ブラズール世界編シーン1
俺達はチェンウォンから遙か遠く…ブラズールへと飛び立った。
新イヴレーア号の機内はかなり豪華な装飾が施されていた。
「これ……すっげえなエンポリオ…なぜこうなった!?」
俺は…その光景にワナワナと身体に震えを感じる。
「え!?なぜって……これ見てよ?」
すると…俺に手渡されたのは一枚の紙。
俺が紙を開いていくと。
そこにはこのイヴレーア号の内装の希望が描かれていた。
「こ…これは!?」
確かにこの装飾の華やかさはただならぬものがあった。
「この注文って…一体誰が!?」
すると、誰も座っていなかった後部座席からゴソゴソと何者かが動く音が聞こえてくる。
「うーーーーーーーーーーん………。」
「「ん!!!???」」
「「あああーーーーーーーーっ!!???」」
眠そうな顔で起きて立ち上がったのは…いつの間にかイヴレーア号に乗り込んでいたテンテンだったんだ。
「「テンテンーーーーーーーーー!!??」」
◇
◇
◇
「うーーーーーーん!おいひいーーーーっ!」
むしゃむしゃといい匂いの食事をしながら飛び切りの笑顔で声を上げるサキノ。
「でしょでしょー!?私って小さい時から料理が好きでね?ママが居なくてもお手伝いさん達に料理を習ってきたから料理は得意なの!クロノさん!?どお!?」
俺にそう問いかけてくるのは、イヴレーア号に乗り込んでいたテンテン。
別れの時にいなかったのはこういう事だったらしい。
俺は料理を口に運びながらテンテンに問いかける。
「で!?ジオウに本当に言わないできて大丈夫なのかよ!?今頃大騒ぎしてるんじゃないのか!?……ん!?」
俺がそう言った次の瞬間……俺の口の中に感動的な味が広がる。
「う……うまいぞ!!???これは!?」
「ねね!?お兄ちゃん!?本当に美味しいよね!?」
「お……おう!!これはすげぇ料理だぞ…。」
「やああああああん!?ほらほら!クロノさんのお嫁さんには私が相応しいのよー?」
頬に手を当て顔を赤らめそういうテンテン。
「フン!なによー!僕だってこれくらいの料理………んん!?うまあ!!」
ヘキサは、そう叫びながらも幸せそうな笑顔へと変わっていた。
俺はそんなテンテンを見ながら問う。
「ん〜うまいな……しかし…あー!エンポリオーーーー!?今どの辺りまで来たかな!?」
「あ!クロノ君!?テンテンちゃんの料理すっごい美味しいんだけど……ってごめんごめん…えっとね………ここは……あ!ここは邪馬国って国の真上だね。」
「邪馬国……か……ならそこは…」
「ん!?どうかしたの!?」
俺が真下を見下ろすと……そう、俺達の世界なら日本……俺もカルマも暮らしていた国…別世界の仮の俺達の出身国がそこにはあったんだ。
「ほひいはん!ほほひはひははふほ?注(お兄ちゃん!そこに何があるの?)」
サキノは頬にいっぱいの食べ物をほうばりながら話したが多分そういったのだろう…。
すると皆真下を見る。
「へえ…お兄さんの生まれた国かあ」
「あ!いつか私もクロノさんの両親に挨拶にいかなきゃね!?」
ヘキサそしてテンテンもそう話していた。
俺は懐かしさを覚えながら見下ろしていた。
(カルマ……お前も一緒に見れたならな…必ず、迎えに行くから……待ってろよ。)
俺は心の中でそう告げていた。
すると。
通信が入ってくる。
「クロノ君!?そこにテンテンいるよね!?」
それはあわてまくったジオウだった。
「お…お兄ちゃ……」
慌て口を塞いだテンテンだったがもう遅い…何故なら俺のライブ配信は全世界に今も配信中だからだ。
「ふぅテンテン…お前は本当に。」
「お兄ちゃん!大丈夫だって!私はチェンウォンの代表として戦ってくるからさ!?」
「ジオウ……テンテンは必ず守るからさ…任せてくれよ」
すると諦めたようにジオウは口を開く。
「分かったよ…頼むよクロノ君!?」
「ああ」
「お兄ちゃん…やったーーー!!」
大喜びのテンテン。
その時。
『おお!クロノ!?カルマちゃんとリオちゃんが今はいないけど今度はテンテンちゃんも合流か!?羨ましいぜ!!』
『私も異世界行ってジオウ様のお妃として……やあーん玉の輿もありね!?』
そう言って飛び込んできた俺のリスナー達のコメント。
「ねえねえリスナーさん達い!これからは私がクロノお兄ちゃんの彼女って事で覚えててねえ」
サキノがそう言い出す。
「サキノ!?何を言って……」
するとサキノファンが泣き声をあげる。
『『うわあああーーーーーん!サキノちゃんーーーー!?やめてくれええ』』
「いやいやお兄さん達!お兄さんは僕のだよー」
「いやいやクロノさんは私の料理を毎日食べもらうんだから!!」
リスナーとのやり取りにヘキサもテンテンもそう叫ぶ。
『『クロノーーーーーーー!?羨ましいぜーーーーーーーー!?』』
男子リスナーのその声。
そして女子リスナーはジオウに求婚してる奴もいた。
「ふぅ…俺のリスナーも相変わらずだな。」
目に映った仮の日本を見ながら俺はそう呟く。
そして俺達は仮の日本の上空を飛ぶのだった。
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お読み下さりありがとうございました。