いよな?」
すると口を開いたのは雷武だった。
「ああ…だが徐々にではあるが近ずいてはいるぞ」
いつも余裕を持ってる雷武の様子に違和感を感じる俺。
「何かあったか?」
「いや……俺達が向かっているのは……あの魔族が棲む地だ…いいか…一つだけお前達に教えておいてやる……あの地に行くって事は俺様達の血に何かしらの影響があるやも知れぬって事だけは覚えておくがいい…お前達の隣りにいる俺様達は………魔族……なのだから。」
◇
◇
◇
そして…ここはブラズール。
果てしない青い空が広がりそして大自然が広がる。
そこには都市も存在してる。
それはまるで人間の世界とほぼなにも変わらない大地。
だがそれは少し前までのブラズール。
今は黒く闇に包まれた大地。
草木は枯れ果て大地は荒廃した。
そしてそこに暮らすのはなんと…魔族だったんだ。
◇
その都市から離れる事…数キロ……そこには巨大な滝が流れ落ちる場所があった。
そこに一人の男が立ち尽くしていたんだ。
◇
「ふぅ……さあ今日は何を食おうか。」
男の目の前には巨大な大河。
荒廃した大地に流れる、この大河を眺める男。
次の瞬間。
男は一振りの武具を手にする。
「さあ……我が子よ……我に力を貸すのだ。」
ゴゴゴと彼の身体の周りに闘気と呼べるオーラが集まっていく。
そしてその闘気はやがて男の武具に宿っていく。
すると武具は徐々にその姿を変化させていく。
みるみるうちに男の武具の先は…巨大な刃になっていた。
「うおおおーーーーーーーーーーっ!?」
ドバーーーーーーーーーーーーーンっと大河に衝撃が放たれ水が割れ中にいた大魚が飛び跳ねる。
そして………。
ズシーーーーーーーーーーーーーンッと大地に響き渡る衝撃音……大魚が一瞬で男の食料と変わるのだった。
「さあ飯にするか。」
男は魚を肩に背負うと歩き出す。
そして男は空を見上げる。
「今日もこの国に日は降らんのか。」
そう…この地ブラズールに日は降らない。
黒い雲がこんなにこの国を覆っているのはいつからだろう。
少し前までは日が見え植物が咲き誇り緑に埋め尽くされた自然豊かな国だったのだ。
その時…誰かの呼び声が聞こえてくる。
「国王様ーーーーーーーーーーーーっ!?」
「おお…………戻ってきたか……。」
国王と呼ばれた男は筋肉隆々の大男。
そして駆け寄ってきたのは耳長の綺麗な容姿の少女だった。
「エルフィーナ。」
「ただいま戻りました…国王……ドワフォルン様。」
そう…この二人はドワーフ族の生き残り…そしてエルフ族の生き残り…。
闇の世界ブラズールに太古より生きる種族だった。
するとその時上空を飛ぶ飛行船。
「ん!?エルフィーナ!?なんだあの飛行船は!?」
「国王様!?行ってみましょう!?」
二人は飛行船の後を追うのだった。
◇
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お読み下さりありがとうございました。